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天狗様といっしょ  作者: kano
第二章
68/210

天狗様、天敵(?)と相対す(8)

 現れたのは、さっきの、追試の教室にいた女の子だった。なんかさっきと雰囲気が大幅に違うんだけど……いったいなにごと?

 戸惑う私の前で、さらに戸惑うことが起こった。

「……バカ娘……!」

 太郎さんが、ゆらりと立ち上がった。その顔には、闇が宿っていた。暗く、同時に烈しい、大きく深い、闇とよく似た憤りが……。

 太郎さんの、地の底から響いてきたような声を耳にした女の子は、私たち以上にびくっと竦んだ。

「今、なんて言った……?」

 太郎さんが、ゆらりゆらりと、揺蕩うように女の子に近づいて行った。一歩近づくごとに女の子が一歩身を後ずさっていた。何しに来たんだろう……。

 それでも、なんとか教室内に留まって、声を絞り出して言った。

「さ、再々試験になっちゃった……って……」

「その前。一言一句違わずにお願いします」

「そ、それはその……あ……『あんたのせいで私まで再々試験になっちゃったじゃない』と……言いマシタ……」

 言い終わった瞬間、太郎さんの瞳が大きく見開かれた。見たら石になりそうな鋭い視線だった。

 と、思ったら、太郎さんは 手近な椅子を引き寄せて、すとんと座った。

「まぁ座りなよ」

 そう言って椅子を差し出して、座るよう勧めた。女の子はどうしようか迷っていたようだけど、座らないでいる方が恐ろしいと感じたのか、慌てて座った。

「さて、今の発言だけど……」

「は、はい……」

 太郎さんは、急にニッコリ笑った。

「!!」

 さっきまでの迫力と落差があり過ぎて、女の子はさらに怯えていたけど、太郎さんはそんなことお構いなしだった。

「まず、そうだな……『ちょっと天狗』って呼んだね」

「は……も、申し訳……」

「まぁ天狗なのは事実だけど、一応もうちょっとバレないようにしてくれるかな? 僕これでも高校生やりたいんだからさ」

「は、はい……!」 

 どの口が言うか……。高校生活初日から目立ちまくってたくせに。

 学校中に慕われて『TKO(太郎君の恋を応援する会)』なんて結成される高校生がどこにいるんだっての……!

「あとは……『再々試験になっちゃった』って? おめでとう。落第回避できるチャンスを貰えたんだね」

「は? はぁ……」

「あのミジンコみたいな回答でどうチャンスをものにするのか、楽しみだよ」

「っ!!」

 いったい、どうしたんだろう。今まで見た事もない笑顔で、ナイフよりも鋭いトゲをばら撒いている……。

「で、一番気になってた『あんたのせいで』なんだけど……ごめん、よくわからなかったんだ。どういう意味か説明してくれる?」

「え、いや、その……」

「なんで、僕のせいなの?」

 笑顔が、張り付いている……。

 これは、もしや……

「それは……えっと……いつの間にかテストが終ってて……」

「それは、君が結界まで張って僕を閉じ込めて、あれやこれやで僕の邪魔をして、僕が中から結界を破るしかなくて、そのせいで君が気絶しちゃって試験を受けられなかったからでしょ?」

「それはその……」

「そんなことせずに真面目に受けてれば良かったんだよ。ちゃんと最後まで自力で解いてたらお情けで通してくれたかもしれないのに……君のあのミジンコにも劣る回答を目にしたせいでカンニングの濡れ衣を着せられて5教科再々試験になった僕に君如きがいったいどんな文句を言うつもりなのかなぁ?」

「え、私の答え見たの!?」

「うん、見たよ。あれの何を写して合格点をとれると思うのか、不思議でならないよ。ふふふふふふふふふふふふ」 

 あぁ、うん、わかった。

 彼女が原因で、太郎さん、やっぱりまさかの再々試験になったんですね。

 そしてそのせいで……爪先から髪の先まで、全身隈なく、お怒りなんですね……。


 すごく、怖い……!

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