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第35話「王都王宮へ④」

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 元悪魔たる人魔族女子ロヴィーサは自分の本音を、そして課せられた使命を包み隠さず吐露した。

 対して、レイモン様は黙り、言葉を返すことなくロヴィーサをじっと見つめ、ときたま小さく頷き、話を聞いていた。


 俺、サキ、クラリス、グレースも余計な言葉をはさまず無言で聞いていた。


 ロヴィーサの独白後、レイモン様との間で具体的に交わされた言葉はなかった。

 しかし、確実にふたりの心の距離は縮まったと思う。


 ……それからは、スムーズであった。

 レイモン様にいつもの柔和な笑顔が戻り会話も活発になったのである。


 こんな時、たまに俺はうっかり者となる。

 話に夢中になり、肝心な事を失念してしまう。


 今回はオベール様の昇格人事。

 忘れたら、非常にまずい。


 なので俺は、速攻でレイモン様からオベール様男爵陞爵(しょうしゃく)の辞令を預かった。

 明日木曜日の朝、エモシオンへ行き届けておくと伝えたら、レイモン様はうんうんと満足そうに頷いていた。

 自分が寄り親となり、部下となるべき男の件だからという思いもあるだろう。


 と、ここでナイスタイミング。

 クラリスが仕舞っていた新作の絵を取り出した。

 数多の野菜が実ったボヌール村の農地で、一組の家族が楽しそうに遊ぶ風景画である。


「レイモン様、これ私の新作です。政務の合間、お手すきの時、少しでも楽しんで頂ければ嬉しいと思い、お持ち致しました」


「おお、ありがとう!」


 案の定、レイモン様は大喜び。

 早速、たくさんの絵が飾られている壁の一画に取り付けた。

 満足そうに眺めている。

 そんなレイモン様を俺達も見守る。

 

 さあて、結構時間を食ってしまった。

 今回の本題へ、打合せを始めよう。

 レイモン様に関しては、各種族の仲介者たる俺の果たすべき役割は、各国の状況を報告し、情報を共有する事である。


 ちらと見やれば、サキとロヴィーサはメモを取るべくスタンバっている。


「レイモン様、オベール家宰相として主君クロード・オベール新男爵様の現状からお話しします」


「ああ、頼む」


 俺は……

 エモシオン、ボヌール村の現状を話した。

 オベール様の許可は取ってあるので、経済状況や治安に関しては特に詳しく話す。

 当然、オベール様とイザベルさんが良き領主である事も。


 いずれレイモン様は男爵となったオベール様の上席、貴族の派閥の長、寄り親となる。

 そんな理由もあって、はるか辺境の地の話でも、レイモン様は熱心に聞いていた。


 次に俺はイルマリ様が統治するアールヴの国イエーラの現状について話す。

 人間の貨幣制度が導入されてから、イエーラの経済は好転した。

 国民の暮らしも大幅に向上し、喜んでいる事を伝えた。

 

 今や親友同士となったレイモン様とイルマリ様。

 普段魔法水晶でやりとりしているから、既知の話だろうが、黙ってうんうんと満足そうに聞いていた。


 最後に俺は、妖精の国に住まう王オベロン様が、創世神様から預かった人魔族と上手く折り合いを付けている事を話した。


 また妖精に害がない商品を導入するべく、その資金を調達する為、人間、アールヴとの商取引を行う準備を進めている事も告げた。


 地上世界との商取引の足掛かりを作るべく……

現在ボヌール村には、オベロン様の妻、妖精女王ティターニア様が滞在している事も伝える。


「ふむ、ケン。エモシオン含め、各国の状況は良く分かった」


「はい、念の為。アヴァロンに関しては特に厳秘。くれぐれも内密でお願い致します」


「分かった。……そういえば、ケン。人魔族は現在アヴァロンに住んでいるのだな?」


 レイモン様から俺へ、ロヴィーサへ関しての質問が告げられた。

 口調もいつもの穏やかなレイモン様だ。

 

 先ほど、ロヴィーサを心配して涙ぐんでいたサキも安堵して笑顔である。

 良かった。


「はい、アヴァロンの入植地に、そうだな、ロヴィーサ」


「はい、父、そして仲間達とアヴァロンで暮らしております。妖精王オベロン様には大変良くして頂いております」


 ……いつか人魔族は創世神様から地上に住む事を許される。

 そして管理神様の指示で、いろいろな制限がかけられながら、地上で暮らし始めるに違いない。

 

 だが、先ほどの一件があったばかりだ。

 頃合いを見て、話した方が良いだろう。


 と、思ったらさすが超一流の政治家。

 魔法使いでもあり、勘の鋭いレイモン様は、先んじて尋ねて来た。 


「ケン、いずれ人魔族は地上へ移り住むのだろう?」


「はい、多分そうなると思います。先ほどロヴィーサが言った通り、管理神様の意図を感じますから」


「うむ、今や神となったケンがそう言うのなら、間違いはないだろう。但しいろいろと制限がかけられるだろうな」


「はい、レイモン様のおっしゃる通りだと思います」


「うむ、ネガティブな話をして申しわけないが……」


 レイモン様はこう前置きしてから、ロヴィーサへ向き直った。


「ロヴィーサ」


「は、はい」


「元悪魔の人魔族が地上で平和に暮らす為には各種族の理解を得る事が必要だ。その為には、大変な苦労をするだろう。しかしロヴィーサのように愛を知れば、全ての種族と折り合っていける。そう私は思う」


「レイモン様! 励みになるお言葉を賜り、ありがとうございます! 感謝致します! はい、ティターニア様からも言われました。人魔族が歩むのは苦難の道、私には父アガレスを助け、支えて行く責務があると」


「うむ……私もティターニア様と同じ言葉を贈ろう。だが臆する事はない。お前はひとりではない。父上や仲間、そして私達、お前を支える友も居る」


「え? 友……レイモン様が、私を支える? 私のような者へ、友とおっしゃって頂けるのですか?」


「ははは、そう驚くな。ロヴィーサ、お前は人魔族のパイオニアとなるのだから」


「へ? パイオニアとは? ……ええっと、開拓者という意味でしょうか?」


「うむ、言葉だけを捉えるとそうだ。だがパイオニアには先駆するという意味もある」


「先駆する……」


「そうだ、ロヴィーサ。お前は先駆者として、人魔族の新たな道を切り拓く者となれ」


「私が……新たな道を切り拓く……」


「うむ、ケンや私を含め、多くの者と知り合い、理解し合い、同じ世界の友として、支え合い生きて行くのだ」


「は、はいっ!」


 レイモン様から熱いエールを送られ……

 ロヴィーサは目を輝かせ、嬉しそうに返事をしたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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