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第31話 「美少女達の本気」

 ここは、俺の家……

 

 俺、リゼット、レベッカの3人は改めて気持ちを共有した。

 お互いに、大好きだと。

 確認と誓いのキスも、10回以上してしまう。

 

 え?

 羨ましい?

 爆発しろ?

 ……ご尤もです。

 全然、反論など出来ません。


 更に、俺の重大な秘密も共有した。

 その上で、腹を割って話し合った。

 まあ基本的には、俺の能力の事だけを。

 転生やクッカの事は、まだ内緒である。

 頃合いを見て、話すつもりだ。

  

 3人で散々話した結果……


 リゼットが正妻となり、レベッカが第二夫人として決定。

 これは結婚の約束をした順番と、リゼットが村長の娘という事でレベッカも納得した形なのだ。

 但し年齢はレベッカが3つ上なので、リゼットはレベッカを『姉』と呼ぶらしい。

 

 そして……

 リゼットとレベッカのふたりは、お互いに自分が、俺に助けられた時の事をカミングアウトする。

 

 リゼットの時は、西の草原において100匹以上の大群で襲って来たゴブのうち、半分以上を火の魔法であっという間に焼き殺し、残りをあっさり撃退……

 片やレベッカの時は森で遭遇した凶悪なオーガを3匹、素手&剣を使って数分で瞬殺……

 

 衝撃の事実を知った美少女ふたりは、俺の戦闘能力の凄まじさに目を白黒させている。


「ゴブ100匹をあっと言う間に魔法で撃退!? それも半分以上を、魔法でコゲコゲに!? 何それ!?」とレベッカ。


「オーガ3匹をあっさり瞬殺? それも1匹は素手で、ですかぁ!? 凄すぎます!」とリゼット。


 もしこれらの秘密がばれれば……

 俺が確実に『勇者認定』され、王都に行ってしまうという事実も、ふたりは再認識したのである。


「良い? リゼット。ケン様の力の事は絶対に秘密ね! もしもクラリスやミシェルがケン様のお嫁さんになりたいと言ったら彼女達にも徹底しないと」


「レベッカ姉の言う通りです。了解です! ケン様が王都へ行ってしまったら私達耐えられませんもの」


 こうして、俺の嫁候補はふたりになった。

 『候補』というのは、この国では満16歳にならないと結婚出来ないから。

 管理神様が適当に決めたせいで、俺はまだ15歳なんだもの。

 

 ん?

 誰だ、まだまだハーレム第一段階と言うのは?

 ちなみに来年俺の16歳の誕生日に、ボヌール村において3人で結婚式を挙げる事も決めたから本当に楽しみだ。


 ――1時間後


 リゼットとレベッカは、それぞれ自宅へと帰っている。

 男女交際に関していかに寛容なこの村でも、嫁入り前の若い娘が男の家に堂々と泊まるということは無しだそうだ。


『ケン様……』


 う!

 この聞き覚えのある声……

 あああ、すっかり忘れてた!

 確か、大事な話があるって……


 幻影のクッカが、腕組みをして立っている。

 

 やばい!

 目付きがきつい。

 結構、怒っている。

 いや激怒してる?


『やあ、クッカじゃない、久し振り……』


『やあ、クッカじゃない、久し振り……じゃあありません! 完全に! わ・す・れ・て・た……でしょ?』


 やはり、クッカは怒っていた。

 でも、怒ったクッカも可愛い。

 紅潮した頬をふわんと丸く膨らませ、桜色の口をきゅっと尖らせている。


 一瞬見とれた俺だが、さすがにヤバイと思ってぶんぶんと首を横に振る。

 忘れていたという事実を闇に葬らないと……まずい。

 とてもまずい。


『忘れた? そ、そんな事無いぞ! だ、大事な話があるんだよな?』


『そう! 大事な話です。この前ケン様は私が、ケン様の事を、いじって面白がっているだけだって言いましたよね』


 クッカが、いつにもなく凄い迫力だ。

 あの、ほんわかとした『緩さ』が全く無い。


『えっと、言ったっけ? そ、そんな事』


『言・い・ま・し・た! 私はどうせ女神だから本気じゃないって!』


 ああ、そうだった。

 でも人間と女神。

 そんな恋なんて許されないだろう、普通は。


『で、でもさ。やっぱり人間と女神の恋愛は無理だろう?』


『私も確かにそう思いました! だから談判して来たのです』


『だ、談判!? だ、誰に?』


『決まっているでしょう? 管理神様にです。私とケン様の仲を認めて欲しいって』


 はぁ!?

 何、それ?

 管理神様へ、恋愛直訴って事?

 凄い度胸だ!


 でも簡単にOKが出るものなのか?

 無理だろう、普通は。

 人間と女神の恋愛なんてさ。


『当然、却下されただろう?』


『……それが』


 クッカは何故か口篭る。


『何と認められました! それも「やっぱりね」って笑われたのです』


 やっぱりね、って?

 どういう意味だろう。


『但し条件付きでした。私がケン様に本気で愛される事は勿論として、彼にとってなくてはならない存在になりなさいって』


 俺が本気でクッカを……そして彼女が俺にとって必要不可欠な存在に……


『私、頑張ります! 宜しくお願いします!』


 深く頭を下げるクッカを見て俺は不思議になった。


『クッカ、俺はさ、お前みたいな可愛い女の子に好かれてすっごく嬉しいけど……何で俺の事そんなに好きになってくれたの?』


 俺の質問は、クッカにとって意外だったようである。


『え? そういえば……分かりません。何故こんなにケン様の事が好きになったのか……だけど初めてお会いした時から、気になって気になって仕方がなかったのです』


 それって不思議だ。

 何故だろう?


『でも、そんな事は今更どうでも良いのです。ケン様、私頑張ります!』


 真剣な眼差しで、語るクッカ。

 俺みたいな奴の事を、そんなに?


 何か、気持ちが熱くなる!

 何なのだろう、初めて恋した時のようなこの気持ちは!?


 いじらしいクッカの気持ちに応えてやりたいと、俺は心の底から思っていたのであった。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

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