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ピッツァに嘘はない!  作者: 櫛田こころ
第一章 名解き
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どどーんとお城ですよ-③

 しっかしこのお兄さん、エディオスさんとはそこまで年齢差を見せない面立ち……なんだけど、物凄く整っていらっしゃる!

 エディオスさんが兄貴っぽいイケメンなら、こちらは美形の象徴って感じだ。でも、ちゃんと男の人ってわかりやすいよ。

 背丈もエディオスさんくらいあるし、体型も男らしくすらりとしております。


「ん……?」


 ただ、こちらにやって来る途中、僕に気づいてきた。

 そー言えば、憤怒の如くお怒りでしたから、僕に気づいていなかったのかもね。

 フィーさんの近くまでお兄さんは来ると、僕をじーっと見降ろして来た。

 な、なんだろう?


「あ……?」


 項垂れてたエディオスさんも、静かになった僕らの様子に顔を上げた。

 とは言え、すぐにぎょっと目を剥いたけど。


「ゼ、ゼル、どど、どーしたんだ?」

「え、あ……いや」


 エディオスさんの慌てっぷりに、お兄さんははっと我に返った模様。僕からもふいっと視線を逸らした。


「……すまない」


 ぼそりと呟かれた一言。

 え、僕にだろうか?

 エディオスさんにはないだろうと雰囲気抜きにわかるから、僕は大丈夫だと首を振った。

 実際は美男に見つめられてドキドキしまくってたけどね!

 忘れてたけど、この人もエディオスさんに負けず劣らず美声です。低いけど、よく通る声。僕としてはこっちのが好み……って、おいおい。エディオスさんに失礼ではあるまいか。

 お兄さんは僕らから離れると、僕の横にある方の椅子に座った。


「君も席に戻ったら?」

「あ、そうですね」


 いけないいけないと僕はフィーさんから離れて席に戻る。

 その間にフィーさんがお兄さんにアイスティーを魔法で出して渡す。

 席順は扉から向かって手前が僕、お兄さん、フィーさん、エディオスさんの図だ。

 つまり、お兄さんの向かいがエディオスさんになるわけで。

 エディオスさんは相変わらず苦い顔をしていたが、お兄さんはアイスティーを半分ほど飲み干してたんっとテーブルに置いた。


「しかし、何故こんな時間までかかったのだ……?」

「うっ」


 お兄さんの質問に、エディオスさんはたじたじ。

 あー確かに言いにくいよねぇ? 魔物退治はともかくとして、ほとんど食事会だったもの。

 またこのお兄さんの逆鱗に触れたら噴火だけではすまないだろうしね!


「あ、この子が作ってくれた料理食べてたよ」

「フィーっ⁉︎」


 フィーさんぽろっと暴露。

 後々が面倒くなるからだろうとさっさと言ったのかもね。このお兄さんに嘘つき過ぎると、なんか眉間に青筋立てさせそうだし?

 エディオスさんは再度青ざめてしまい、身体がガクガク状態。

 あ、ちょっと可哀想になってきた。


「料理……?」


 あれ、意外にもそんなに怒ってないや。

 てか、また僕をじーっと見てきたよ。

 僕、そんなに珍しいのかなぁ?


「お前、料理が出来るのか……?」

「え、あ、はいっ!」


 聞かれたので素直に頷いて答える。

 するとお兄さん、目をまん丸にされちゃいました。

 まあ、びっくりするよね?

 見た目8歳児が料理するなんて、普通やらせないもの。それをエディオスさんが食べたって聞いたから余計に驚いてるのかも。

 でも、すぐに目を細めて未だがくぶるのエディオスさんに流し目を送られた。


「こんな幼子に料理をさせたのか?」

「ち、違げぇって‼︎ そいつが作ってたのを食わしてもらっただけだっての‼︎」

「………そうか」


 流し目終了。

 エディオスさんふにゃふにゃだよ。一喝したり、殴り飛ばしてた屈強な男前はどこに?

 よっぽどこのお兄さんのお怒りモードが恐ろしいのね。僕もビビりまくってたから他人のこと言えないけどさ。

 あと、エディオスさん来た早々つまみ食いしてたよね? そこ言おうかなぁとちょいと悩んだけどやめておいた。目の前で喧嘩勃発されたらやだもの。

 うん、安堵が優先なので黙認しておく。

 ただフィーさんは言うかなぁと思ったけど、意外にも閉口してた。


「それよりエディオス」

「え?」


 お兄さんの問いかけに、エディオスさんまたもやたじたじ。さっきからこればっかりだなぁ?


「今日の昼一(ひるいち)に予定を組み込んでいただろう。何故フィルザス神の元へ向かった?」

「あ、あれは無視しとけって言っただろ!」

「交易の為だと何度も言ったはずだ! あの地域を任せたのだから、報告くらい聞いてやれと俺は前にも言ったが?」

「まだ途中だろう⁉︎ フィーの用事だからそっち優先じゃねぇか」

「おーいエディ、僕さっきも言ったよね? ぜーんぶ終わらせてからおいでよって」

「うっ‼︎」

「はぁ……」


 聞いてる限り、結構重要っぽい感じだ。フィーさんの言った通り。

 でも、肝心のエディオスさんが無視しろって言うのがよくわからないけど。

 って、僕とか完全に部外者だよね? 聞いてていいのかなぁ?


「たしかにフィルザス神は、この世界の創世の神だ。……が、こうも言っているのだ。お前とて阿呆ではないはずだが?」

「……わぁったって! 明日の朝二ならいいだろ⁉︎」

「……ならいいだろう」


 おお、終わったようだ。

 とここで、お兄さんが僕に視線を投げかけてきた。


「ところで、この幼子は何故ここに?」


 まあ、気になるよね?

 いきなり部外者がいたらおかしいと思うもの。

 フィーさんは神様だから別ですよ別。

 と、そのフィーさんがアイスティーを飲み干してから僕に向き直った。


「訳ありで連れてきてね? 最も、君が来てくれたから解決にはつながりそーだけど」

「……俺が?」


 え、ってことは探してたお人って、このお兄さん?

 一体全体僕とどう関係があるんだろう?

 お兄さんも自分が関係あると思わず、また僕をじーっと見てくる。

 あの、そんなに見られると焼けます!

 ピッツァ出来そうなくらい!


「ゼル、気に入ったのか……?」


 ぼそりとエディオスさんが呟く。

 え、そうなんですか?

 ディシャスの時と言い、僕なんか気に入られる率がすげぇ高いんですが。


 ゴンっ!


「ってぇ⁉︎」

「余計なことを言うな……」


 お兄さんがエディオスさんに鉄拳制裁。

 しっかし、いい音でしたよ。心の中で拍手を送りました。まる。

 お兄さんは気恥ずかしさを隠したかったようで、目元がちょっぴり赤かった。美形のツンデレですね、ごちそうさまです。

 あ、僕は腐女子じゃないからね!

 ツッコミ親友のちょっとばかしの影響。あの子の方が腐女子だったな、うん。

 じゃなくて、このお兄さんが僕の名前に関連しているって言うのですか。

 どーゆーことでしょう?


「俺がこの幼子にどう関係があるのだ?」


 お兄さんも回復されたようで、アイスティーを一口。

 聞かれたフィーさんはふふって笑ってた。なんか、やな予感が……。


「君がこの子の『御名手(みなて)』になるんだよ?」

「ぶっ⁉︎」

「はぁ⁉︎」

「ん?」


 お兄さん二口目のアイスティーを噴きそうに、エディオスさんは目をまん丸く、僕は全然わかんないので首を傾ぐ。

 おおう、お兄さん大丈夫かなぁ?

 隣だったのでさすってみます。紫のマントでどこが背中かわかり難かったけども。


「す……すまない」


 お兄さん大丈夫な模様。良かった良かった。


「って、フィー! マジでゼルが『御名手』って本気かよ⁉︎」


 エディオスさんはフィーさんに詰め寄っていらした。

 かく言うフィーさんはどこ吹く風なご様子。

 あのー、話の中心って一応僕ですよね?

 さっぱわからんので説明求む!


「うん、本気だよ?」

「おいおい、いくらちみっこの見た目が今はこうだからって。ゼルがなんでまた……?」

「だってねぇー? まるっきり無関係じゃなかったし、僕じゃあ無理だからね。こればっかりは」

「フィーが無理、だとぉ?」


 わーん、僕除外されそうです。

 ん? フィーさんが無理ってなんでまた?


「うん。僕が神でもこればっかりは無理」


 などと再度断言されました。

 一体全体どーして?


「どーしてフィーさんじゃ無理なんですか?」


 お兄さんのお背中辺りをさすさすしながら、僕は聞いてみた。

 すると、フィーさんにんまりと口を緩める。

 あ、またやーな予感が……。


「えー? 女の子に聞かせていいのかなぁ? いいかなエディ?」

「お前ぇ、今ワザとちみっこの性別優先させたな?…………まあ、いいんじゃねぇの? ずっと名無しのまんまじゃめんどーだろうしよ」

「……やはり、女子(おなご)だったか」


 あのー、はぐらかそーとしないでくださいます?

 それとお兄さんも僕の性別が女だと確信されたご様子。幼児体形からどこでわかったんだろ?

 エディオスさんの時みたく声かなぁ?


「この幼子は『名』がない状態なのか……?」

「正確には封印してある状態。だーかーらー、御名手じゃなきゃ引き出せない感じだね?」

「何故俺が……」

「思い当たらない訳ないでしょー?」

「うっ……」


 おや、今度はお兄さんがたじたじ状態に。

 初対面だけど、珍しいものが見れたかもね。

 ん? なんか聞き逃せない単語が出たよーな?

 よく聞いてなかったからスルーしちゃってたよ。


「なに? お(めぇ)ら初対面じゃねぇのか?」

「うるさいっ!」

「い"ってぇ⁉︎」


 エディオスさんまたもやボコられてます。不憫だ。

 でも、僕は今度は聞き逃してないよー?

 って、僕このお兄さんと初対面じゃないの⁉︎

 逆に今度は僕がお兄さんをじーっと見つめます。


「う……っ」


 美形のお兄さんがたじたじ……ああ、繰り返してちゃいかんね。

 って言ってもさっきも言ってた『みなて』ってなんぞや。ここは聞くべきでしょーよ。


「みなてってなんですか?」

「おお、本人が聞くとは」


 外野に回ってたフィーさんがぱちぱちと拍手。

 あのー、あなたが言い出したことですけども。

 お兄さんはと言うと、説明しようかしまいかと黙ってしまわれた。

 また目元がちょっぴり赤いけど、え、なに? 恥ずかしいことなんですか?

 そんなお顔されてはこっちまで赤くなってしまうではないか。

 うーん……でも、僕の名前に関する重要事項っぽいもの。めげませぬ!

 意気込んで更にじーっと見つめますと、お兄さん観念したのかはぁと息を吐かれた。


「これは俺から説明した方がいいのか……?」

「もちのろん。まあ、いいじゃない? 予行演習だと思えば?」

「あのな…………っ!」


 フィーさんのチャチャ入れでお兄さん握りこぶしを作られた。

 エディオスさんと言えば、にまにまされてるし。あれ、お兄さんへの意趣返しなのかなぁ?


うーむ……ゼル兄さんの容姿の特徴出せてるか書いてて思ふ(=゜ω゜)ノ

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