第五話〜本格的なお仕事(後半)
さて、俺らは今、お城に向かっている。
まあ、当然街中だからモンスターはいない。
お城までは徒歩で5分強かな。
「しかし、一体王様は俺らに一体なんの用があるんだろうな…」
「さあな…分かるわけないよ…」
まあ、多分何か立派な武器を作れとかそこら辺だろうな…
いや、でも、それならなんで俺らなんだ?
別に親方でもいいはず…
「まあ、とりあえず行こう!」
「そだな!」
行けばわかるよね!きっと!
お城に行く途中、装備屋をちらっと見る。
「そういえば、私たち初日からこの布の服よね…そろそろ新しい服が欲しいわね…」
「私もですよ〜うう〜…」
まあ、それについてはとても同感。
だけど、ほら、お金が…ね。
「まあ、それもこの後に考えようぜ」
とりあえず王様のところ。
まあ、途中色々寄ったけど、我々一向はお城に到着。
第一印象は…でかい、とにかくでかい。
なんか、某有名遊園地の城ばりにでかい。
驚いたのは俺だけではなかった。
「おぉ…すげぇな…ここに今から入ろうとしてるのかよ…俺ら」
「驚きですよっ…一体どんなご馳走が…」
いや、ご馳走食べに来てないから。
てか、お金無いから…
「すごい…わね…とっても大きくて…」
氷花さん、危ない!色んな意味で!
「まあ、とりあえず行こうぜ」
と、催促をかける。
いつまでもここにいるわけにはいかないし。
まず、最初に門の前で、門番?が2人いて、その1人に声をかけられた。
「そなた達、この城になんの用だ」
うぉ…こわ…なんか迫力が本物…
俺がたじろいでると勇刀がすかさず、「えっと、今日は王様に呼ばれて来たんですけど…」と話してくれた。
流石勇刀!頼りになる!
すると門番が
「なに?そんな話は聞いていないぞ?」
え?え?
すると、もう一人の門番が今俺らに話した門番に耳打ちをしている。
うーん、何話してるんだろうな…
少しして、最初の門番が焦った顔で、「た、大変失礼しました!王の客人とは!どうぞ中にお入りください!」
おっと、態度が180度変わった。
これが格差社会か…
「いや、多分違うですよっ!」
なっ!何故俺の考えていることがバレた!?
「えすぱーだからですよっ!」
「嘘つけ!」
「えへへ〜まあ、ちょっと読心スキル上げましたのであらかた嘘でもないんですけどね〜」
ははは〜と瑞稀はだらしなく笑っている…って、え?スキル??
「俺らはスキルを上げることができるのか!?」
「え?そうですよ?今まで知らなかったんですかっ!?メニューをよく見るですよっ!」
「め、メニュー?そ、そんなもんどこにあるんだ!?」
「ええっと〜、こんな風に何もないところに円を描くですよっ!」と言って、瑞稀はくいっと円を空中に描いてみた。
すると何もなかったところから、ステータスを表すウィンドウが現れた。
「おぉ…すげぇな…」
素直に驚く。
本当、ここはゲームの世界なんだな…
「そひゃそうですよっ」
「お願い、心を読まないで…」
「いや、今のは勘ですっ」
「勘っ!?」
「はいっ!(ニコッ)」
俺ってそんなに心読まれやすいのかな…
「でも、この読心術はちょっとまじっくぱわーを使うので、意外と疲れるんですよね…」
あ、そうなんだ。なんか一安心。
「まあ、とりあえず先輩も開いて見てくださいよっ!」
「お、おぅ…よし、行くぞ?」
スッと空に円を描く。
すると、そこにはさっき見たウィンドウが現れた。
「おぉ!!すげぇ!」
ウィンドウが出たことを喜んでると、勇刀と氷花さんがこっちを見て、早く行こうぜオーラ前回だった。
そういえば、まだ門の前だったね…
だ、だって嬉しいんだもんっ!!
「……はぁ、まあ、歩きながらそれはやって、早く行きましょ?」
氷花さん、すいません…怖いです、とても。
そして、俺らは王様に会うために中に入って行く。
まあ、スキルやらステータスやらを見るのは後ででいいや。
この国の城は三階建てになっていて、一階が色んな商店や宿屋などで、二階はよくわからないけど部屋がたくさんあった。
そして三階にはこの国の王様が居る、通称『王の間』があった。
そして、今俺らは王の間にて王様待ちである。
周りには護衛がズラリと並んでいる。
そこで、勇刀が突然聞いてきた。
「なあ、王様ってどんな人なんだろうな?」
「さあな、どうせよくゲームで見る感じの王様だろ」
「まあ、ゲームですからねっ」
「こら、静かにしなさい、王様が来たわよ」
会話を中断して、前を見ると、そこに王様がいた。
「よくぞ我が城に来てくれた!そなたたちに会えて嬉しいぞ」
ふぉっふぉっふぉっ、となんとも優雅に笑っている。
ほんと、絵に描いたような王様だな。
「さて、では、この四人の客人意外は皆下がってくれ、あと、少し大事な話をするでの、誰も王の間には入れないでくれ」
すると部隊長らしき人が「御意!」と勢い良く返事をして兵たちに指示をしている。
そのうちに護衛は皆いなくなって、ここには俺たち四人と王様だけになった。
一体なんの話だろう…よほど重要なんだな…
いろいろと考えていると、王様がいきなり喋り出した。
「…ふぅ、ようやく会えたな、現実世界から来た勇者たちよ」
な…!?何故そのことを知っている…!?
俺たちが質問する間も無く王様は次々と喋る。
「まあ、我に対する質問はあるだろうが、今は時間がないのでな。伝えることを先にするぞ」
「まずそなた達がこの世界に送り込まれた理由じゃ」
送り込まれた…理由…
「そなたたちがこの世界に送り込まれた理由は、この世界…つまりこのゲームの不具合、つまり『バグ』を修正するために送り込まれたのじゃ」
「……バグ…?」
質問したい衝動に駆られながらも話しを黙って聞く。
「そうじゃ。
でも、その前に少しこの世界の説明をしようか。」
この世界…ゲームの世界…
「この世界は今、三つの派閥があるのじゃ。
ひとつは今わしらがいる『人間世界』
二つ目は魔王が仕切っている『悪魔世界』
そして三つ目はこれらの二つの世界を分けている世界『鉄壁の境界』に綺麗に分かれているのじゃ」
まあ、よくある話だと、悪魔が攻めてきて、均衡が崩れた、とかか。
「まあ、ぶっちゃけこれは設定だからどうでもいいのじゃ
今は綺麗に均衡が保たれてる」
いいのかよっ!!
あぁ、ツッコミたい!すごくツッコミたい!!
その衝動をぐっと我慢して話を聞く。
「問題はいま、我らがいる人間世界に問題があるのじゃ」
人間世界の問題っていうと…あれか?食糧問題とか。
「現在、我らがいる人間世界にとんでもない量のバグが発生しているのじゃ
それで、いちいちパソコンで直すのは面倒…ゴホゴホ、困難だから君たちをこの世界に送り込んだということなのじゃ」
いま面倒とか言ったよね?絶対めんどくさかったからだよね!?
耐えろ、耐えるんだ俺…
「それで、問題のバグはこの国の集会場のクエスト一覧に貼っといたから後はそれを消化してくのじゃ」
あー、朝のあれか…思い出したくないな…
「まあ、わしからは以上じゃ、何か質問はあるか?」
よし、言ってやるぞ、と思ったら氷花さんがスッと立って
「私たちはどうすれば元の世界に帰れるのですか?」と聞いた。
あ、言われた。ま、いいや。
「あぁ、バグが全て消えれば帰れるぞ」
「なるほど…」
「まあ、後の詳しくことは集会場に言ってマスターに聞けばわかると思うぞ」
結局丸投げかよ!!
なんか…この短時間で疲れたよ…
「あぁ、そうそう、城の中の設備は自由に使って構わないぞ
もちろんモネは頂くがな」
ケチくさ!いやまあ、これは普通か。
「さあ、がんばってくれ諸君!君たちに託されている!」
いや、全く託されてる気がしないんだが…
ところで、勇刀と瑞稀は随分と静かだな…
と、二人を見てみると、二人とも爆睡だった。
さすがです…ほんと……
「ではまたいつか会う日まで達者でな!」
いやもうできれば会いたくないです…
そして、爆睡の二人を起こして俺らは王の間を後にした。
そして、少し歩いて俺らは城の中のカフェに行って一息つくことにした。
席について、時刻を確認する。
現時刻PM12:30
ちょうどお昼時だな。
「とりあえず、飯食べようぜ」
「そうね、何か食べましょう」
そう言って、ちょっとお城の店を回ることにした。
城の中(一回)はまるでデパートのフードコートのようになっていて、ステーキ屋や定食屋、終いにはラーメン屋まで、たくさんの店が並んでいる。
てか、現実世界と全然変わってないやん!
「んじゃあ、食べるの決まったら、ここに集合な」
「あぁそうだな」
そう言って俺は席を立った。
そして、俺はサイコロステーキとライスというラインナップで席に戻った。
氷花さんは和食定食で、勇刀は普通のステーキ、瑞稀は……なんか、量が半端なくて、何が何だか…だった。
まあ、とりあえず食べるか。
パクッと一つ食べる。
うん、美味い…けど、なんか物足りないというかなんというか…こう、スパイスが足りない…というかなんというか…
勇刀たちも何か物足りないような顔をしてた。
「うーん…なんか、足りないよな…?」
「そうね…なんでしょうね」
「そうですかっ?私は変わらないと思いますけどね〜」
お前はそんだけ食べればな!
「やっぱ、なんか違うよなー」
「ま、美味しくないわけではないからいいんだけどね…」
まあ、そのうち慣れるだろ。
というわけで皆、完食。
「さて、腹も一杯になったし、これからどうする?」
「とりあえず、親方に報告しに行かない?多分帰れない日も増えるだろうし…」
うん、そうだな。
「それに賛成」
「ですっ!」
「うし!んじゃ、行きますか」
そして、俺らは城を出て、いつもの鍛冶屋に向かった。
鍛冶屋に着くと、親方が刀を研いでいた。
「おぅ!お前ら帰ったか!」
うお…久々のこのててて効果音…
まあ、とりあえず挨拶だな。
「「「「ただいま、親方」」」」
おお、ハモった。
「王から手紙は届いているぞ、なんでも、お前らにしかできない重要なことがあるらしいじゃねぇか
まあ、がんばってこいよ!俺は応援してるからな!」
親方……この効果音じゃなかったら泣いてたよ……
「まあ、今日はもう仕事は入らないから、お前らはゆっくり休んでくれ」
「はい、ありがとう、親方」
と言って、奥の奥の部屋に入っていく。
とりあえず、椅子に座る。
勇刀と瑞稀は速攻布団にダイブして寝ている…
こいつら、案外同じなのかもな。
そして、氷花さんはウィンドウを見て何かやっている。
あ、ちなみにウィンドウは自分以外の人が見れないように、自分以外の人が見ると灰色の板にしか見えないっぽい。
まあ、プライバシーは大切よ。うん。
あ、そうだ、俺まだウィンドウいじってなかったや。
空中に円を描く。
すると俺のウィンドウが出てきた。
えっと…なになに?LV2に、HPにMP…これはステータスか。
てか、いつの間にレベル上がってた…あ、あの時のスライムか!
んーと、ステータス詳細は…よくわからんな……
俺があたふたしてるのを見かねた氷花さんが見方を教えに来てくれた。
「もう…見てらんないわよ…ちょっと、ウィンドウを共有に設定して?このままだと私見えないから…」
共有?どこにあるんだ、そんなコマンド…?
「えーっと…ウィンドウに『設定』ってあるでしょ?」
「ああ、はいありますね。」
「それを押して、『ウィンドウの共有設定』っていうのがあるはずだからそれをONにして?」
「はい、これをONにして…できました、見えますか?」
「えぇ、オーケーよ。んじゃあ説明するわね」
「お願いします…」
「まず、ステータス詳細ね。
上から順に筋力、魔力、体力、敏捷力、知力のステータスになってるわ。
まあ、あとは説明しなくてもわかるわね?」
「はい、大丈夫です
てことは、この知力の下にある数字は振り分けられるステータスってことですね?」
「そうね、まあ、そこは後で自分で割り振りしてね。
んじゃあ、次はスキルの説明ね」
きた、これが1番わからない…
「まず、スキルは大まかに三つに分かれているの。
ひとつめは物理的な技、ふたつめは魔法など、みっつめは戦闘以外で使うようなスキルがあるわ。
瑞稀が信太君に使ったのはこのみっつめね。
ここまでいえば、あとは自分で分かるわね?」
「はい、ありがとうございます氷花さん」
「いえいえ、あと、氷花さんじゃなくて、氷花、でいいわよ」
そう微笑んで、自分のベッドに向かっていた。
さて、俺はどんなスキルを上げようかな…
とりあえず、スキルポイントの量を見る。
ポイントは5ポイントあった。
そして、最初に物理的な技のスキルを見る。
なるほど、武器の種類別にスキルは違うわけだ。
お、素手の項目がある!素手好きなんだよね〜
なんというか、いかにも戦ってる!って感じがするんだよね〜
まあ、上げれば護身術がわりにも使えるだろうし少しあげるか。
スキルポイントを2ポイント使って素手スキルを上げた。
すると俺の周りに一瞬風が纏った気がした。
ウィンドウには『正拳突きを覚えた』の表示が。
なるほど、新しいスキルを覚えると風が来るのか。
なんかかっこいい!
やったね!
あと、魔法のスキルは…なるほど、回復系と攻撃系と補助系に分かれてるのか…とりあえず、回復系に1ポイントやっとこ。
すると、HPを回復する魔法『プチヒール』を覚えた。
さて、あとは2ポイントか…
まあ、適当に生活スキルに振り当てるか。
生活スキルを見るとこれがかなり種類がある。
うーん…とりあえず今はよくわからないから、ポイントは残しておこうか…
さて、あとはステータスだけど…こっちも5ポイントだ…
まあ、素手メインにしたいから、筋力に2ポイント、体力2ポイント、敏捷力に1ポイントでいいかな。
あ、共有設定戻さなきゃ…っと、これでよし。
さて、今何時だ…?
時計はPM8:00を指していた……って、マジか!?
もうこんなに時間経ってたのか…
みんな寝てるし、俺も寝ようかな…
そしてmy布団にダイブ。
そして、俺も疲れてたんだね、目を閉じたらすぐに眠りに落ちた。
ーーーーーーーーーその頃
「とうとう勇者が動き出したか……
『バグ』を消されてたまるか…!
さて、どうするか……
そうだ!クエストを使って……ははっ…
消される前に、消してやる……!」
やっぱり長くなってしまいました(^^;;
推理タグがあるのに未だに推理要素がないという……(−_−;)
多分次あたりから推理要素が来る……と思います!
あくまで予定ですが…(;^_^A
では、また次回もどうかよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ