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ブータさん、手助けする。

―あんな豚野郎のどこがいいと言うんだ。どいつもこいつも何も分かっていない!


全身が黒で統一されている重装騎士【リファル】が苛立ちながら森を進む。

歩くたびに彼のトレードマークにもなっている金色の長髪が揺れる。


【金と黒の騎士】という二つ名を持つリファルはオールバックの長髪というファンタジー丸出しの髪型にこだわりを持っていて、重装騎士なのに兜を装備しないというちょっとナルシストなプレイヤーだ。


戦闘スキルは頭一つ抜けているもののプライドが高く、我を通そうとする彼は先日遂にギルド【星霜騎士団】を脱退した。

まぁ、ギルドマスターや仲間達に言われた「ブータさんの爪の垢を飲ませてやりたいよ。」という言葉に憤慨したリファルが勝手にギルドを飛び出しただけなのだが。


ブータは何度かボス戦の助っ人に来ただけの太ったプレイヤーだが、ギルド全員からの信頼と好意を集めていた。

ブータは確かにトップランカーだが、リファルだってそこまで劣ってはいない。

なのにこの差はなんだとリファルはイライラしていた。


因みに今リファルがいる場所は【狼王の寝床】というランカー向けの森だ。

リファルはまだ一人でここに来たことはないが、ブータがこのエリアのボスを単独で倒したと聞いてギルドのみんなを見返そうと単独でやってきたのだ。


狼王の寝床は今のランカー達もパーティでないと厳しいとされる高ランクエリアだ。

狼系のモンスターで統一されていて、この森のボス【ウルファス】は狼男のようなモンスターで、全身が黒く素早い。

狼王の寝床は常時夜のエリアなのでウルファスの黒い毛並みは迷彩となり、倒すのはかなり難しい。

リファルは周囲を警戒しながら森を進む。さっきからモンスターの姿が見えない。ウルファスが近くにいる証拠だ。

リファルは焦りと苛立ちから顔をしかめ舌打ちをする。


――ゥワォォオオーーン!!


近くで狼の遠吠えが聞こえる。

リファルが咄嗟に武器であるロングソードを構えて立ち止まると草むらから【レッドハウリング】が飛びかかってきた。リファルはそれを寸前で避けるが、避けた瞬間、別方向から【デスウルフ】が飛びかかってくる。

避けて体勢を崩したリファルはそれを避けることができずにデスウルフに噛み付かれてしまう。

デスウルフは噛み付いた相手に何らかのステータス異常を与えるモンスターだ。

今回は【麻痺】の効果を受けたらしくリファルの動きが鈍る。


(ここまでか・・いや、俺がこんなところで・・こんなところでぇっ!!)


リファルは麻痺したとは思えない動きで剣を振るいデスウルフを両断する。

そのままレッドハウリングをスキル【斬撃の風】を使い遠距離から一方的に攻撃して倒す。

しかし、それがリファルの限界だった。


遂には片膝をついて動けなくなる。

麻痺が体を完全に犯し、動けなくなったのだ。こうなると1分は行動ができない。


ガサリ・・


目の前にウルファスが現れる。

多分ウルファスはこれを狙っていたんだろう。

モンスターのくせに頭の回るやつだ。


ウルファスがその凶暴な右手を振り上げたとき風が吹いた。

風と共に降るは塩辛い雨・・いや、これは汗か。

目の前には上半身が裸で下半身ジャージのデブ、ブータがいた。


「いけないね、狼くん。卑怯な戦術を私は好かない。」


ブータの言葉に狩りを邪魔されたウルファスは怒りの雄叫びを上げる。

その雄叫びを聞いたブータは何も装備していない、無手でウルファスを殴り飛ばす。

ウルファスは自分から後ろに飛んだようでクルンと一回転して何事もなく着地した。


「リファルくん、早く回復を頼む。私が時間を稼ぐ。」


ブータはそう言うとウルファスに向かって走っていく。

ウルファスとブータはまるで何かの武術の組手のような技の応酬を続ける。

リファルにもわかる程の高次元の技の数々・・ウルファスの身体能力の高さも驚異だが、ブータの技の練度の高さは異常だった。


(ありえない。これが肉戦車の実力か。)


おそらくだがブータは本気を出していない。彼は本当に一人でウルファスを倒せるのだろう。


「回復完了だ。手助け感謝する!」


リファルがウルファスの目の前に立つとブータは後ろに下がった。

リファルの剣が疲労しているウルファスを捉える。

回復薬で全快したリファルと疲労したウルファスでは一方的な展開になった。


数分でリファルはウルファスを倒すことに成功する。


「おつかれ。」

「なぜそのまま倒さなかった?あなたなら倒せただろう。」

「あれは君の獲物だったろう?獲物の横取りは趣味でないのだよ。」


ブータは少し苦笑したように笑うと何処かに立ち去っていった。

リファルはブータの後ろ姿を見て、みんなが彼を信頼する理由が何となくわかった気がする。


「俺とじゃ器が違いすぎたか。」


リファルはそう言うと空を見上げて晴れやかな笑顔を浮かべた。



いかがだったでしょうか?

これでストックが無くなったので次の更新はかなり先になります。


少しでも面白いと感じていただけたら幸いです。


ではでは!

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