白い通路、黒い扉
ブータとマサムネそしてクウリャは今、白く長い廊下のような場所にいた。
ここは【調停者の討伐依頼書】を使用した時に出現した扉から転送されたエリアだ。
転送されてから20分程歩いているが、まだ一度も分かれ道どころか敵にすら出会っていない。ただ白い通路がまっすぐに続いているのみだ。
強敵との連戦を想像していたブータ達はかなり拍子抜けしていたが、腐っても現状の最高ランクのボスを倒さないと入ることは愚か、その存在を知ることすらできないエリアだ。…気を抜いてはいけない。
まぁ、この静けさが奥にいるボスの強大さを物語っているようで、気を抜こうにも抜けないけれど。
「しっかし、この一本道は何とかならないのかしら?」
「確かに。ずっと変化のない白い廊下を歩かされるのは退屈だよな。」
クウリャとマサムネがもうウンザリといった感じで欠伸をしている。
最初は罠や隠し通路があるんじゃないかと探知スキルを全員で使いながら慎重に進んでいたが、10分程でウンザリして辞めた。
一応ブータはまだ探知スキルを使いながら歩いているが、今のところ変わったところは見られない。
「バグかなんかですかね?運営に問いあわせてみましょうか。」
そういってブータはメニューを開いた。
問い合わせをしようとウィンドウを下の方に進めていって、気付く。
「あれ?嘘だろ?」
「どうかしたのか?旦那。」
「ブータ、何かあったのかぁ?」
ブータが焦ったような顔で動きを止めたのを変に思ったのか、マサムネとクウリャがブータの開いたウィンドウを覗き込み、絶句する。
「「「ログアウトの項目がない!?」」」」
ブータ達が声を揃えてそう言った瞬間、目の前に大きな扉が出現した。
・・・
まるでタイミングを計ったかのように現れた扉は頑強そうな鉄の扉だった。
白い通路に出現した扉は全体的に黒くて白い通路には場違いな感じだ。
ブータ達は突然色々なことが起こりすぎて訳がわからなくなっていた。
小説なんかでよくあるデスゲームってやつだろうか?とも考えたが、この【新世界】は運営を開始して10年の歴史がある。今更そんな事にはならないだろう。
結局何かしらのバグだろうという結論になった。
運営への連絡の項目は残っていたので、ログアウト不能のバグの事を記入して送ったところ、「すぐに調査をします。ご迷惑をおかけしてすいません。」というメールがすぐに返ってきた。
どうやら只のバグみたいだ。運営の対応も迅速でログアウトのボタンはすぐに回復してメニューの項目に表示される。
「さて、色々ありましたが、ボス部屋のようですね。」
気を取り直してブータはマサムネとクウリャの方を見る。
2人共準備は万全とばかりに頷いた。
「じゃあ行きますか。」
そういってブータは扉を開いた。
・・・
扉の先は10畳程の広さの白い部屋だった。
中心に丸テーブルとイスが置いてあり、それ以外にあるものと言えば反対側の壁にある黒い扉位のものだろうか?
どう考えても戦闘エリアではなさそうだ。
ガチャリ……
部屋を眺めていると向こう側の扉が開いた。
入ってきたのは全身をブカブカの白いコートで隠した男?もしかしたら女?…だった。
顔もフードを深く被っていてよく見えない。
「あ、どーも。調停者です。」
白コートは調停者と名乗りぺこぺこと頭を下げて…
「「「……って、調停者っ!?」」」
「あ、はい。私が調停者です。」




