最終話 父からの最期の贈り物
お祝いパーティから1週間が経った。
久しぶりに大人数で食事をした。たくさん笑った気がする。
またみんなで行こうと約束をした。
そして今私と涼はお父さんとお母さんが眠るお墓の前に来ている。
涼がどうしても行きたいと言ったのだ。
最後にここに来たのは、私が涼と出会う前。
お墓は少し汚れていて雑草が顔を出していた。
汚れを丁寧に磨き、雑草も全て取り除いた。
線香に火をつける。線香特有の香りが鼻をくすぐる。
「お父さん、お母さん、中々来られなくてごめんね。ひさしぶり。」
お墓の前にしゃがみこみ手を合わせる。
今まであったことを一つ一つ報告していく。
お父さんを殺した栂野さんに追いかけられたこと。
栂野さんが捕まったこと。
壊れてしまった涼を望月さんや佐藤さん、井上さんに治してもらったこと。
そして今、
「私は涼と毎日楽しく過ごしています。だから安心してください。」
一番伝えたかったこと。
あの世で安心して過ごせるように。
私はもう大丈夫だと。
しばらく私たちはお墓の前から動かなかった。
ちらりと涼を見るとお墓をじっと見つめている。
そして少し時が経った頃。
「そろそろ行こうか。」
「そうだな。」
「お父さんお母さん、また来るね」
ゆっくりと立ち上がりお墓を後にする。
ふと涼が後ろを振り返り、何かをつぶやいた。
「どうしたの?何か言った?」
「いや、なんでもない。ほら行こう。」
一度振り返ったが、お墓が見えるだけで何も変わったことはなかった。
『唯の事頼んだぞ、息子よ。』
『2人とも幸せにね。』
涼にだけお父さんとお母さんの声が聞こえていたのは涼だけが知ること。
私たちはどちらからともなく手を繋ぎ、暖かく、少し懐かしい風に背中を押されながらお墓をあとにした。
「今日の晩御飯、何にする?」
「…アジの塩焼き。」
「えぇ、じゃあまた釣りに行かなくちゃね~」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
作者の葵音と申します。
初めての小説。文章の書き方や話の進め方などは勉強したことはなく、自分の思うがままに書きました。
書いては消し、書いては消しの繰り返し。
書いている途中で「こういう展開にしよう!」とか「これをやめてこうしよう!」などがあって大変でしたが、とても楽しかったです。
まだまだいろんなお話を書いてみたいと思っています。
そのときはまた読みに来ていただけると嬉しく思います。
改めて、最期まで読んでいただき本当にありがとうございました。




