再開の日に
読んでくれてありがとうございます
ええええええええ
中村航太は絶叫しそうになっていた。
本当に来たのかあ、と驚きを隠せない。
1年前、航太のことが好きだと言ってきた少女、杏奈を見つけたからである。
航太達が卒業する日の朝の電車。
彼女に言われた記憶が蘇る。
_先輩が私のこと忘れてなかったら返事を……
本当は好きだと言われたときにすぐ返事をするつもりだった。
でも、こんなふうに言われたら待ってるとしか言えるわけないじゃないか。
実は僕は、彼女のことはよく知っていた。
彼女の兄と僕は仲が良いのである。
彼女の兄は…まあなんというか、妹が可愛くて仕方がないらしくいつも彼女の話をしていた。
それでどんな子なんだろうって思ってたのだ。
そんなときちょうど電車で倒れた子を助けた。
まあ、それが彼女の兄の話によく出てくる「杏奈」だった。
ありがとうございますって耳の位置くらいに結んだ二つ結びを揺らしながらお礼を言う彼女を不覚にも可愛いと思ってしまったのだった。
それからは見つけると気がついたら彼女のことを無意識に見ていた。
最初は可愛いなと思うくらいだったのに、どんどん彼女に惹かれていくのがわかったのだった。
********
年下の女の子好きになるとか、思いもしなかったよなあ。
高校の制服を着てちょっとだけ大人になったような彼女を見ながら航太は思う。
あのとき、彼女に言えなかった返事をしなければ、と。
_僕も好きだよ。
心の中で呟いた。
読んでくれてありがとうございました