第1話「俺の提案」
俺はいろいろな柵から、死んでこの異世界へ転生した
管理神様からレベル99のとてつもない力を授かり、様々な魔法を使った。
当時サポート女神だったクッカの手解きを受けて、憧れだった召喚魔法を発動。
その時に呼び出したのが、現在居る従士3人なのだ。
冥界の番犬ケルベロス、妖精猫のジャン、そして悪魔の騎乗馬であったベイヤール。
ケルベロスは昔から憧れの魔獣だし、戦闘面で期待に応える能力を有していた。
妖精猫のジャンは、素早い動きと卓越した変身能力で諜報部部長としてぴったり。
ベイヤールは飛翔能力も併せ持つ悪魔馬。
普通の馬の数万倍の頑健さを持ち、戦闘と輸送においてオールラウンドな活躍をしてくれる。
呼び出した従士達は誰もが個性溢れるつわものであるが、皆、ひと癖、ふた癖あった。
分かり合えるまで、時間も要した。
だけど3人は良く俺に尽くしてくれた。
村の名物となったリゼットのハーブ園があるのは、3人の助力あっての事。
ソフィことステファニーを救えたのはジャンの活躍抜きには語れない。
そして最大の戦い……
かつて女魔王であったクーガー率いる11万の大軍とも、クッカとこの3人で渡り合った。
その時も従士達は大活躍——管理神様の助けもあり何とか勝つ事が出来た。
こうして3人とは生死の境もお互いにくぐった。
直近ではグレースを救った時に、ジャンの情報収集能力が大きく貢献したのも記憶に新しい。
俺は従士3人に対して固い友情の絆を感じている。
今では、単なる主従を超えた間柄とも言えるだろう。
普段俺が安心してボヌール村を留守に出来るのも、彼等従士達が居るから。
何かあったらすぐに報せるし、俺が駆けつけるまで上手く時間稼ぎもしてくれる。
このところオーガを始めとして人に害を為す魔物は激減したが、脅威は完全に去ったわけではない。
自然繁殖する以外にどこぞの亜空間から湧くという話も聞いたので、奴ら魔物が居なくなる事は永久にない。
以前のように大群で村を襲撃する事は滅多に無いが、遠くの森や街道附近では相変わらず出没するとの声も聞く。
多忙な為に暫く魔物狩りをしていなかったから、奴等がまたはびこっているかもしれない。
村での良きパパ役だけではなく、たまには『ふるさと勇者』の仕事もやらなくてはと思う。
そこでボヌール村近辺の見回りと狩りを兼ねて、小さな旅へ出る事になった。
問題は誰と一緒に行くかだが……
ここボヌール村での戦闘に向いているのは男性陣では俺に、ジョエルさん、ガストンさん、ジャコブさんである。
そして嫁ズの中ではクーガーにクッカ、レベッカ、ミシェルだ。
一番最初に俺の構想から外れたのは、リゼットの父ジョエルさんである。
義理父であるジョエルさんの戦闘能力は、極めて低い。
某漫画ではないが会ってすぐに分かった。
しかし、さすがに本人へ面と向かっては言えなかった。
ジョエルさんは村長という立場から、名誉職的に村の守備隊長を務めているに過ぎない。
腕っ節も弱く武器の扱いも並み以下だから、とても前面に出て戦う事なんか出来ないだろう。
ベテランの義理父ガストンさん、そしてジャコブさんは長年務めて来た門番の役目を放棄するなんて出来ない。
一番の問題はレベル99である俺の秘密。
嫁ズ以外には明かしていないから、男性陣の前で俺は『普通』にしか戦えない。
それでは非効率という事になってしまう。
だから、嫁ズ以外の同行者は考えられない。
選んだ嫁ズの中でクッカは治癒士。
完全な戦闘要員ではない。
ミシェルは強いが、店主として大空屋を空けるわけにはいかない。
そうなると実質的に動けるのは俺とクーガー、レベッカの3人となる。
そんな話が出ていた矢先……
クーガーが体調不良になった。
かといって、病気ではない。
女性へ毎月訪れる『アレ』である。
「こんなの大丈夫」とクーガーからは言われたが、俺は大事を取るように告げた。
真剣な俺の顔を見たクーガーは意外にも素直に従い、参加は見送りとなったのだ。
その様子を見ていたクッカ。
まるで鬼の首を取ったかのように、悪戯っぽく笑う。
「ふ~ん、男前なクーガーも一応は女子だったんですねぇ……」
相変わらずクーガーに対して、ひと言多いクッカ。
「いらっ」としたらしいクーガーが、鋭い視線を飛ばす。
「クッカ、ただでさえお腹が痛くてイライラしているんだから……締めるよ」
このようなやり取りは、もうお約束とも言える。
怒られたクッカも大袈裟に肩を竦めて、「ぺろっ」と舌を出していた。
元はひとりの人間だから、お互いに長所、短所、そして本音が分かっている。
最高の喧嘩友達なのだろう。
ここで、俺が提案する。
思いついた事があるのだ。
「だったら……今回は、俺と従士達だけで行って来るよ」
「え? ダーリン、何で? 私とじゃあ駄目?」
俺の意外な提案を聞いたレベッカは、不満そうに表情を曇らせたのであった。
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