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無能な村人〜異世界でも強く生きていく〜  作者: 奥戸ユウ
第一章 新たなる人生
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第四話 親睦会

 さらに一年半が経ちアレンは三歳になった。

 この世界は地球と同じく一日二十四時間である。一週間は七日あり、一年は十二ヶ月ある。地球と違うのは一ヶ月がぴったし三十日であること、曜日の言い方ぐらいであろう。

 この村では三〜九歳の子供たちは週に五回村の広場に集まり親睦を深めるという風習がある。十歳になると親の仕事を手伝わなければならないため、親睦会には参加できなくなるのだ。

 そして、今アレンは親睦会に参加するため、母のエレンと共に村の広場に来ていた。そこには三十人近くの子供たちとその母親が集まっていた。


「あらエレン、アレン君は今日から参加なの?」


 広場に到着し、息子が無事にみんなの輪に入れるかと心配しているエレンと今から何をするのか楽しみでワクワクしているアレンらに声を掛ける者が一人。ご近所さんのリネットである。


「ええ、そうなの。アレンが無事みんなの輪に入れるか心配で心配で……」


「大丈夫よ、ミーナも溶け込めたんだから。アレン君、ミーナと仲良くしてあげてね」


 リネットはアレンと目線が同じ高さになるようにふっくらとした体を屈ませ優しく(ささや)いた。


「うん! よろしくね、ミーナちゃん」


 アレンは自分より少し背の高く母親譲りの栗毛の髪をした女の子にそっと手を出すが、ミーナはプイッとアレンから顔を背ける。


「私が先に生まれたんだから、私の方ががお姉ちゃんなのよ。だから言うこと聞かなきゃダメなんだからね!」


 もう一度アレンの方へ顔を向け右手の人差し指をピンと立て諭すように言い聞かせる。

 ミーナはアレンよりも数ヶ月先に生まれている。もちろん、アレンよりも早くにこの親睦会に参加している。

 そんな取り留めの無い会話をしていると、村長が親睦会を始めるために広場にやってきた。広場では子供たちが元気に駆け回り、彼らの母親は噂話に花を咲かせている。そんな活気溢れる広場が村長の一声で静まり返った。


「えぇ〜、皆さんおはようございます。今日もいい天気なことで絶好の農作日和じゃな。さて、今日から新しいお友達、アレン君が参加するぞ。皆、仲良くするようにの」


 村長がアレンのことを紹介すると皆の視線がアレンに集まった。


「アレンです。よろしくね!」


 視線が集まったため、笑顔で挨拶するアレン。


「えぇ〜、今日は村の南西にある魔の森に行こうと思う。出発じゃ!」


 村の南西には魔の森という森がある。名前は物騒ではあるが、奥まで入らなければ下級モンスターと言われるゴブリンさえ出てくることはない。しかし、下級モンスターといえど、討伐するのに大の男三人がかりでようやく倒せるレベルである。


(ほぉ、魔の森か。話には聞いていたけど、初めて入るな、楽しみだ)


 魔の森には村を出て五分程で到着した。そこは木々が生い茂っており、太陽の光を浴びた緑葉はキラキラと輝いている。名も知ら花々が辺り一面に咲き乱れている。


「すごい、綺麗だ」


「えへへ、そうでしょ。私も初めて来た時はびっくりしちゃった。前と同じならこの辺りを散歩して村に戻って解散だよ」


 アレンが森を見た感想を口にすると、ミーナが自分が褒められたかのように少し頰を赤らめて答える。


「えぇ〜、前回同様この辺りを散策して自由行動の後村に戻ることにする。自由行動の時はあまり遠くに行かぬようにの」


 アレンの初めての親睦会、魔の森の散策が幕を開けた。

魔の森で何が起きるのでしょうか。

それとも、何も起きないのでしょうか。

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