これからも明るい3人の関係
速いもので今回が最終回です。
休日。
あたしは野々村と遙を学校の屋上に呼び出していた。
ちゃんと理事長先生から許可を貰って。
「ねえ理緒ちゃん、どうして休みの日に来るのが学校なの?」
「しかも服装まで指定するなんて、一体何を考えているのよ?」
あたしは、あの日3人で一緒に買った服装を指定した。
「いやそれは単純な話で、誰にも見られたくなかったからかな」
平日にこの恰好は例え先生からOKが出たとしてもやる気にはならない。
周りからどれだけ注目を集めることやら……。
学校に別で持ってきたらグシャグシャになっちゃうし。
「で、凄く大事な話をしたいからやっぱりこの服装かなって」
一種の勝負服、今からあたしは勝負に出る!
「野々村、遙。 2人共好きです、一緒に付き合ってください!」
言った、言ってしまった。
でもこれが、あたしの結論。
自分の気持ちを見直した時、遙のことも好きだと気付いてしまった。
そして、その気持ちから目を背けることができなかった。
あたしの、本音。
「それは……」
「二股ってことでいいのよね?」
「はい……」
日本じゃ良い目で見られないよね、知ってた!
「……先を越されちゃったわね」
「えっ!?」
どういうこと!?
「私も考えてたの、椿さんのことも受け入れてなんとか二股する方法はないかって」
「それ、ボクも考えてた」
「えっ、えっ?」
3人揃ってって……。
そんな都合の良い偶然ある?
「夢を見たのよ」
「夢?」
「晴れて谷本……いえ遙さんと付き合えてる夢」
え、なんでそれであたしの告白をOKすることに繋がるの?
「嬉しかったけど、何かが足りなかったのよ。 『これは今の私の幸せじゃない』、だから椿さんも同時に好きだって自覚できたのよ」
「偶然ってあるもんなんだね、ボクも理緒ちゃんと付き合えた夢見れたよ。 でも幸せじゃなかった、3人でなきゃダメだってわかったんだよ」
そんな、そんなことって……。
「いいのかな、3人で付き合うなんて……」
「いいに決まってるだろ!」
屋上の入り口から男の人の声が響き渡る。
誰!?
「って委員長!?」
「なんでここにとでも言いたそうな顔だな、答えを言うと理事長先生が教えてくれた」
「な、なん……」
「いいじゃないか3人で付き合ったって、2年1組一同は祝福するぞ!」
「一同ってどういうことよ?」
「それはな、皆ここにきている!」
委員長の言葉を合図に、クラスメイト達が屋上へなだれ込んでくる。
いや本当に全員いるんだけど。
今までの見られてたの、全部!?
「やったな椿、両手に花じゃないか!」
「何言ってんだ、椿も花だろうが」
「野々村さん今までのことごめんね、お詫びにこのあと奢ってあげるから」
「谷本ちゃんもこれからはウチらとも遊んでよ、ノロケ話聞かせてほしいな」
「尊い……」
ダメだ、展開についていけなくて何が何やら。
わかっているのはクラスの皆にバレバレで、なぜか全力で祝福されていることくらい。
何がどうしてこうなった!?
でも……。
色よい返事も貰えたし、まあいいか。
今はもうこれ以上考えるのをやめよう。
「お店を予約してある、これから祝賀会だ!」
「それ、ボク達の関係が上手くいかなかったらどうするつもりだったんだよ!」
「清水と中村の祝賀会に変更だったさ」
「尊い……」
「田中は他に何も言えんのか!」
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
3人の物語はひとまずこれでお終いです。
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それでは、また。