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ピッツァに嘘はない!  作者: 櫛田こころ
第一章 名解き
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移動しまーす-②

「うっ、えぇっ!」


 途中急上昇したり急降下したりと安全運転ではあるけどジェットコースター並みだよっ!

 ディシャス君?ちゃん?、お姉さんまたフィーさんの時のように乗り物酔いしそうだよ。これで遅い方なの⁉︎

 あれから、5分も経ってないでしょうか。

 僕、エディオスさんの言う通り腰砕け状態ですよ!


「結構ゆっくりしてくれてるけどねぇ?」


 僕の心情を読んだのか、フィーさんがヨシヨシと撫でてくれた。

 え、これでゆっくりなの⁉︎

 普段どんなけぇ……。


「はっはっ! このスピードでもなんとか夕方には

 間に合うかどーだかだしな? ちみっこ、ちぃっとばっかし我慢してくれ」

「うっうっ……はいぃ」


 間に合うかどうかって言うなら仕方ないよね?

 とは言えども、ぐわんぐわんするんでフィーさんにがっちり掴まってます!

 フィーさんはにこにこしたまんまだし……いい人だけど、絶対楽しんでるよね、これ⁉︎


「ぎゅるるぅ」

「あ? さすがにもうちょい上げんとキツくなってきたのか?」


 なんですとぉ⁉︎

 間に合うかどうかってエディオスさんが言い出した途端だよー。


「うーん……今日中のがいいよなぁフィー?」

「そーだねぇ? 明日すれ違っちゃ伸び伸びになるだろうし」

「よくそいつんこと把握してんなぁ? しばらく来てねぇのによ」

「まあ、今回はちょっとねぇ」

「誰だよ一体」

「君もすっごい知ってる人だよー?」

「ってーと……って、はぁ? あいつ?」


 あのー、この轟音の中よく普通に会話なんて出来ますねぇ。

 僕は舌噛まないようにお口チャックが限界ですよ!

 あんたら超人っ⁉︎

 いや、むしろ慣れか……。


「なんであいつなんだ?」

「さぁて、行ってからのお楽しみってね。それより速度上げた方がいいんじゃないの?」


 フィーさん鬼ですよ!

 エディオスさんもそれはそっかみたいに頷かないでっ!


「しゃーねぇからちぃっとばっかし上げるぞ?」

「うぇっ」


 合図と同時に、ぐいんと速度が上がっていくのがわかる。

 うひゃーっ⁉︎

 さっきのも結構なものだったのに、今度は風で顔が若干痛いくらいですよ。

 フィーさん平気そうだけどなんでぇ⁉︎


「ん? まあ、慣れだねぇ?」


 どーして読めるんでしょうかね?


「君がわかりやすく作っているからだよ?」


 あーそーですか。

 僕はそんなにわかりやすくなっておりますか。

 ってそれより速度上げ過ぎでやーばーいーっ!

 それとなんかディシャスの身体がうねってるような……。


「……ディ、嬉しそうに身体しならせんな。ちみっこが顔強張らせてる」

「ぎゅぅぎゅぅ」


 うへぇ。胃の中がせり上がりそうだったよー……。

 速度はそのままだけど、グラウンディングが終わったからちょっとほっとしたよ。


「面白かったのになぁ……?」


 それはディシャスの行動ですか、それとも僕ですか⁉︎

 それから速度は落ちることなく、ディシャスは一点集中と言う感じである場所を目指していった。







 ♦︎







 どーもです。

 もー限界ですよ。


「ありゃりゃ、大丈夫?」


 比較的速度が緩やかになったと思ったところで、フィーさんが僕の顔を覗き込んできた。

 どうも酷い顔をしているようです。

 そりゃあ、あんな絶叫マシン並みな渡航にゃ耐えるのが難しいものですよ。

 フィーさんと操縦してたエディオスさんはけろっとしてますがね。


「ま、どーにか日暮れ前には間に合ったな」


 間に合いましたか。それはよーござんしたよ。

 でもまだ上空なんで、下は見れないよ。

 高所恐怖症じゃあないけど、いきなり高いとこの下見ろって言われても無理だね!


「って、ちみっこひっでぇ顔だなぁ?」


 エディオスさんにも言われちゃったよ。

 そんな酷い顔なの⁉︎


「これから一気に降りるってのに、大丈夫かぁ?」


 なんですとぉ⁉︎

 一気に急降下ですか!

 だからゆっくり旋回してたんかい!

 そーです。止まったかと思えば、ゆっくり大きくディシャスは回りだしたのですよ。

 なんだろうと思っても、ぐぇってなってる僕はよく周りが見えない状態でした。


「っし、フィー。ちみっこ抱えててくれ。飛ばされはしねぇと思うが、そのままじゃマントに煽られそうだしよ」

「そーだねぇ。じゃ、こっちおーいでっと」

「わっ」


 フィーさんに脇の下から持ち上げられて、僕はあぐらをかいた彼の上に乗せられました。

 すげぇ恥ずかしいですが、昔お兄ちゃんの脚の間に乗ってぐるぐる回るジェットコースター思い出したよ。もしやあんな感じって思っていたら、前のエディオスさんが手綱をぎゅっと握り直していた。


「あんまり動かない方がオススメだよー?」

「死んでも動きませんっ!」

「そこまで過剰に言わなくても」

「おい、フィーは良いだろうが、ちみっこは舌噛むだろうからしゃべんねぇ方がいいぞ?」

「うわっ、はいぃ⁉︎」


 もうしゃべりません! キツくお口チャックします‼︎

 僕の様子をエディオスさんは流し目で見ると、ふっと口元を緩められました。

 惚れはしないが、イケメンさんはいいね。役得でしょーよ。

 そして、エディオスさんはもう一周した辺りで手綱を上に動かした。


「ディ、行くぞ!」

「ぎゅるぅぎゅーっ!」


 降りるんですよねぇ。落ちるんじゃなくて⁉︎

 そして、ディシャスが手綱の動きに合わせて一気に身体を下に向けた。

 フィーさんに抱えられてても、G(ジー)がお腹に圧してくるよ!

 ピッツァ戻しそうになるのをなんとか堪えたよ‼︎


「ほら、前見てごらん?」


 しばらくしてから、のほほんとフィーさんが僕の肩を揺らした。

 僕はいつに間にか目ぇ(つむ)ってたんで、彼の声しか耳元に届いていなかった。

 けど、言われた通りに目を開けると、前方にはあり得ない光景がありました。


「お……城?」


 日本の城郭じゃあないですよ。ヨーロッパの旅行テレビとかでよく出てくるような造りのお城。

 えっ? エディオスさん何者ですか? お城の関係者だったの⁉︎


「飛行場は……っと、今はあそこか?」


 手綱を片手にまとめ、少し目を凝らしていらした。

 か、片手で大丈夫なんですか! 安全運転ですよねぇ⁉︎ って、車じゃなくて生き物でした。


「よし。ディ、見えるか?」

「ぎゅぅ」

「だよなぁ。うまくやれよ?」

「ぎゅぅぎゅぅ」


 こちらを気にせずに、のほほんとしていますよ。

 ディシャスは主人の言葉に反応して相槌を返し、急降下していた身体をぐるんと反転させ、旋回しながら降りていく。

 段々僕も受ける風に慣れたのか、下が見えるようになってきた。

 お城の周りに浮き島?

 普通にヨーロッパファンタジーっぽくないよね、これ⁉︎


「へぇ。今の飛行場はあそこかー?」


 ぴゅいと口笛を吹くフィーさん。

 飛行場って、あの浮き島が?

 あれ、お城に降りるんじゃないんですか?

 ともあれ、ディシャスは浮き島の1つめがけて降りていく。5分も経たずに地面が目の前にやってくると、後ろ脚を下にしてどさっと降り立った。


「到着、っと」

「ぎゅるぅ」


 どーやら着いたようです。

 が、こっからどーやってお城行くの?と、僕はフィーさんに抱えられながら思った。


「見ててごらん」


 すると、浮き島がガコンと動き出した。

 そして島はお城めがけて降りていくようです。

 ほへー、こーゆー仕組みなんだ?


「一番ちけぇとこに降りたから、お前らそろそろディから降りた方がいいぞ?」

「はーい」

「うわっ」


 またフィーさんにお姫様抱っこされて、ディシャスの身体を跳躍しながら降りて行きましたよ。

 地面にすたんとフィーさんが足をつけると、僕を降ろしてくれました。


「あ、ありがとうございます」

「どーいたしまして」

「よっ、と」


 とんっと、隣にエディオスさんが降りてきました。

 えっ、今上から一気に降りてきたの?

 だって速過ぎでしたもの。

 純粋にすごいと思い、パチパチと拍手しちゃいました。


「お、なんだ?」

「この子のいた世界じゃ、こーゆー身のこなしが出来るのが少ないみたいだね?」

「柔な奴ばっかかよ?」


 いえいえ、一部はいるにいますが極限られた人達だけですよ。

 スタントマンのことを伝えると、エディオスさんはふーんと首を傾げました。


「こんくらい大した事ねぇのによ? それが仕事ってか?」

「娯楽が多い世界だからね。曲芸とかとはまた違うようだし」

「あ、それもありますよ?」


 一回だけサーカスは見た事あるのです。

 あれすごいよねぇ。特に最近のはおっきい器具使って宙返りとかもあるし。文明との共演、すごいとテレビで見て思ったよ。

 そうこうしているうちに浮き島は、お城の近くにある広い平地にまで降りていきます。

 ぶつかると思ったけど、地面スレスレで止まったよ。どーゆー仕組みなの、これ?


「このくらいなら、君でも降りれると思うよ?」

「え」


 またお姫様抱っこじゃないんですか?

 確かに、そんなに高くないし降りれない事もないけども。

 ぐるりとフィーさんを見上げると、にこにこしてらした。

 練習ですか? 仕方ないよね。ディシャスは異常だもの、ここは度胸だ。


「え…………っと。よっ、と、とぉ?」


 助走をつけていざ降下っ!と勢いつけようとしたら、首根っこを掴まれました。

 触れたゴツい手の感触からエディオスさんだとすぐにわかりました。けど、なんで止めるの?


「あのなぁ。お前のちみっこい足で着地出来ると思うか? フィーも無理に挑戦させよーとすんなよ」

「えー? 大丈夫だと思うけど?」

「骨は折れねぇとは思うが、(ひね)るぞこいつの場合」


 どんだけ鈍臭いと思われてんですか。

 でもまぁ、泉前で体力すっからかんになりかけてたから、前の成人した身体と比較したら無理あるかもね。


「しょーがないね。今後鍛えてあげないと?」

「名前引き出してからにしろよ?」

「そだねぇ」


 あの、訓練しなきゃいけないんですか?

 僕ただの料理人ですよ!

 する必要ないと思うんですが⁉︎


「とりあえず、暴れんなよ?」

「ほぇ?」


 なんとエディオスさん、僕の首根っこ掴んだままそのままジャンプ⁉︎

 びっくりしてジタバタ出来なかったけど、すぐに着地されました。

 僕、こう言うの訓練しなきゃダメなの? 無理な気がするよ……。


「よ、っと」


 フィーさんも隣に着地。

 あれ、ディシャスはどーするのかな?

 すると、僕の前にディシャスのドアップが⁉︎

 どーやっていつの間に降りてきたの!


「ぎゅぅるぅ」


 ディシャスは鼻の辺りを僕の頬に擦り寄せてきた。

 おお、意外に痛くないしツルッツル。

 おそるおそる右手を差し伸べると、好きなように触らせてくれた。勇気を持って牙の方にも触ってみると、そっちもツルッツル。歯磨きしっかりしてるよーです。


「ほんと、ちみっこを気に入ってんな?」

「初見でここまで懐いたり、触らせてくれる奴じゃあないと思ってたけど」


 お2人とも目をぱちくりされてます。

 そんなに珍しいことなの?

 最初は怖がってごめんね、ディシャスよ。

 なんだか可愛くなってきたので頬擦りしてあげよう。

 スリスリしてあげたら嬉しそうに鳴き声を上げてくれた。


「……ネティアかよ」

「どーかん」

「ネティア?」

「竜の子供の総称。こいつの場合二百年前くらいのことだがよ」


 ほうほう、竜は竜でも子供時代は別名があるんだ。

 ってかディシャスはエディオスさんより歳下なんだ?

 まだ鼻の頭を撫でていると、エディオスさんはやれやれとため息を吐いた。


「あんまここでたむろってたらあいつ捕まり損ねるからな。そろそろ行くぞ」

「あ、ディシャスは?」

「自分で獣舎に戻るぜ?」


 ほらあそこだと指された場所には、天井が城の半分くらいありそうな建物が見えた。

 ふむふむ、あそこがディシャスみたいなのが寝泊まりする場所なんだ?


意外に簡潔?に書けました。

次回、新展開の予定でーす(=゜ω゜)ノ

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