第四話〜本格的なお仕事(前半)〜
ーーー目が覚めると、辺り一面の草原に居た。
それは俺だけではなく、目の前には黒い人の形をした『なにか』が居た。
「こ、ここは一体どこだ…?」
ほぼ独り言のような言葉にそいつは答えた。
「ここは、君の夢の中だよ」
そいつは淡々と答える。
「信太くん、君は…いや、君たちは今日、王に呼ばれるであろう」
俺は黙って聞いてる。
いや、正確に言うと、言葉を発することができなかった。
「そこで、君たちが元の世界、つまり自分たちの世界に戻れる手掛かりが掴めるだろう」
尚も黙る。
「頼んだぞ……ゆう…しゃ…たち…よ……!」
そして、目の前が光で埋め尽くされていく。
目が覚めると、そこには草原ではなく天井が見えた。
あぁ、そうか、夢か…
「あーあ、あーあー」
うん、声も出る。
「ふぁ〜ぁ…」
伸びをして、布団から出る。
現在時刻は午前6時30分ジャスト。
みんな、まだ寝てるのか。
それにしても不思議な夢だ…
でも、王に呼ばれる…?
俺が…?
「そんなわけないよな」
そして、身支度を済ませていると、瑞稀と勇刀が起きて、同時に氷花さんも起きた。
「うーん…お、今日は早いんだな、信太」
「あぁ、まあな」
「ふぁ〜…おはようですっ!先輩っ!と皆様方っ!」
「おはようね、みんな」
互いに挨拶を交わし、朝食を摂る。
あ、ちなみに食材は元はわからないけど、日本の食べ物とそんなに変わらないみたい。
やっぱ、どこの世界に行っても、結局料理は腕ってことか。
ちなみに朝食を作るのは氷花さんである。
すごく…美味しいです。
いろんな意味で。
朝食を食べてる最中、一つ聞いてみることにした。
あの夢の話である。
「あのさ、ちょっと今日見た夢なんだけどさ、ちょっと聞いて欲しいんだ」
「おう、どんなだ?」
「あぁ、とても不思議でさ、自分は何処かの草原に居て、目の前には黒いやつが居たんだよ」
「あ!その夢、私も見たですよっ!
え?
「私もだわ…」
「俺も…だ」
えええ?
「みんな、その黒いやつは、もしかして今日俺たちは王様に呼ばれるって言ってた?」
「おぉ、当たりだ」
なんと。
偶然…ではないよな…
「てことは…あれは…」
多分、俺たちをこの世界に送った張本人、かな…
「どうするよ?」
「どうするも何も…どうにもならないだろ…」
「まぁな…」
今更焦ったってしょうがない。
そうだよな。天命を待とう。
「とりあえず、朝ごはん食べるですっ!」
「……そうだな!」
「おぅ!あ、ウィンナーもーらい!」
「おい!それ俺の…!」
こんな日常が続けばどんなに最高だったか…
朝食を食べ終わり、仕事の準備をしていると、その時はやって来た。
騎士がかなり乗った馬車がこちらに向かっているのが窓から見えた。
来たか…とうとう…
これから俺たちの闘いが始まる…
「来たか…」
「大丈夫、心の準備はできている」
「準備バッチリですよっ!」
「私もよ」
よし…行こう!
……っと、あれ?
とてもシリアスな感じ出してるけど、馬車、こっちに来ないで商店街の方に行ったんだけど…
「「「「…………」」」」
多分この時、全員思っただろうね。
「「「「……やべぇ……恥ずかしい…」」」」
ってね。
てか、みんな声に出てるね。俺含め。
そりゃあ、あんなにシリアスになれば誰だって違ったら恥ずかしいよ…
と、そこで扉の向こうから親方がドアを開けて「さて、シリアスなのもいいけど、そろそろ働け…ブハッ」
親方が俺たちにトドメをさしてきました。
「………さて、仕事するか…」
「「「そだね……」」」
今日も鍛冶屋は平和です。
「ふぅ…よし、そろそろ休憩するか!」
親方の言葉とともにへたり込む俺ら四人。
ま、そりゃあ、朝のあの一件があったからもう精神的に辛いもんな…
さらに鍛冶屋は今日は一段と忙しく、まさにHPもMPもほぼゼロだよ…
「あ、そうだ、今日はお前ら四人に大事な仕事に行ってもらう」
すかさず勇刀が質問。
「大事な仕事??それは一体?」
「あぁ、ちょっと王様に会いに行ってもらう」
…え?
何故…?
「まあ、理由はよくわからんが、今朝方王様の側近がここに来て、お前ら四人を王様に会わせたいんだとよ」
なるほど…って、誰が納得するか!
反論しようとしたら勇刀が
「なるほど…分かりました親方!」とのこと。
あ、納得した人、ここに居ました失礼。
「よし、んじゃあ、休憩が終わったらでもここを出発してくれ!
くれぐれも王様に失礼なことするなよ!」
そりゃあ、もちろんですよ親方。
そして、休憩が終わった俺らは鍛冶屋を出発したのであった。
更新遅くなってすみません(^^;;
ちょっと色々あったので…
今回はちょっと長くなりそうなので前半と後半を分けました(^^;;