過去の話
八話です。遅くなって申し訳ない。
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「ゆうきー、行くぞ―」
「ま、まてって、あおいくん」
二人の男の子が歩いている。その二人は優貴と碧生といい毎日二人で仲良く遊んでいました。
その二人の出会いは少し前にさかのぼります。
あるとき、優貴君は地域のガキ大将達に暴力を受けていました。ただブランコに乗っていただけで。
「お前なんでブランコに乗ってるんだよ!ここは俺たちのナワバリだ!」
「え、いやだよ!このブランコはみんなのものでしょ?」
「なんだと!?よし、こいつ引きずりおろせ!」
こんな風に。
「やめて!やめてって!」
優貴君は必死に逃げようとしますが、数が多いので逃げられません。そしてついに捕まって、暴力を受けました。
「おい!お前ら何をしているんだ!」
そこに一人の男の子が現れました。とても怒った強い声で言いました。
「なんだ?お前もいじめられたいか!?」
といってガキ大将たちは男の子に向かっていきました。
「ま、待って!あぶないよ!」
優貴君は男の子にそういったその時、その男の子は、ガキ大将の脇の下をくすぐりました。殴るわけでもなく、なんと平和的な攻撃でしょう。
「わ、わはは!やめて、やめてくれぇぇ!」
「じゃあこの子をもういじめるなよ?」
くすぐりながら男の子はそう言います。
「わ、分かった!だからやめてくれぇ!」
そういうと男の子はすぐにやめました。やめた途端、ガキ大将は一目散に逃げ出しました。それにつられて、取り巻きも逃げ出しました。
男の子はすぐに優貴君のもとに駆け寄りました。
「大丈夫だった?」
手を差し伸べながら、そう言いました。キラキラした笑顔とともに。
「う、うん。ありがと・・・」
「僕はあおい!キミは何ていうの?」
「えっと、ゆうき・・・。よろしく」
「ゆうき!これからは僕が守ってあげるから!」
「あ、ありがとう…」
・・・というのが二人の出会いでした。
それから二人は毎日のように遊び、いろんなところに冒険に行きました。森の中、ショッピングセンターなどいろいろなところに。
それはそれは楽しい日でした。
そしてある日、
「わぁーここ広いなぁ…」
ショッピングセンターに来た二人はその大きさに驚愕していました。何回も来ているのですが。
「よし、早速いこう!」
「う、うん!」
二人は一番高いところに行こうとして、薄暗い職員階段のようなところに入りました。
「こ、ここダメなところじゃない・・・?やめておこおうよぉ・・・」
優貴君は心配そうに言いました。
「へへっ、大丈夫だって!見つかったら字が読めませんでしたっていえばいいんだよ!」
それに対して悪びれもしない碧生君です。
少しすると出口が見えてきて、扉がそこにはありました。
「お、ここが出口っぽいぞ。行ってみよう」
碧生君が扉に手をかけて、その扉を開くと・・・
そこには人がいました。しかしそれは職員の人ではなく、高校生が多く、そこで遊んでいました。いえ、それは遊びとは言えないでしょう。一人の男子をいじめていたのですから。
「あ?なんだこのガキ。何しに来た?」
その中でも一人の男が立ち上がりこっちに話しかけてきました。
「な、なにしてるんだよ!怪我してるだろ!?」
碧生君は怒った様子でいい返しました。
「あ?お前には関係のないことだ。とっとと失せろ」
「あ、あおいくん帰ろうよ・・・怖いよ・・・」
おびえた様子で優貴君は言いました。
「ほっとけないだろ!?とりあえず大人に言えば・・・」
その言葉を聞いた瞬間男がこちらに来て言いました。
「そんなことしてもらっちゃあ困るんだけどな?おい、こいつらがだれにも言わないようにしろ」
そういうとほかの男もこちらに向かってきました。すると、いじめられていた男の子が大声で言いました。
「逃げてッ!!キミたちじゃ勝てないから!大人を呼んでくるんだ!」
「おい、こいつも黙らせろ」
といって男は口にガムテープを張り付けて口を封じました。
「さて、悪い子供には教育が必要だからなぁ?お兄さんたちが教えてやるよ」
男たちが二人のもとに行って何かをしようとしたその時。
「ゆうき!逃げろ!お前は大人を呼んできてくれ!僕がこいつらを引き付けるから!」
と碧生君が言いました。
「だめだよ!あおいくんも一緒に逃げよう・・・!僕一人じゃ無理だよ…」
「逃がすわけないだろ?お前ら早く捕まえろ!」
「はやく!早くしてくれ!」
「う、うん…待ってて!」
優貴君は走り出して大人を呼びに行きました。それと合わせて男の仲間が一人追っていきました。
「逃げて時間稼ぎしないとな・・・」
「ヘッお前なんてすぐだ。すぐ」
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「おい、なにをしている!」
もう行ったときは終わっていた後でした。
「あの、あおいくんは…」
「ああ、あの子は相当重症だよ。殴られた跡がたくさんだし、どうやら足をナニカでたたかれたのか、折れている。意識もない」
「そ、そうですか・・・」
このあと、お見舞いに行くこともできず、会うことはありませんでした。
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あのとき、俺がちゃんとしていれば、守れたかもしれない。
自分が、だめなものはダメと言っていればよかったのかもしれない。
自分が、喧嘩に強ければよかったのかもしれない。
その後悔だけが今も残る。
自分が強ければ、何か変わったかもしれない。
同じ名前の人に会ったのは奇跡なのか偶然なのかわからない。
ただ、葵は俺が守る。