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05

  ◇


 ととのいる特別支援学校では、入学からずっと『連絡帳』というものがあって……まあ考えてみたらとと兄妹の学校にも連絡帳はあるんだけれども、そこに、先生が(だいたい)いつも、その日学校でのその子の様子をけっこう細かいエピソードなどについても書いてくださることが多かった。

 大半が思ったことをうまく伝えられない、時にはととのようにほとんど話ができない、もの言えぬ子らのために親に色々と伝えよう、という先生方の熱意を常々、ヨシコも感じていた。

 ヨシコも書くのはキライではなかったので、つい家での細かい出来事を書き連ねてしまう、するとそれに対するリアクションも含め、また先生が何かと色々書いてくださり……


 ヨシコはいつも思うのだが、これって、子どもを媒介とした愛の交換日記なのでは?? と。


 先週末のできごと。連絡帳に先生よりこうあった。

「……きのうと同じように、○○カードを職員室に出しに行ってくれたととくん、今日はいつまでたっても帰らず……教員何人かでそうさくしたところ、階下の器具庫に入り込んでいるのを発見。近頃はそういったこともほとんどなく、つい油断していました……すみません」

 それを読んだケイちゃん、しみじみと

「すみません、てこっちが謝ることだよな~」

 ヨシコは一応

「まあ、学校の監督不行き届きつうことなんでは?」

 と返しはしたが、何だか立派な大人たちが何人もあわてふためいて

「ととく~ん! ととく~ん! ど~こ~??」

 と探し回ってくれた情景が頭に浮び、つい

「その『すみません』に対し、ほんとうスミマセン!!」

 と、学校に向かい、ふかぶかと頭をたれたのであった。


 そうして「いてくれ~!」という祈りを受けて、捜して探してさがしてもらっているおかげで、今の彼が無事にここにいるのかな~なんて思ったり。


 翌日のノート。先生より

「……今日はきのうのこともあり、やや自由さがないととくん。それでもバスから降りたらすぐに水たまりに入ってバシャバシャ……靴がぬれたのがイヤで外に出るのをいやがり、

 上靴のまま体操をしました。『イヤなら、ぬらすなよ~!』と心の中で突っ込む私でした……」

 せんせい、つっこんでやってくださ~~い! とヨシコはノートに叫んだ。


 ◇ 


 長男・とらは退院後はそれなりに普通に暮らしてはいたものの、下垂体機能低下の影響もあるのか、そういうタイプなのか、単にメンタル面に問題があるのか理由は分からないまま、相変わらず頭痛がひどいらしい。

 そして毎朝、趣味の熱測定を楽しげに行っている。

 ストーブにあたりながら測定していたオマヌケ君、冬のその朝の記録は40.2度であった……


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