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W.I.L.L‼︎  作者: ものけん
ゲームの中の世界
5/10

第三話〜伝説#とは〜

チュン…チュンチュン…


「ふぁ〜ぁ…」

小鳥のさえずりで目が覚める…いや、目が覚めた時、小鳥がさえずっていた。


まあ、それはどうでもいい。


横を見た時




氷花さんがめっちゃ近くに居た…いや、寝てた。





「ん〜〜〜なんでだ!?」

そこでガバッと勢い良く起き上がる。


隣にはもちろん誰もいない。


てか、部屋に誰もいない。



あー、夢ですか、あーあーそうですかそうですか。いや、別にそんな期待してませんよ?本当に。あれ?おかしいな…目の前がぼやけて…



と、そこでドアが勢い良く空いた。

立っていたのは昨日同じ部屋に泊まった和島勇刀(わしまゆうと)だった。


「おい!いつまで寝て……って、なんで泣いてるの!?」


う、うるさいっ!これは、その…わからない!もう何もわからないよ!


「ま、まあ、早く支度して仕事場に来い!もうみんな仕事してるぞ!」


そりゃ、見ればわかるよ…

とりあえず「あーい、了解〜」と力なく返事しといた。


よっこいしょっと…って体、重い‼︎

昨日のがよっぽどキテるんだな…


まあ、早く支度しなきゃ…って、俺、布の服しか装備ないから、支度完了!


現実もこんなに早く支度できたらどんなに楽か。



あー、現実…か。

今頃、みんなどうしてるかな…

家族とかは探してくれてるのかな…

また、ぼーっとしてしまう。



いや、今はこの世界から早く出ることが優先!

そのためには、どうするか…




ま、まあ、とりあえず働こう。うん。




そうして、仕事場に向かう。





仕事場に着き、とりあえず挨拶。

「遅れてすいません!おはようございます!」

「あ、おはよ!信太くん!」

「おう、やっと来たか、信太ぁ!」

最初に氷花さん、続いて親方が反応してくれた。



見回すと、勇刀がいない。


「あれ、勇刀は?」

「あぁ、いまね、砥石を倉庫から持ってくるはず…って、ほら、今来たよ」

と、氷花さんが指差す先には、袋を抱えた勇刀が居た。


「おぉ、やっと来たか信太!遅いぞ!」


ごめん、と、ぺこり。




それから、俺が少し働き始めたところで親方が「さて、みんな揃ったところで一つ話がある!」との事で、今は奥の部屋である。


「実は、今日からまた一人ここで働く奴が増える!」


おぉ!?まじでか!?


この3日間で、3人増えるのか!?

1日1人ペースじゃん…


周りからは「おぉ、またかw」「楽しみだな♪」とか、いろいろ聞こえた。



「おうおう、よかったじゃん信太!後輩ができて!」

「おぉ、おぅ…」

「何微妙なリアクションしてんだよ!喜べよ!」


いや、なんだろう…なんか違和感が…


そこで親方が叫ぶ。

「さあ、入ってこい!」


そして、ドアが開いて一人の女の人が入ってきた。


容姿は、やや小柄。年下だろうか。

服装は布の服っぽい。


ってか、いま考えると、今まで会った人で、親方とお母さん以外全員布の服なんだよな…


偶然?


にしても、この人…あれ?……どこかで見覚えが……


「さあ、自己紹介をしてくれ」




その声を聞いた瞬間、その顔を見た瞬間、俺は完全に思い出した。


「えーっと、今日からここでお世話になる理波瑞稀(りなみみずき)って言いますっ!よろしくお願いしますっ!ってあああ!!!信太先輩っ!!どうしてここに!?」


あー、やっぱりこの子だったのか…


この子は、俺と以前、同じ会社で働いてた1年後輩の女の子。理波瑞稀だ。

瑞稀は会社では、俺の隣のデスクで、いつも話掛けてきたり、ご飯とかもよく誘われているのである。

あ、あれだよ?別に好きとかじゃないよ?ほんと。

ただ、一緒にいるととても退屈しないのは確か。

あれ?でも瑞稀がここにいるってことは…こいつも俺と同じ目に…


「あれ?信太とこの子って知り合いなの?」


「えぇ、まあ、そうなりますね」

あれ、なぜ俺敬語?

「なんでお前敬語?」

おお、以心伝心。


じゃなくて。


「まあ、ちょっとした腐れ縁ですよ」

「腐れ縁とは失礼なっ!いつもご飯を一緒に食べてる仲じゃないですかっ!」


まて。その言い方だと食いつく奴が…

「なんだって!?いつも一緒にご飯!?」


ほらね、食いついた。



「あの、お二人は付き合っているのですか…?」

と、突然の氷花さん。

「そんなわけないじゃないですか」

「まだ付き合ってないよっ!」


まだ、じゃねぇよ。


「おぅおぅ!なんだ信太の知り合いか!

まあ、仲良くしな!」

がっはっはと親方は豪快に笑っている。


いや、ほんと笑えない…


「まあ、とりあえず仕事しましょ?」

「そうだな。話は休憩時間に詳しく聞くか!」


まあ、話さないけどね、どうせ現実の世界のことなんてわからないだろうからね。





少しして、親方がまた招集をかけた。


「ちょっと石炭が切れそうだから、お前ら四人で採掘してきてくれ!四人もいれば、流石に採掘位は大丈夫だろうからさ!慣れついでに行ってきてくれ!」


「了解です!」「了解っす!」「了解ですよっ!」


おぉ…なんというか順応早いな…瑞稀…


「よし!んじゃあ、街を出て、すぐのところに炭鉱がある。そこで石炭を持ってきてくれ!」



町の外…

一体どうなってるんだろうな…


準備を済まし、期待と不安を抱えて、町を出る。




出てみての第一印象は、正直普通だった。


例えるなら、モンゴルとかにある大草原のような、まさにそんな感じだった。


「さて、モンスターに気をつけながら進む…ってうわぁ!」


と、草むらからいきなりゲル状の何かが飛び出してきた。


「これは…スライムね…初めて見た…」


え?今なんて?氷花さん…


「え?みんなってモンスター初めて見る人だったり!?」

「そりゃあ、4日前くらいにこの世界に来たしな…」


!?


「まって!話は後!スライムが攻撃してくるよ!」


と、言われて前を向いた時には既にスライムが突進してきた…って、まて!早い!


ゴスッ!という重い音が響く。


ぐはっ…痛…くない!あれ?なんで?


ふと上の方を見ると、お決まりのウィンドウが。

あ、『HP』の数値が少し減った。


なるほど、痛みは無いけど、この『HP』が無くなるとやばいってこと、だよね。




まあ、とりあえず、この棒で叩くか。


えいっ!と、長めの棒で叩く。


すると、スライムの上の方のステータス?が減ってくのが分かる。



そして、みんなも同じ考えだったのか、一斉に叩き始めた。


まあ、いわゆる、スライムをタコ殴りである。


そうしているうちにみるみるスライムのHPは減って、とうとう0になった。


キュー、ポンッという効果音と共に、スライムが消滅して、周りには謎のゲルが残った。


……ま、まあ、スライムって、ゲルだしね。


…意外とグロいのね…ゲームの世界って。


「やった!初勝利‼︎」「やっほぅ!!」

「やりましたよ!先輩っ!!」

みんな口々(くちぐち)に喜びの歓声を上げている。


いや、多分、こいつって、かなり弱い部類です…よね…?


ま、いいか!初モンスターだったし!




さて、聞くか。アレ、を。



「一つ質問していい?」

「ん?なんだ?」

「もしかしてさ、勇刀と氷花さんって、元は現実世界に居た…?」


すると、二人は顔を見合わせて、すぐさまこっちを向いた。


「え…?その言い方だと…信太くんたちも…?」


てことは、やはりか。


どうも、気になるところが多かったんだよね…服とか、ずっと、ててて音じゃないとか。


「まさかここに同じ境遇の人に出会うなんて!!」

「やったな!氷花!」


あれ?でも…

「でも、どうやってこの世界に?ちなみに俺は上司に連れられて、黒い箱から」

「あ、瑞稀もそうですよー」


やはりか、あの課長は一体何者なんだろうな…

まあいい。それより他の人だ…


「えーっと、俺も信太と同じだ」

「私も、ね…」


うーん…みんな黒い箱…か…


「あのーもしよかったらなんですけど、どこに勤めてました?」


「俺はとあるゲーム会社で、氷花もだぜ」


ゲーム会社も一致…か。


「どうやら、俺たちは共有点があるみたいだな…」



うーん…

「さて、これからどうする?」

「うーん…とりあえず、今日は石炭取って、帰ってからゆっくり話さない?」


うーん、その通りだな。


「うん、そうだな、そうしよう!」


まずは、石炭。

そこから、次の事を考えていこう。





少し歩き、やっと洞窟に着く。

そして、中に入ると、そこには一人の男の人がいて、「何か用かい?」と言われて、石炭が欲しい、と伝えたら一袋渡されて、「1500モネね!」言われ、お金を渡すと「毎度!」と言われた。


あ、もちろんあの『効果音』で。


「はい」「いいえ」の選択肢も。




仕事場に着き、親方に石炭を渡すと、「今日は町の外に出て、疲れただろう。だからもう仕事上がっていいぞ」とのこと。


親方最高!




と、いうことで今は、奥のさらに奥の部屋に四人集まったところ。



現在、時刻は午後8時。



「さて…と、何から話す?」


「そうだね…まず、みんなこの世界に来た時、どこに居た?」


「私と勇刀は鍛冶屋の前に最初からいましたよ」

「私もですよっ!」


「普通に家に居たのは俺だけか…」


うーん…


「結局のところ、俺たちがここに来た目的ってなんだろうな?」


「確かにな…」

「ま、とりあえず、この世界から出るには、まず慣れる、だ!」


「…そうだな!」


まあ、とりあえず今日はこんなところでひと段落しよう。



てか、あれ?俺と勇刀しか話してないけど、二人が随分静かだな…


振り向くと、二人仲良くうたた寝していた。


そりゃそうか、今日は初めてのことだらけだったもんな。



「さて、俺らも寝るか!」

「そうだな…ふぁ〜あ…」


「ほら、二人ともここで寝ると風邪引くぞ!」


氷花さんと瑞稀の肩を揺すって起こす。


「うぅ〜ん…あぁ、寝てたのね…

ごめんね、んじゃおやすみ…」と氷花さん。

最初、氷花さんはもっと完璧!みたいな人だと思ったけど、こうしてみると氷花さんも俺らと同じなんだなぁ…



そして瑞稀の方はと言うと

「……zzz……」

起きる気配皆無。


まあ、こいつなら風邪は引かないだろうけど、とりあえずベッドには運んでやるか。


あれ、そういえば勇刀は?…って、もう布団入ってるし…


みんな、本当に疲れたんだな…



はぁ…こいつ運ぶか…


よいしょっと、瑞稀をお姫様抱っこの要領でベッドまで運ぶ。


うーん…意外と…その…重い…


そう呟くと「重くて、悪かったですねっ〜!」といきなり声が!って起きてるんなら自分で歩けよ!


言い返そうと思って顔を見ると「……zzz…」と、寝息を立てている。


寝言かよ!

もう一度。


寝言かよ!!


びびったわ!


早く運ぼ!なんかこわい!


そして、瑞稀をベッドにリリース。




ふぅ…寝るか…

と、自分の布団に入る。





布団の中で考える。



あぁ、また1日が過ぎる…

あと何日経ったら帰れるんだろうな…


そんなことを考えていたら、いつの間にか寝ていた。














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