3話 創作世界
「ここは貴方が住む世界とは別の世界であり、貴方自身が創った世界です」
「…は?」
魔女のような人が言った言葉に、思わずそう声が出てしまう。
僕が創った世界???
僕なんかの凡人が世界を作れるわけがなかろうに。
「順を追って説明しましょう。その前に、貴方様お名前は?」
「夜山柚子ですけど」
夜山柚子
それが僕の名前だ。
名乗ると魔女のような人は一つ頷き、帽子を取り手を胸に当てて礼儀正しく頭を下げた。
「私はスイレンと申します。創造神様の遣いで、今は創造神様のご命令でこの地にいます。」
魔女のような人…スイレンはそう自己紹介した。
創造神とかよくわからないけど、そのへんのツッコミは後ですることにした。
何故ならばスイレンが後ろの二人にも目配せをしているからだ。
先に口を開いたのはヘッドフォンの女だった。
「あーしは氷華。学校に行ってないふとーこーってやつ。好きなことはネットとゲーム」
そう無愛想に自己紹介をした。
氷華の言っていることは恐らく正しく、いつの間にか視線は手元のゲームへと移っていた。
次に口を開いたのは青髪の男だ。
「僕は青坏。バーテンダー兼マジシャンをやってるよ」
そう言ってどこからともなくトランプを取り出して自慢気に見せる。
試しに一つ披露しようか、と言ってトランプを切り出した。
切りながら説明をしてくれる。
「今から柚子には、この中からトランプを一つ抜いてもらう。僕はその抜いたトランプを当てよう」
そう言って切り終わったトランプを僕に渡してきた。
…束のままで。
「上から取ればいいの?」
「いや、広げて自分で見て、好きなの取ればいいよ」
僕はあっち見てるから、と言って僕にトランプを押し付け、くるっと後ろを向いた。
僕は選ぶのも面倒だったので適当に下から1枚抜いた。
抜いたトランプはダイヤの5。
「抜いたよ」
「ダイヤの5」
振り返らずに青坏はそう言った。
いきなりで思わず僕はポカンとしてしまった。
すると青坏は振り向いて、当たってる?と聞いてきた。
僕は驚きつつあってると答えた。
「だろうね」
「なんでわかったのさ!」
そう問うと青坏は人差し指を立てて口元に当て、
「マジシャンはタネを見せないんだよ」
とキザなセリフを吐いた。
思わず僕は引いてしまう。
いつものことなのか、スイレンさんは呆れていて、氷華さんは鋭い言葉のナイフを投げた。
「あってなくてダサいよ」
「ダサ…!?」
氷華の言葉で青坏は撃沈していた。