ブータの30時間クッキング
美味しい物食べたい
白く広い部屋。そこには部屋を冷やすために常時冷気を発する魔道具が壁際にずらりと並んでいる。
白い部屋に置かれている机には多くの種類の肉が並んでいた。
ゴブリン、ウルフから始まりドラゴンやデスオークの肉まで多種にわたるその肉の数々は氷漬けにされ保存されている。
ここはブータが保有するプライベートホームの1つ【肉の間】だ。
VRMMOである新世界では食材に腐敗数値というものが設定されている。
これは食材アイテムを常時氷付けにしていれば防ぐことができる。
ブータは常時食材を氷付けにしておける部屋を作りそこに肉をコレクションしているのだ。
その中でブータでも調理にサジを投げた肉があった。
【デスロードの心臓】
これは大型イベント【死の進軍】で出てきたボスモンスター【デスロード】からのレアドロップアイテムになる。
デスロードは死神風のモンスターで、ブータを含むトップランカー10人で囲んで何とか倒せた現段階で最強のモンスターだ。
このデスロードの心臓、ブータは手に入れた時にすぐ調理しようとしたのだがアイテム自体に強力な呪いがかかっており、調理ができなかった。
ブータはどうしても食べるのを諦めることができなかった。今の状態でも武具や錬金の素材として使えたのだが、ブータはそれを良しとしなかったのだ。
なんて食い意地が張ったデブなのだろう
ブータが調理の為に用意したアイテムはフェニックスの血液、聖杯から湧き出た黄金水、大天使の涙、銘酒サタン殺し等のレアアイテムの数々だ。
まずは聖杯から湧き出た黄金水を贅沢に使いデスロードの心臓を煮込む。
心臓が白くなるまで煮込んだら次は銘酒サタン殺しとフェニックスの血液を混ぜたものに心臓を1日じっくりと漬け込んでいく。
最後に大天使の涙を使って浄化を行い下準備は終了だ。
次に味付けにも力を入れる。
絶対海域の塩と魔人砂漠のコショウで味付けをした後に灼熱地獄産の木炭を使ってじっくりと焼く。少し焦げ目がついた所で皿にのせて世界樹の雫と虹色タルタルソースを混ぜたものを付けて完成だ。
「うん、素晴らしい。」
完成した料理にフォークを少し入れるとまるで豆腐のように切れた。
しかも切ったところから油が溢れ出てくる。
口に入れてみると入れた瞬間、口に広がるように蕩けていくのを感じる。
いつもは味なんか二の次で量をガツガツと食べているブータもこれには目を閉じて上を向かずにはいられない。
「うまい。」
それ以上の言葉は浮かんでこない。いや、これ以上の言葉はいらないだろう。
ブータがデスロードの心臓を食べ終わると頭の中にシステムアナウンスが聞こえてくる。
『隠しクエスト【魔神の肉を食し者】をクリアしました。上級種族【魔神】に転生可能になりました。』
それを聞いたブータがシステムメニューを開くと運営からメールが来ていた。
どうやらブータがデスロードの心臓を食べた事で隠しクエストがクリアされたらしい。
その結果上級種族である魔神に転生が可能になったのだとか。
ちなみにこの情報はブータにのみ送られているようで、この情報を流すも隠匿するのもブータの自由らしい。
「といってもデスロードはイベントモンスターだから現状魔神に転生できるのは私以外にはいなさそうだな…みんなの嫉妬が怖いなぁ。」
とりあえず魔神系モンスターが出てくるまで情報の掲示も転生も保留にする事にしたブータだった




