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食事会

オンラインゲーム【新世界】の売りの一つにプレイヤーホームというものがある。

これはゲーム内の土地を買い、自分だけの家を建てることができるといったシステムだ。


あっという間に土地が売り切れてプレイヤーから不満な声が上がりそうなものだが、小さな家を建てるだけでも結構なお金が必要だし、何より広がり続ける【新世界】では空き地をなくす方が難しいので不満の声は思ったより小さい。


このシステムはプレイヤーの要望を多く取り込むことで進化していき、今では戦闘エリアを開拓して村を作ったギルドがあるほどだ。


・・・


ブータは港町アクアズから少し離れた場所にある海岸に建てられたプレイヤーホームに訪れていた。


いつもは上半身裸で弛んだ駄肉を見せつけているブータだが、今は黒いコートを羽織ってその駄肉を隠している。

理由は簡単で、今日は友人達との食事会だからだ。

女性プレイヤーも来るため気分を害さないようにお情け程度にコートを羽織っている。


そんなブータの目の前には海の家があった。

人気の海水浴場なんかに良くある感じのチープな建物…

それが今日の食事会の場であるプレイヤーホーム【大海峡】だ。


「旦那、いらっしゃい。」


そんな海の家から出てきた人物は角刈りに捩じり鉢巻き、タンクトップに腹巻きの頑固な職人風の男だった。


「マサムネ、久しぶり!今日はお招きありがとう。」

「こっちこそ来てくれてありがとうだよ、旦那。」


ブータとマサムネはハイタッチをして笑いあう。

今日はブータとマサムネそしてもう一人、女性プレイヤーの3人での食事会だ。

因みにこの3人は誰もがトッププレイヤーであり、憧れの的だったりする。


「しかし旦那、暴食をソロ撃破って流石だなぁ。」

「それを言うならマサムネ、君だって強欲をソロ討伐だろ?私はアレの手数に勝てる気がしない。」

「俺だって暴食の防御力と特殊能力をソロでどうにか出来る気がしないがね。」


今日の食事会は七大罪をソロで討伐したお祝いみたいなものだ。

そしてソロで討伐した後にあったイベントの攻略会でもある。


「あら?私が最後なの?2人共お久~。」


背後から女性の声がする。

ブータとマサムネが振り向くと、そこには赤髪ショートカットに西部劇の保安官のような格好をした女性がいた。


「クウリャさん、久しぶり。」

「クウリャの姉御、ご無沙汰。」

「あっはっは!相変わらず濃いねぇ、2人共!」


クウリャは嬉しそうに笑い声をあげる。

それを見てブータとマサムネは苦笑いを浮かべた。


・・・


「やっぱりあんた等の所にも来たみたいだねぇ、招待状が。」

「パーティで討伐した人達には招待状が来ていない所を見るとソロ討伐がフラグかな?」

「旦那も姉御もそう思うか。しかし調停者の討伐ねぇ…」


ブータ達は七大罪のソロ討伐の後に出てきたイベントについて話し合っていた。

ブータ達が七大罪の一角をソロで倒した後に討伐報酬として手に入れた招待状、その名も

【調停者の討伐依頼書】だ。


七大罪はソロで倒したのはブータとマサムネ、そしてクウリャだけだが、パーティでなら結構な人数が倒している。

ブータは最初、これはどんな方法でも倒せば必ず手に入る報酬だと思っていた。

しかしパーティで倒した人達には招待状を手に入れていた人たちはいない。

結果ソロで倒したブータ達だけが招待状を手に入れていた事が分ったのだ。


「まぁ、3人で集まっても何にもわかんないけどねぇ~。」

「姉御、またそんな身も蓋もねぇ事を…」

「招待状の内容が全部一緒だったって事が分っただけでも収穫じゃないですか?」

「どいつ倒してもソロならOKっても七大罪をソロで倒せる奴なんか私ら以外にいるの、ブータ?」


クウリャの言葉にブータも言葉に詰まってしまう。

ブータ達でさえ、たまたま有利に戦える相手だったから勝てた。それも紙一重な勝利で、だ。

例えトッププレイヤーだったとしてもソロで簡単に勝てるボスではない。


「そうですね…しばらくは倒せる人は出ないでしょうね。」

「そうだよな、やっぱりなぁ。」

「なぁ、まず俺らで行ってみない?ソロだときつそうだけど旦那と姉御がいれば何とかなる気がするんだよな。」

「私は賛成ですね。クウリャさんは?」

「いいぜ。お前らなら肩を並べられても不満はないし。」


ブータ達はお互いに笑いあい、作戦を練り始めて行くのだった。


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