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第6話「お預け」

 オディルさんご夫婦の墓参りが終わり……

 俺達4名は事前に立てた予定通りに王都を回る。


 今回レオとイーサンからは、将来に備えいろいろな仕事を見たり体験したいと希望が出ていた。

 イメージとしては、以前イーサンの母レベッカと王都へ来た時のようなイメージでプランニングした。


 まずは職人通りへ行く。

 この通りは名前通り、いろいろな職人達の店が並んでいる。

 

 さすがに王都。

 店の数も半端ない。

 通りも第一から第十まである。


 金銀細工屋、石屋、靴屋、染物屋、仕立て屋等々、いろいろな職種の職人達が、往来から見えるような仕様の店舗で、熱心に黙々と仕事をしていた。


 大人の俺でさえそうだから、レオとイーサンにとってはワンダーランド。

 食い入るように見つめていた。

 特に鍛冶師希望のレオは、目をきらきらさせながら身を乗り出している。

 職人の働く姿を自分に重ねているようだ。


 ふたりの食い付きがよい店は、かさばらないものならお土産も兼ねていくつか商品を購入した。


 この後も予定があるので、全部は回れない。

 ……それでも1時間たっぷりと見て回る。


 やがて午前11時となり……

 ジャストな時間だと大混雑するから、早めにランチにする。


 実はランチをどこにするか少し迷った。

 売上に貢献する形にもなるから、アマンダがオーナーの白鳥亭も考えたが……

 任せている王都のスタッフに出して貰うハーブ料理が、アマンダのレベルを超えるとは思えない。

 なので、やめにした。


 となると、選択肢は嫁ズが大好きな市場の露店しかない。

 長姉のタバサも弟ふたりに「中央広場で食べる露店の料理は超美味しいよぉ」と、

自慢気味に伝えていたらしいから。


「お~い。そろそろメシに行くぞ」


「うん! 行く! 行く!」

「お腹減ったよ、お父さんっ!」


 打てば響けとばかりにレオとイーサンが反応。

 俺達4人は……

 俺、レオ、イーサン、ジャンと、再びロールプレイングゲームのような隊列を組む。


 そして俺が先導する形で王都中央広場、飲食露店のエリアへ向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ボヌール村やエモシオンとは比べものにならない、王都セントヘレナの広大な中央広場……


 いつもながら、たくさんの人々でにぎわっている。


 パフォーマンスをしている人は変わっているやもしれない。

 だが光景は……

 以前タバサと来た時と変わらない。

 レオ、イーサンのような子供は勿論、大人の俺が見ても面白そうな見世物や大道芸がたくさん行われていたのだ。


 ぐるりと見やればあちこちに大小の人だかりが出来ている。

やかましいくらいに、様々な鳴り物が響いている。


 おしろいをたっぷり塗り、どが付く派手なメイクをした道化師はおどけた仕草で老若男女を問わず笑わせている。


 小柄な軽業師は空中回転やバック転など、信じられないほどアクロバティックな動きを見せている。


 きわどい衣裳を着たスタイル抜群の美しい踊り子が華麗なステップを踏んでみせている。

 かと思えば、きちんと正装した手品師が、帽子の中から魔法鳩を飛ばしている。


 見物する人々は……

 パフォーマー達の一挙手一投足に、驚き、どよめき、大いに喜んでいる。


 レオとイーサンは姉タバサと全く同じ反応をする。


「お父さん! 凄いねっ、面白いよっ!」

「お母さんやママ達、タバサ姉さんから聞いていた通りだ! 最高だよっ!」


「ああ、凄いし、面白し、最高だな……でもさっさとメシ行くぞ。グズグズしてると混むからな」


「え~~?」

「どうして、もっと見ていたいっ!」


 俺がそう言うと、ぶーたれて、いかにも残念そうな顔付きをしたレオとイーサンだったが……

 飲食露店のエリアへ到着したら、一変した。


 ふたりは目をきらきらさせ、きょろきょろ。

 鼻はひくひく。


 絶対に怒るから言わないけれど……

 例えれば、まるで腹ペコのゴブリンだ。


「わおっ! 何だ、コレっ!! エモシオンより全然凄い!」

「露店がいっぱいだぁ! すっげぇ、いい匂いっ!」


 脱兎の如く、駆け出そうとするレオとイーサン。

 「そうはさせじ!」とすかさず止める俺。

 「さっ」とふたりの服の襟首をつかんだ。


「お父さん、何するの!」

「ど~して止めるのさ!」


 お預けを喰らった犬のように、猛烈に抗議するレオとイーサン。

 俺は苦笑して、尋ねる。


「あのさ……お前ら、金持ってないだろ?」


「う!」

「あう!」


 「ぎょっ」とするレオとイーサン。

 

 ふたりに、俺は優しく教える。


「エモシオンもそうだが、王都の店は大空屋みたいにツケはきかない。商品と金がその場で交換なんだよ」


「え?」

「そうなの?」


 ボヌール村唯一の商店『大空屋』はおおらか。

 村民に限り、ある時払いのツケを認めている。


 村民の顔は全員見知っているのと、ツケを踏み倒す人が皆無だからなのだ。


「俺が金を持ってる。それに慌てなくとも店や食い物はいっぱいある。さあ、行くぞ」


「ホント?」

「大丈夫?」


 可愛く首を傾げ尋ねる息子ふたりへ、俺は微笑み、ゆっくりの移動を促したのである。

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