電波と熱血と鳥
※先にぽんさんの小説「CRYSTAL ISTORIA」を読んでね!!!!!!
ボクの名前はカンマ。
スヴェート名物発明家姉弟の弟の方。
雷魔法が使える、電波をこよなく愛する人間だよ。
こっちの鳥の形をしたウィザード……要は電獣ってやつがバトラー。
ボクら姉弟の最高傑作にして最強の相棒。
バトラーは電波の集まりだから、電波を集中させた部分にしか実態がなく、基本的に物理攻撃が効かないんだ。
……で、さっきからそんなバトラーに拳の連撃を繰り出してるあいつ……。
「なんだこの鳥ーーーッ!! 俺のッ!!攻撃がッ!!効いてねえだとーーーッッ!!!?!?」
……あいつ、誰なんd
「レーヴェ・ゲブリュールッッッ!!!!!!」
「うるさいんだけど!?」
電波と熱血と鳥
状況を説明しよう。
ボクはある装置の実験中、どうやら異世界に飛ばされてしまったらしい。
一応これ、レオやニシキに呼ばれたときにすぐ駆けつけられるようにと思って作ったテレポーターのつもりだったんだけど、異世界にまでテレポート出来ちゃうとはボクは天才だね。
まあ、今はすっかり壊れちゃってる訳だけど。
でもこれを直せばボク達はスヴェートに帰れるから、実はあまり心配はしてない。
ところで、なぜここが異世界だとわかったかって?それは文化の違いってやつだよね。
まず何あれ。人間と動物が合体したようなやつ。上半身は人間なのに、下半身は動物だし、よく見たら耳も動物だし、合成獣かな?
でも、その悲しき実験生物さ、ウジャウジャいるんだよね。なんか結構な確率で目にする。
……この世界、ヤバくない?あとなんであいつら服着ないの?露出狂なの?マドーでさえ服着てるよ。
あと魔獣だよ魔獣。
さっき町の人間が「魔獣が出たぞ」って騒いでたから、ボク喜び勇んで会いに行ったら魔物だったしさ。
魔獣って言ったらボクらにとっては無害な珍しい実験た、生き物なわけ!ややこしいったらありゃしないんだけど!
「はーあ、さっさと帰ろこんなとこ」
「いや、帰るのは良いんだけどよぅ、カンマ……」
バトラーは困ったように、まだ連撃をこれでもかと打ち続けるそいつを目で指し示す。
なんだろう、なんか心なしか攻撃力がアップしてそうな気がするけど、まずバトラーには実体が無いから攻撃してもすり抜けて意味無いんだって。
「もう面倒くさいし、適当に放り投げといたら?」
「いいのかィ?」
「怪我させない程度にね」
ボクがそうバトラーに指示を出すと、バトラーは頷きそいつの背中部分の服をちょいと摘まんで宙吊りにし、そのままポイッと遠くへ放り投げた。
あの連撃からして、多分あいつ格闘の素質あるだろうから、受け身もとれるだろうし怪我はまあしないだろう。
「さーて、邪魔なやつは追い払ったし、スクラップでも探しに行こう」
「そうさなィ」
そうしてボクらがその場を離れようとしたその時。
「男ならぁぁぁあああ!! 勝負からぁぁぁあああ!! 逃げんじゃねぇぇえええッッッ!!」
遠くから物凄い勢いであいつが戻ってきた。
「カンマ!」
「っ!defence mode:ON!」
ボクの掛け声に合わせてバトラーが両手につけられたプレートを正面でガチンと盾のように合わせ、変形する。
首もとにあった首輪のようなパーツは、上下にガシャンと面積を伸ばしながら顔まで上がり口元をマスクのように覆う。
それに伴い嘴のようなパーツは額の方まで持ち上がり、角になった。その角からバチィ!と電撃が走り、バトラーの体全体を覆った。
刹那、勢いのついたあいつの拳が、バトラーの盾にぶち当たる。
ごぉん、と物凄い衝撃を受けたのが、今の鈍い音でよくわかった。
「イッッッッてぇぇえええ!!!」
おそらく盾にぶち当たっただけではそこまでではなかっただろうけど、流石に電撃は無理だったのか、大きく叫び声を上げてあいつはバトラーから離れた。
でも、それだけ?それだけのダメージなの?
「間に合ったなァカンマ!」
「間に合ったのはいいけど、なにあいつ……人間じゃない……」
バトラーは再び元の姿に変形しながら「よかったよかった」と胸を撫で下ろしているが、全然よくない。
え?ていうかあいつしつこくない?なんなの?本気でなんなの?
ボクらはいったいいつになったら装置を直させて貰えるわけ?