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02

 ◇ 


 ぴかが珍しく、明日の朝は早く起きたいので起こしてね、とヨシコに頼んできた。

 小学校は明日お弁当持ちだとのことで、6年の兄・とらと相談して、自分たちのお弁当を自分たちで作ろうと思ったらしい。

 そして朝5時半、ヨシコはあわてて飛び起きる。なぜかその日に限って二度寝しそうになったヨシコ、それでもいかにも早くから起きていたように余裕の表情でとらとぴかを起こす。

 子どもらが顔を洗っている間に湯だけ沸かして、後は雑用なぞしながら成り行きを見守ることに。

「材料は、何かある?」

 と兄。準備してないからないよ、とヨシコが答えると

「まあ、肉とジャガイモと玉子があれば……」

 と偉そうな口をききながら厨房に立ち、とりあえず、ジャガイモの皮をむいている。

 ぴかはぴかでうろつきながら

「私、たまごやきしか作れない~」

 とコンロに近づいたが、コンロが空いていないのをみると、

「じゃあ、おむすびの係になるね~」

 と、ラップと塩を用意、どんぶりにご飯をよそって、いそいそと握り始める。

 その間、兄は薄めに切ったジャガイモとハムを交互に竹串に刺し、小麦粉を軽くまぶしてからとき卵をまんべんなくかぶせ、油で揚げている。

 でも油が少し怖くて、途中から助手の私に揚げ係を一任。


 すっかり時間がたって、いつもの朝食の時間になってしまった頃、お弁当完成。

 おむすびと、串揚げ、敷物はレタスのみ。

 それでも子どもらは満足して、ふたりして自分の弁当を包んでいる。

 弁当をちゃんと隠してから(と言うのも、見つかると、ととが大騒ぎして自分も弁当を持っていくのだ、と聞かなくなるから)ぴかは、ととを起こしに行ってくれた。


 朝食は、昨夜の残りのカレー。おかげで、子どもは三人とも早々と食べ終わり、余裕の着替え。

 いつもはぐずついているととも早く着替えが済み、大好きなテレビ番組のお許しが出ていつもよりゆったりと観ている。歌を聴いては、見よう見まねの振り付けで踊っているほどの余裕。

 二度寝注意報という内容の曲、今朝二度寝しかかったヨシコも、妙にしみじみと曲を聴く。


 定時となって、みな機嫌よく学校へと出かける。

 ……たまには、うまく回る日もあっていいかな、とヨシコは残った玉子焼きを口に放り込んだ。


 ◇


 もうすぐ6年というとと、悪戯がめっきり減った、といいたい所だがそうでもなく。

 それでも寒さのせいか、やや不活発にはなっている気もしないでもない。

 しかしそれでもこまめに悪事の限り。いえいえお代官様こそ、なあに、越後屋お主もワルよのぅ、みたいな毎日であった。例えば……


 どうも、油性マジックをみつけると、何かの虫が起きてしまうようで。

 先日は、何か一生懸命描いているな、と思って放っておいたヨシコは、食事の時にトレーナーの袖が黒くなっているのを発見。

 よくみたら、こすって汚したのではなく、わざわざ手首から肩口の近くまで、ぐるぐると渦巻きのような模様を服に直接描き込んでしまっていた。

 嫌な予感がしてヨシコはさらに探してみると、新しいテレビのリモコンにも同じような渦巻きが。

 渦巻き教ゆるすまじ。

 ヨシコは力を込めてマジック汚れをこすりながら渦巻き教祖排斥を誓っていた。


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