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04

 ◇

 

 それでもなんだかんだと夏休みは過ぎていって、いよいよ二学期もあと数日後に。


 しかし、相変わらず宿題の絵日記(2枚分)が埋まっていないとと。

 いつもならば、ヨシコがうまいことおだてたりすかしたりプロデュースして一枚は適当に書かせ、もう一枚は家族イベントなどの写真を貼ってヨシコが適当にコメントを書いたらととに文章を書かせたりして仕上げていた。

 だが、ととに文章を書かせるのは至難のわざ。

 簡単な文を見本に書いてそれをそのまま丸写しさせる方法もあるが、クセ字まで忠実にマネしてしまうため、時々とんでもない創作文字に変換してしまうことがある。

 口頭で一文字ずつ伝えてそれを筆記させる手もあるのだが、それにはかなり時間がかかる。手が離せなかったヨシコ、しかたなく、ケイちゃんに傍らに座ってもらって

「ほら、ゆうべお祭りに行ったよね」

「射的、やったね~」

「かき氷、おいしかったね~」

 と、ととに対してかなりな記憶介入をやってもらうことにした。

 字も、ケイちゃんが薄く小さく紙に書いてみる。


 おまつりにいきました。

 かきごおり

 しゃてき

 たのしかったです。


 すると、とと、ようやく真似しながらその文字を横に書き始めた。しかし、まるでやる気無しの筆圧。

 ようやく、ここまで書いたものの、絵も描こうとしない。

 ケイちゃんがけんめいに


「ほら、絵! 絵を描きな、絵! 絵ぇ、描きな!」


 そうしたらなんと、ととは画の欄の端にアルファベットで「A」と。しかもちっちゃく。


 うん、確かにA描いたな。ケイちゃんが呆然とつぶやいた。


 ◇


 翌日は始業式、夜も更けて……

 中学一年の長男・とら、只今猛勉強中。

 塾にも行かず、手伝いもロクにせず、部活も文化部なので夏休み中はほとんど活動なし、というお気楽な身分。

 それなのに、明日の始業式に向けてなぜか、宿題のノートをひたすら文字やら数式やら英文で埋め続けている真っ最中な彼。

 元々の宿題は

 ・自習ノート20ページ

 ・英語ノート30ページ

 ・漢字ノート20ページ

 ・読書感想文5枚程度

 ・自由研究等(これは任意)

 だったのだが、昨夜は、ひたすら自習ノートと英語ノートに向かい、半泣きになりつつもそれでもノルマの半分くらいは埋まり、寝たのが結局明け方の4時。

 そして最終日、だというのにまだ英語が10ページ、自習が10ページも残っていたのであった。

 最終日の朝は7時に起きて、またノート埋め作業。

 それは勉強ではない。単なる作業だな、とヨシコは横目でみながら思う。

 どうしてこんなに宿題が残ってしまったのかは不明。

 ヨシコ見るに、小学校の時の方がまだ計画的に宿題を進めていたような気がする。

 この男がまた、メチャクチャ要領悪く、ヨシコが自習ノートをちょっとのぞいてみた所、まるで米粒に写経のような細かい文字と図とでびっしりと書き込んでいる。

 1ページにつき、長い時で30分以上はかけている。

 これをあと10ページもなんて無理でしょう、ヨシコは密かにため息。

 いつもならばすぐ訴える頭痛も訴えず。それどころではないというのが正直なところかも。

 夏休み当初は

「自由研究、何やろうかな~」

 なんて呑気に言っていた彼。今日は無口。

 まあがんばれ。まだ今日は2時間近く残ってるぞ。と心で励ますヨシコ。


 ……そして始業式の朝は爽やかに明けた。


 とりあえず間に合った長男、ぐったりとしながらも登校

……昨夜は結局、宿題が終了したのが2時過ぎであった。


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