表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者  作者: 東導 号 
第14章 アンテナショップとお祭り編
364/848

第10話「気配りは愛」

 レベッカとクーガーの『行き違い』はすぐに解決した。


 朝に、レベッカと約束した通り……

 俺を入れた3人で、朝食後からすぐに出かけ、広大な草原で思う存分狩りをした。


 騎馬で競争したり、獲物を追って自ら走り回ったりしたら、ふたりだけじゃなく俺も「スッ」とした。

 

 その後、周囲の安全を確認し、3人で草原に寝っ転がり……

 雲ひとつない晴天の下、レベッカとクーガーは本音を思いっきりぶつけ合った。

 ちなみに俺は会話に参加せず、オブザーバー役として、黙って聞いていた……


 話は、凄く弾んでいた。

 誤解から生じた、今回の行き違いの原因は、お互いの絆が深いから。


 両名は、とても似た姉御タイプで、竹を割ったような性格。

 元々、悪意はない。

 だから、大きな声で笑い合って、すぐに仲直りしたのである。

 勿論、レベッカが即、クーガーへハーブ料理を教える事となった。


 ただ俺は、少しだけ気になった。

 レベッカが、今回の人選をした理由を。

 つまり、クーガーとクラリスを選ばなかった意味だ。

 

 すると……レベッカは笑顔で教えてくれた。

 クーガーに関しては既に分かっていたから、声をかけなかったクラリスの『理由』である。

 

 まあ、クラリスに声を掛けなかったのは、俺も何となく予想は出来た。

 

 農作業に加え、村の服作り、アンテナショップの服や絵もやっていて「超が付くほど多忙」だったから。

 

 レベッカに聞けば……やはり、『その通り』だった。

 なので、今回は声をかけなかったらしい。

  

 そして、レベッカは、クーガー同様、クラリスにも、しっかり謝るって。

 「全部、料理の発案者である自分の責任、隠して御免。事前に相談すれば良かった」って言い張って。


 ちなみに、多忙という同じ理由で、『新村長代理』となったリゼットにも、声を掛けるかどうか迷ったそうだ。

 だけど、お題が『ハーブ料理』であれば、「絶対にスルーは出来ない!」と考え、一応相談したらしい。

 案の定リゼットは、「どんなに忙しくても協力したい」と即座に返したそうだ。

 

 偉いぞ、レベッカ。

 お前は、自身の人生に前向きなだけじゃない。

 とても細やかな気配りが出来る、『大人の女』になった。


 だから、俺もフォローしなくちゃ。

 レベッカと一緒に、クラリスへ謝る。

 俺と一緒に王都旅行へ行ったのが、きっかけだって。

 こういう細やかな気配りが、大家族を上手くやっていくコツだと思う。


 村へ帰ってすぐ、そんな感じで、クラリスに謝ったら……

 笑顔で、了解してくれてひと安心。

 案の定、「私も新料理を習うわ」って宣言されたのは納得。

 

 やっぱりクラリスも、自分だけ『特別扱い』は嫌で、皆と一緒に頑張って行きたいんだろうと思う。

 

 でも、無理させるのは禁物だ。

 ウチの嫁ズは全員が頑張り屋さん。

 オーバーワークになる危険がいっぱい。

 だから俺が、嫁ズ各自の体調には注意してやらなきゃいけない……


 そういえば……

 前世で、良く見かけたけれど……

 他人に対して気配りが全く出来なかったり、自分が悪い癖に謝れない人って意外に多い。


 母の父、つまり祖父と一緒に、車に乗っていた時なんか、特にそう思った。

 「俺がこの世界で一番偉くて、上手く運転している。だからどけ!」って、勘違い野郎との遭遇がいかに多かったか……

 狭い道で、祖父が「お先にどうぞ」って譲っても、「そんなの全然当たり前だ!」って感じで、視線も合わさず猛スピードで走り去るみたいな、糞が付く馬鹿……


 片や、気配りが出来る人は、笑顔で会釈してくれたり、軽くお礼のクラクションを鳴らしてくれた。

 それだけで、どんなに心が温かくなったか……

 

 その時、凄く嬉しくなった記憶は、大人になった今でもまだ鮮明にある。

 逆に勘違い野郎には、「お前みたいな最低な奴はバチが当たれ」って、子供らしい正義感を発揮、心の中で叫んでいたっけ。


 うん、気配りは愛だ。

 そんなに、大仰なものは要らない。

 さりげない自然な気配りをするだけで、人間ってお互いに凄く上手く行くと思う。


 その為には、日々感謝の気持ちは欠かせない。

 ボヌール村みたいな、家族は勿論、村民が全員で助け合って暮らしている環境なら尚更だ。


 俺は、気軽に「ありがとう!」って言う事にした。

 そして……

 拳と拳を軽くぶつけ合う、フィストバンプって奴をやる事にしたんだ。

 そしてハイタッチも……

 何かをして貰ったら、感謝の気持ちを籠めて……

 両方とも、お互いに喜び合うって雰囲気も良い。

 

 結論から言うと、フィストバンプとハイタッチは大受けして、村に定着した。

 

 最初は、単に面白がっていた村民達も……

 自然に、さりげなくやるようになったからであった。

いつもお読み頂きありがとうございます!


東導 号作品、愛読者の皆様へ!


小説家になろう』様で連載中の、

拙作『魔法女子学園の助っ人教師』


https://ncode.syosetu.com/n3026ch/


第4巻の発売が決定致しました!

※既刊が店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

皆様の応援が続刊につながります。


何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ