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背後の男の声
森を次第に抜け始めると
ぼちぼちと民家が現れ始めたのだ
しかし、問題は、そこではない
その民家のすべてが
ほとんど、住んでいない事を示すような
酷く荒れた建物であり
文字通りの空き家と言った風情だった
「何が出てくるのかしら」
彼女は、金髪の男にそう言ったが
男はそれに対して
「さあ、何が出てくるだろう」
と、疑問で返す
しかしそれが彼女に対してではないと
別の声がしてわかる
「妖怪か何かじゃないのか」
その声は、男によく似てはいたが
男の口は動いてはおらず
ただ背後で聞こえたような気がしたが
そこには何もいない
「いいかげんだな」
それに対して
「面白くない」と背後の声が言う
「これは妖怪なのだろうか」
「さあな、それこそ伝染病じゃないのか」
それ以降声はぜず
少女は、いつの間にか、真顔であたりを見渡すのであるが
何かいる様子はない




