狂った思想と覇権国
サイレンが響き渡る。轟音の中走り続ける。息を殺して。
「おーいラッシュ!エミリー!」
マイクの声が聞こえる。ため息をつきながらも駆け足でマイクの元へ向かう
「ちょっとは落ち着いたらどうだ?マイク…」
俺が問いかけるがマイクの耳には届かない。まぁ、仕方ないだろう。今日は修学旅行だから。
実際俺もワクワクしていたし。
「それで、今日は歴史的建造物を見るんでしょ?」
エミリーが問いかける。
「…そうだな。グロイのは勘弁だけど。」
「ちょっと二人とも!イチャイチャすんなよ!」
マイクが顔を赤くして言った
「ハハハッ」
「な、なんだよ!二人とも笑って…」
「さ、早く行くぞ先生に怒られる。」
少しお腹が痛いが、初日からネガティブになるのは嫌なので、駆け足で学校へ向かった
第一章 東京の壁 第一話 壁に秘められた秘密
バスに乗り込み、何十分か経った。景色は結構綺麗だし、バスの中ではカラオケや、クイズなどでそう退屈することはなかった。
「そろそろ東京へ入ります!」
バスガイドさんが、いきいきと言う。まぁ、実際に東京を見るのは初めてなんだけど。
教科書には、何ヶ月かここで戦ったらしい。その後、ソ連を倒したドイツがここに軍を進めたらしい。そしてここに壁を建てた。って書いてある。
そんなことを考えてるうちにバスが止まり、みんなは降り始めた。足早にバスを降り、先生に連れられ、壁へと目指す。ここでも充分見えるほどだった。
「なぁ、ラッシュ。ここでも充分見えるほどデッカイんだぜ?」
マイクが自慢気に言う
「そ、そうだな…。まぁ高さ100mの壁が、この東京を囲むように連なっているからな。」
近くで見ることは出来ないが、この壁を見るだけでドイツとの関係は最悪だってわかるはずだろう。バスガイドの説明を聞いてる時に思ったんだけどさ。
やっぱり、遠くから見てもその壁は圧巻だった。その壁が破られること。それは平和が崩れることとほぼ同じだからだ。しかし、心のどこかで、この壁が壊れて欲しいなって思ってたと思う。
「フゥ…やっと自由時間ね…」
「そうだな。で、どこ行く?俺は学校行きたいんだけどさ」
「ラッシュ、勉強のしすぎで頭爆発するぞ」
「マイクにだけは言われたくないんですけど…」
「ま、理由は?」
「ネットで調べたんだけど、俺っちと同じ年の人達が暮らしてるらしい。既にに許可は貰ったよ。」
「それなら、ラッシュ一人だけで行って。あのマイクじゃ何をしでかすかわかんないし。」
「名案だな。カプコルの班に混ぜて貰えよw」
「は、はぁ?カプコルなんて問題児じゃないの!あんな班を混ぜるなんて一生ごめんよ!」
「それじゃ、勝手にしろよ…その代わりマイクの面倒見ろよw」
エミリーは不機嫌そうに引き受けたが、マイクは能天気に壁の迫力に魅了されているようだった。
「エミリーもわかってるくせに。まぁいいや。さっさと行こ」
時間はたっぷりあるか、ないかだが、いい機会だ。そういう気持ちで学校に向かった。