愛しさと切なさと心強さとおじいちゃん
※先にぽんさんの小説「CRYSTAL ISTORIA」と、
うっしーさんの小説「鎮魂歌」を読んでね!!!!!!
ボクはカンマ。発明家だよ。
こっちはバトラー。ボクの最高傑作だよ。
こいつはセルド。バカだよ。
ここはレリア。世界が誇る魔法都市レリアだよ。
「って、なんでまた違う世界に来てるんだよ!!!!!」
愛しさと切なさと心強さとおじいちゃん
よくわかるあらすじ。
ボクはついに転送装置を直した。
ボク歓喜。バトラーも歓喜。
これでエールディンからバイバイだ!さよならセルド!
転送開始。
転送終了。
スヴェートじゃない。
エールディンでもない。
近くの看板いわく魔法都市レリアだった。
ボク崩れ落ちる。
バトラーおろおろする。
セルドキョロキョロする。
!?!?!?!? ←イマココ!
ということで、紹介を更新しておこう。
ボクはカンマ。ただの使えないバカだよ。
こっちはバトラー。行き先の特定と算出をしそびれたバカだよ。
こいつはセルド。何を思ったのか近づきすぎて巻き込まれたバカだよ。
ああそうさ!!!バカしかいない!!!
ボクらはみんなバカだ!!!バカだからまた違う異世界に飛ばされるんだ!!!スヴェートになんて帰れない!!!バカに居場所なんてないんだよ!!!
ちなみにどうしてボクの世界やエールディンでもない別の異世界だとわかったかと言うと、ボクに見覚えがないのはもちろん、セルドも「こんな街見たことも聞いたこともねえ!!!」と言い放ったからだよ。
バカだから信憑性に欠けるけど、とりあえず信じてそう判断したよ。
魔法都市レリアは、その名の通り世界が誇る魔法都市らしい。
ボクの世界で言うスヴェートのもっと大きい所みたいなもんかな。スヴェート魔導国もボクの世界では唯一の魔導学園都市だしね。
それで、最初は小さい自治区の都市だったらしいけれど、今は隣の大きな国と同じくらいの領土を誇る独立国家になったらしい。
ボクの世界で言えばレイス教国と同じようなもんだね。あれは宗教団体が独立国家になったからね。
帰りたい。
「しかしなァカンマ。今度は壊れなかったがこれじゃ行き先を探すなんて難しいぜ?エネルギーが足りねえ」
バトラーが装置を確認しながら言う。
その通り。バトラーのエネルギーを動力に、行き先の算出と特定をする設計だったんだけど、それはあくまでボクの世界を移動する場合の話で、その場合はエネルギーは十分足りる。
だけど今回は世界を越えるわけだ。必要なエネルギー量は段違いだ。
時空を、空間を越えるわけだしね。
こういうとき、時魔法が使える人がいたら良かったんだけど、使い手が限られてるし、この世界にはそもそもいないだろう。
ならば代わりに光魔法や雷魔法でズアアッとエネルギーを入れてもいいんだけど、生憎この中で魔法が使えるのはボクだけで、しかも使える魔法もせいぜいセルドをバチって感電させる程度の下級魔法。出力が圧倒的に足りていない。
バトラーにこれ以上エネルギーを放出させたら形を保てず消えちゃうし……。
「ダメ元で聞くけど、セルドは魔法って」
「まほー!?なんだそれ?食え」
「だよねー」
セルドは無視して、とにかく一旦状況を確認する。
ボクらが今いる場所は、レリアの東側にある、大きな書庫から少し外れた空き地。
レリアの中央にはこの都市で一番偉い人と魔術師たちが住む神殿があり、北側には魔術学校、南側には市場、西側には一般人の居住区があるらしい。
地図からの情報だけど。
しかし、本当に魔術師だらけみたいだ。
なら、ボクらに力を貸してくれる人もいるかもしれない。
まあ、これだけの魔法都市なら、めちゃくちゃ凄くて偉い爺さん魔術師がちょちょいって助けてくれるでしょ。
そんな期待を胸に、中央の神殿を目指そうとボクが立ち上がった時。
「おい!そこにいるやつ!用があるなら出てこいよ!!」
セルドがタタッと書庫の陰へ走っていく。そして誰かをグイッと引っ張り出してきた。
「はっ、放しなさい!放さないと雷を落としますよ!?」
出てきたのは、白いローブに身を包み、輪郭が隠れるぐらいの長さの青髪に眼鏡をかけた、セルドと同じ歳ぐらいの子供だった。
あ、ボクの方が子供だろってツッコミは無しね。
「お前誰だよ?俺たちのことコソコソ見てたろ!」
「君たちこそ誰です?妙な予知夢を見たから来てみれば……」
予知夢?ということは魔術師見習いかな。なら、すっごい魔術師のことも何か知っているかもしれない。
ボクは尋ねようと口を開きかけたけど、それはセルドによって遮られた。
「ふーん、こんなガキでも魔術師とやらになれるんだな!」
「今なんと言いましたか!?!?」
青髪はセルドの言葉に急に激昂した。
「僕はこれでも123歳です!」
ジジイじゃん!!!?!?!?
と叫びたくなる衝動をボクはグッと抑えた。これ以上話をややこしくしたくない。
「はーぁ!?嘘つくなよ!どっからどう見ても俺よりガキじゃねーか!」
「はぁ!?君の方が僕より子供でしょう!?」
「いーや!お前の方がガキ!!」
「君の方が子供です!」
「ぜってーお前の方がガキ!!」
「ガキガキガキガキ失礼なやつですね……!」
青髪がスッと天に手をかざす。
「雲間に出でし雷よ……」
青髪が詠唱を始めると、青髪の周りにパチパチと電気のようなものが集まりだす。
あれ、これボクどっかで見たことある。
「かの地に連花を降らせ……!」
どっかで見たことあるから離れるね。
「ライトニングスパーク!!」
青髪が手をバッと振り下ろすと、無数の稲妻がセルドの顔面めがけて飛んでいった。
「イッッッッッてぇぇぇぇ~~~~!?!?!?」
バチィ!と鋭い音が響くと同時にセルドはビャッと飛び退くと、両手で顔を覆いながらゴロゴロと地面をのたうち回っ
「ウワアアアアアアア!!!やっぱり天丼ンンンンンン!!!」
ビクッと猫のように全身をはねらせる青髪をよそに、ボクは叫びながらゆっくり起き上がるセルドの顔面めがけて肘鉄を落とした。
*
「なるほど、概ね事情はわかりました」
セルドをのした後、ボクは事情を説明した。
ボクらはこの世界の人間ではないこと、元の世界に帰りたいが魔力が足りないこと、セルドはバカなこと。
青髪─リヴァイアは、ボクの話を特に驚いた様子もなく淡々と聞いていた。
「驚かないの?」
「ええ、特には。長く生きていればそういうこともあるでしょう」
ジジイだ……めっちゃジジイのセリフだ……。
「ですが、信じたわけではありません。僕は先ほど説明した通り、予知能力のせいで狙われることが多いですから」
リヴァイアはやれやれと首を振る。
先見のリヴァイア。それが彼の通り名らしい。
なんでも予知能力に特化した魔術師らしく、五大魔術師のうちの一人だとか。だから普通の魔法もめちゃくちゃに使えるんだって。
そんなわけでボクは事情を説明して魔力を貸してもらいたいと頼んだわけだ。で、その答えがこれ。
「流石にあの鳥?みたいなやつはこの世界にはない技術だとは思いますけど……」
やったねバトラー。バトラーはどこの世界でも唯一無二だね。
「でも、まだ君たちを信用できない。だから力は貸せません」
だよねー知ってた。
ボクはハアーと大きくため息をついて頭をガシガシとかく。
「信用かぁ……ボクも同じ立場だったら信じられないもんね……」
「だったら信用されりゃいいじゃん」
いつの間にか意識を取り戻したセルドが呑気そうに言う。
それができれば苦労はないんだよ!!!
「……そうですね。そういうことであれば手伝ってもらいましょうか」
……はい?
「ちょうど魔物退治を頼まれていましてね。僕一人でもなんとかなるんですが、君たちに退治してもらいましょう。そこで君たちの力を見せてもらいます」
「ちょ、ちょっと待ってボク戦闘は」
「はははは!いいじゃねえか!わかりやすいぜ!」
セルドは楽しそうに両拳をガツンとぶつけ合う。
いやいやいやいやいや嫌だよボクは戦うとかもう嫌だ痛いし意味わかんないしめんどく
「はっは!俺もその方がいいなァ!カンマ、さっさと行くぜィ」
最高傑作の裏切り者!!!!
「なら決定ですね。今から向かいましょう。来てください」
リヴァイアがついてこいと手招きをすると、バトラーとセルドは楽しそうについていった。ボクに拒否権はないみたいだ。しぶしぶついていくことにした。
ねえ、これいつ帰れるの……。