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ブータ、龍を喰らう

私の名前はエリン、種族はダークエルフの女戦士だ。

こう見えて攻略組と称される上位ギルドの1つ【アマノホコタテ】というギルドの遊撃隊長を務めている。


今日はまだ攻略がされていない高難易度クエスト【レッドドラゴンの王】をギルドの最高メンバーで攻略に来ていた。


このクエストはレッドドラゴンの巣である【赤の城】という高難易度エリアの最奥にあるレッドドラゴンの王を倒すことが目的だが、そこに行くまでの間にもレッドドラゴンは出てくる。

通常ではボスクラスと言われているレッドドラゴンが雑魚として出てくるこのエリアは未だ攻略ができていない唯一のエリアとして知られていた。


噂ではあの【肉戦車】が攻略したと言われているが俄かに信じがたい。

【肉戦車】は基本ソロプレイヤーだ。彼はここをソロでクリアしたというのか?ありえない話だ。


雑魚のレッドドラゴンならともかく今、私の前にいるボスモンスター【赤のアギト】はソロでは無理だろう。

私の自慢の白のポニーテールも【赤のアギト】の火炎ブレスで黒く焦げてしまっていた。

肌もこのフィールドから出る熱のせいで赤く腫れてしまっている。


私以外の仲間はすべて倒されてしまっていて、私のHPも最早風前の灯だ。


「まさかここまでとは・・」


私は自慢の武器である凍属性の大剣【フェンリルの牙】を杖にして立ち上がる。

瞬間、私の後ろに気配を感じた。


「手伝おうか?」


声の方を振り向くとそこには上半身裸で下半身装備はジャージ、肩には何処かの戦闘民族が付けていそうな肩パットを装備したあまりにも場違いなピザデブがそこにいた。

私はこの男に見覚えがある。こいつはあの【肉戦車】だ。


「頼めるか?このままでは全滅してしまう。」

「あぁ、任された。大船に乗ったつもりでいると良い。」


私は藁にもすがる思いでブータに頼む。

しかし彼の今の装備には有名なトレードマークであるトウモロコシと原始肉ではない。

代わりに栓抜きを巨大にしたような武器を持っていた。

彼・・ブータは巨大な栓抜きを片手に【赤のアギト】に向かって走り出す。


その姿は無謀そのものだ。明らかに戦闘ができる装備じゃない。(まぁ、彼はいつも戦闘用の装備など身につけていないが。)


ブータは【赤のアギト】の尻尾のなぎ払いを飛んで避ける。

ジャンプした反動で腹の肉がブルンッ!と揺れるがそんな事より私は彼のその反射神経に驚きを隠せなかった。


太ったアバターは素早さが極端に低い。勿論だがジャンプ力も低くなる。

素早さが低いため普通なら避けられる攻撃も避けられない攻撃に変わる。

今の動きは攻撃を先読みしたと言ってもいいだろう。

そしてあの尻尾を避けたジャンプだ。太ったアバターであのジャンプをするにはある程度力を貯めないとできないはずだ。


(なんて反射神経・・いや戦闘センスと言うべきか。)


ブータは【赤のアギト】の背中にしがみつくと巨大な栓抜きを取り出した。

そのまま竜の鱗の隙間に栓抜きを引っ掛けて強引にウロコを剥がし始める。


ベリ、ベリベリベリ・・・


ウロコを剥がす音は生々しく、痛みのあまり【赤のアギト】も苦しそうな叫び声を上げながら体を揺らす。

しかしブータは平気な顔でウロコを剥がし続け、遂にはウロコを剥がした部分だけで人の顔のスペースくらいになった。


【赤のアギト】は怒りのあまりブータに向かって火炎のブレスを吐くが、ブータはそれを転がって避ける。そのせいで火炎のブレスは自滅の形で更に【赤のアギト】を苦しめた。

ウロコがない部分に火炎のブレスが当たったのでかなりのダメージが入ったようだ。

その時点で【赤のアギト】の息は絶え絶え、私たちのパーティが与えたダメージもあったからか瀕死の状態だ。


「さぁ、ディナーの時間だ!」


ブータはそう言うと栓抜きをしまってウロコがない部分に飛びついてそのまま食らいつく。

荒々しく、猛々しい姿はある意味神々しささえ感じさせた。

そしてブータが何度か噛み付いた後【赤のアギト】は倒れ、戦闘は終了した。


・・・


「大丈夫だったかい?」


ブータはそういうと最高級回復薬である【エリクサー】を私に渡してきた。

先程の荒々しさなどもうかけらも感じられない。


「あぁ、そうそう。君のその姿は少々アレだな。これを着るといい。」


私の装備はさっきの戦闘で壊れてしまっている。気づかなかったが、少々肌が出過ぎているようだ。途端に私は恥ずかしくて動けなくなってしまった。

遊撃隊長の私が、だ。・・うぅ、情けない。


ブータはそんな私に大きめのマントをプレゼントしてくれた。

マントはいい匂いがした。これはラベンダーの匂いだろうか?

大きめのマントは私の体を余裕で覆える大きさだ。


「さて、帰ろうか。送るよ。」

「え、えぇ!?」


ブータはそういうと私をお姫様抱っこしてきた。

は、恥ずかしい!でも彼の腕は逞しくて、彼の体は私を包み込むように雄大で・・・私はずっとこうしていたいと思ってしまった。




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