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依頼

「違います、違います。それは私が出した討伐依頼書ってことで、私の討伐を依頼した物ではありません。」


ブータ達は今、調停者に進められたお茶を飲みながら調停者の説明を聞いていた。

どうやらこの【調停者討伐依頼書】は調停者を討伐する事を依頼した物ではないらしい。

では何を討伐しろというのだろうか?

そもそも討伐依頼者の所に転送される理由がわからない。


「で、なんで私らは依頼者の所に来ている?討伐対象のエリアに飛ばせばいいだろう?」


少しイライラした口調でクウリャは調停者を睨む。

調停者の表情はフードに隠れていて良くは分らないが、少し焦ったような感じに見える。


「実は、今回の依頼はちょっと特殊でして…」

「「「特殊?」」」


調停者の言葉にブータ達は揃って首をかしげた。


・・・


「私の依頼は…まぁ、あれです。異世界の魔王を倒してもらうってやつです。」

「異世界って、新エリアですか?」

「いえ、マジ物の異世界です。この世界とは別の世界。ネットゲームとかじゃなくて、本当の異世界に行ってもらいたいのです」


ブータの質問に返ってきた答えはあり得ないものだった。

まさかの異世界送りである。


「実は私、異世界の神様的な位置にいるんですが、数十年前に私の世界に魔王が出現しまして…神である私は世界に干渉できない、だけど何とかしたいって事で代理を探していたんです。」

「「「はぁ…」」」


調停者の言葉に3人は言葉が出なかった。

どう考えても冗談にしか聞こえない。


「勿論あちらの世界で死んでしまってもこちらの世界には返します。因果律とか運命力とかの関係で1回でも死んだらそこで依頼失敗になりますが。」

「え、いや…マジですか?」


マサムネが良く分かってない感じで調停者に問いかける。それに調停者は頷いて返す。


「はい、マジです。それと報酬は願い事の成就です。魔王を倒してくれたら私にできる範囲で願い事を叶えましょう。流石に全知全能や不老不死は無理ですが、大抵は何とかできます。」

「異世界行く時はこのゲームのアバターと能力で行くんですよね。」

「そうですよ?」

「ではその間、現実の体はどうなるんですか?」


ブータは一番気になっている事を聞いた。異世界に行く事には興味があるが、そこら辺が気になって仕方ない。健康面もそうだが、自分達にはゲーム以外にも仕事や学業といった予定があるのだから。


「あなた達の肉体は私が管理することになります。それと魔王を倒すのに何年掛ろうと、現実世界に戻るときは異世界に行ってから数時間も経ってない時間軸に戻します。」


調停者が言うには神の力をアレしてコレして異世界で魔王討伐に何年掛ってもこっちでは数時間の出来事にしてくれるらしい。


「そんな高待遇なら行かないわけがないじゃないか。」

「そうだなぁ。俺も行きますかね。」


クウリャとマサムネは乗り気だ。

そしてそれはブータも同じ気持ちだった。


「私も行く事にします。異世界になんて滅多に行けませんからね。」

「ありがとうございます。ではさっそく!」


調停者は3人の言葉に満足そうに頷くとパンッと手を叩いた。

瞬間、ブータ達の床が開きブータ達は下へと落下していく。


「あ、最後に言いますが、ゲームと違って痛みがありますので気をつけてくださいね。」

「「「いや、ちょっ?うわぁぁああっつ!!?」」」



調停者の最後の言葉をブータ達は落下の恐怖で聞けなかったのだがそれはまぁ、置いておく事にしよう。


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