↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/848

第127話 「戻って来た平和」

 服を着た俺は、自宅の扉を開けた。

 やはり……

 外にはリゼット達、留守番組の嫁ズが全員居た。 


 意外にもリゼット達は、にこにこしている。

 俺が無事に戻って来た事を知っているみたい。

 そして、初めて会う女の子達が目の前に居るのに、ご機嫌だ。

 

 これはどうした事なのか……

 と、不審に思った俺だったが、


「うふふ、大丈夫です。神様から私達全員へお告げがありました。すべて聞いていますよぉ」


「「「「そうで~す」」」」


 何だ、そうだったのか。

 と、のほほんとしている場合じゃない。

 ちゃんと御礼を言わなきゃ。

 

 本当にありがとうございます!

 管理神様ったら、またまたナイスフォローです。

 村を元に戻してくれた事といい、良い仕事しますねぇ。


 俺からも「さくっ」と経緯けいいを話してから、早速クッカ&クーガーを紹介した。

 でも嫁ズの中で、もう打合せはしっかりと出来ていたようだ。

 クッカとクーガーの前で、リゼットは、「はきはき」と挨拶する。


「クッカ姉、クーガー姉、これから宜しくお願いします」


 そしてレベッカ達も斉唱。


「「「「宜しくお願いしま~す」」」」


「皆さん、改めましてっ! クッカです、宜しくお願いしますねっ!」


 嫁ズの挨拶に対して、朗らかに返すクッカ。

 これまで俺にしか見えない幻影ではあったが、クッカはボヌール村で暮らして来ている。

 嫁ズとも、全員気心がしれているから。

 

 しかし……

 クーガーの方は、ずっと無言だ。

 暫し経っても返事をせず、しまいにはうつむいてしまう。


「…………」


 俺は心配になって、うつむいているクーガーの顔をのぞき込んだ。


「どうしたクーガー?」


 ああ、目が真っ赤だ。

 涙が、一杯溜まっているじゃないか。


「おいおい、大丈夫か?」


 俺が心配して声をかけたら、クーガーは手で涙をぬぐい、ようやく口を開く。


「わ、私は……世界を滅ぼそうとした悪の魔王だ。皆からケンを無理矢理奪おうとした酷い女だ。……こ、こんな私でもお前達は仲良くしてくれるのか?」


 辛そうな口調で、口籠りながら尋ねるクーガー。

 しかし、笑顔のリゼットが、「ぽ~ん」とクーガーの肩を叩いた。


「もうそれは言いっこなし。これからは皆、同じ妻同士なんだから一致団結しましょう、クーガー姉」


 再び姉と呼ばれ、クーガーの涙腺るいせんはとうとうパンクしたようだ。


「私が姉? お前達の姉なのか! う、うわああああん!」


 クーガーったら……思い切り大泣きしちゃって。

 さっきまで冷酷非情な女魔王だったのに、すっかり涙脆なみだもろい美少女嫁になっちゃった。


 ホント……可愛いぞ、お前。


「ふたりとの出会いは、私の時と一緒で……良いのですよね?」


 ソフィことステファニーが言う。

 そう……

 クッカとクーガーは、遠くの国から旅をして来た双子の美少女姉妹。

 そのような触れ込みで、ボヌール村へ移住する事になるだろう。


 嫁ズ全員が嬉しそうに微笑んでいるのを見て……

 俺は、確かな幸せを予感していた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ソフィの言う通り……

 クッカとクーガーの『サオトメ姉妹』は俺と街道で知り合い、ボヌール村にやって来た――

 という触れ込みとした。

 ちなみに西の草原における俺と魔王軍との激闘の跡は、管理神様が処理してくれたらしく、全く痕跡が残っていなかった。


 おお、管理神様、超が付くスーパーナイスフォロー。

 やっぱり、貴方は素晴らしい仕事をしますねぇ。

 

 でもでも!

 良~く考えたら……管理神様。

 貴方だっていろいろな尻拭しりぬぐいで、大変だったんですもの。

 どうすれば皆が幸せになれるか、いつも考えてくれたんですよね。


 俺にはとぼけた口調で話す管理神様が、いかに深謀遠慮の存在なのかが改めて実感出来たんだ。


 ベイヤールは何も無かったかのように(うまや)に居たし、クーガーに消された筈のケルベロスやジャンも無事に村へ戻されていた。

 ジョエルさん以下村民の方々に関しては、ぐっすり寝ている間に全て事が終わったので、こちらも問題無し。

 全てが万事丸く収まったのである。


 こうして俺と嫁ズには再び平和な日々が戻って来た。


 そして……

 月日が流れた。


 俺と嫁ズが村で働く日々は、ますます充実したものとなった。

 新たに『嫁』として加わったクッカとクーガーも優秀な女の子だったから。

 人間に転生したが、管理神様はふたりへ魔法の素晴らしい素養を与えてくれていた。

 クッカもクーガーも上級魔法使いレベルの力がある。

 

 ちなみにクッカはハーブ好きから派生した薬師、クーガーは魔王だった能力から戦士としても優れた適性があった。

 

 ふたりは我がボヌール村にとって凄く貴重な人材となった。

 但し、俺のレベル99の力同様、おおっぴらに使うとまずい。

 なので、注意しながら地味に能力を発揮したのはいうまでもない。


 そんなこんなで……

 俺がボヌール村へ来て1年近くが経った。


 もう少しで俺の16歳の誕生日(ちなみに俺の誕生日は管理神様が適当に決めた日だ)を迎える事になるが、その日は俺と嫁ズが心待ちにしている日でもある。

 

 ボヌール村のあるヴァレンタイン王国の法律で定められた結婚OKの日……

 そう、俺は16歳の誕生日に、嫁ズと正式な結婚式を挙げる事になったのである。

 

 村長のリゼット父ジョエルさんに聞けば、ボヌール村では久々に行われる結婚式だという。

 村民達も、めでたい日を楽しみにしているようだ。

 村中がお祭りのようににぎやかに、そしてほがらかになるのは間違いない。


 誰もがその日を、指折り数えて待っていたのである。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。