とある建築家
ゲームは楽しまないと損だ。
木を斧で切り倒しながら俺はそんな事を考えていた。
・・・
俺は今、VRMMO新世界で家を建てる事に夢中になっている。
新世界は自由度の高いゲームだが、殆どの人はモンスターを狩ったり、鍛冶や錬金のスキルを上げてアイテムを作ったりしている。
そう考えると俺はかなり変な所に夢中になっているんだなぁ、と自分でも思う。
でも自分で材料を入手して、自分で理想の家を建てるなんてすごい事じゃないだろうか?
最初に建てたのは小さなログハウスだった。
それだってかなり苦労した。建築スキルで補助されてはいるが、設計は自分でしないといけない。現実で建築関連の本を買って勉強しながら建てたのは良い思い出だ。
次に建てたのは海の家だった。
これは俺が建てたログハウスをみてセンスが良いと誉めてくれたプレイヤーのギルドホームだ。
後から知った事だが、そのプレイヤーはトップランカーだった。
材料なんかは全て出してくれるとの事だったので、結構わがままを言わせてもらったのを覚えている。
彼は見つけられただろうか、隠し階段とか隠し通路なんかを作っておいたんだが。
隠し部屋に余った予算の一部を入れて置いたんだが、あれを見たら彼はどんな顔をするだろうか?
……連絡来てないから多分気付いていないんだろうな。早く気付かないかな。
次は木の上にログハウスを建てた。
秘密基地ってやつだ。これが中々評判で注文が殺到し、最初に建てたやつを中心にして一つの村が出来てしまった。
今では【フォレストガーデン】なんて名前まで付いてしまっている。
全然秘密基地じゃなくなってしまったのが残念でならない。
今ではエルフの聖地として観光名所になっているとかなっていないとか。
・・・
カコン、カコン……
俺は今、木を切り倒している。
今はダンジョンを造ろうと試行錯誤の繰り返しだ。
最初に穴を掘り、木や石で補強して壁を造る。
ダンジョンの雰囲気を出すためにトラップも忘れてはいけない。
古典的な落石から竹やり付き落とし穴まで何でもござれだ。
そうそう、ダンジョンを造り始めて驚いた事はこのダンジョンに住み着いたモンスター達が俺を見るたび頭を下げてくる事だ。
モンスターは何時の間にか住み着いていた。条件とかってあるんだろうか?
今いるのはゴブリンとオークだ。時々毛皮とか持ってくるので少し情が沸いてきている。
今後モンスターと戦えなくなりそうで少し怖い。
どうやら俺はこのダンジョンの主という認識らしい。
目指すは魔王ってか。まぁ、それもいいのかもしれないな。
さて、今日も元気に建設をしていく事にしよう。
今日はどうしようかな。




