第5話 マサキ・イシカワはロリ婚である
すみません字下げするの忘れてました。
内容は変わっていません。
俺は石川正輝、高校1年生だ。
勿論学校なんてもん行ってねぇぞ。
つまり引き篭もりだ。
そんな俺が久しぶりに学校に行こうと思った。
パンを腹に詰め歯磨きをして身だしなみを整える。
久しぶりの作業を終えて俺は玄関から一歩足を出した。
そこには鳥のさえずる声、暖かい太陽、血を流しながら全力で戦い合う魔物と兵士......ってここどこ!?
ここは俺の知ってる東京じゃないぞ。
「ぬ?召喚は成功したようじゃな。」
そう言ってきたのは少し年をとったローブを着た老人だった。
今聞き捨てならない事言ったような......
「あんた誰だ?それと今なんて言った?」
「ぬふふ、儂はガビルス・ヴォルブート。お主を召喚した者じゃ。」
「え?召喚!?」
「そうじゃ。儂がお主を召喚したのじゃ。」
マジか……要するに俺はこの爺さんに召喚されちまったって事か。
どうせなら美少女に召喚されたかったな。
そんな事を考えるが今は情報収集を優先しようと思った。
「んで、爺さんはなんで俺を召喚したんだ?」
俺がそう聞くと爺さんはカッと目を見開いた。
「お主は悪しき魔王を倒すために召喚したのだ。」
「え?嫌だよ死にたくないし。」
「な!?勇者は勇者らしく魔王と戦うんじゃ!!」
「いや無理っすよ、さっきまで引き篭もりだった男に魔王倒せとか不可能だろ。」
「ヒキコモリ......?そうかお主はヒキコモリという職業だったのか!ヒキコモリという職業はどんなことができるのじゃ?」
「家でゲームしたり夜行性だったりとかっすかね。」
「ぬん......それじゃ魔王を倒せる程の力ではないな。召喚は失敗か......」
「人の事勝手に失敗作呼ばわりしないで欲しいんですが!」
「お主はもういらん!勝手に野垂れ死ぬが良い。」
酷くないすか!ここ知らない草原で戦争ナウな場所なんですが。
「いやどうやって元の世界に帰ればいいんだよ!!」
「そんなの儂ゃ知らん。だが近くの町まで送っていってやっても良いぞ。」
「じゃ、頼むわ!」
その後俺は俺を召喚した爺さんが用意してくれた馬車に乗りファストと呼ばれるわりと平和な町に送っていってもらった。
町に着いて思った事が一つ。
美少女の魔境かここは!
一人一人の美少女レベル高いぞ!
あの爺さんに召喚された時はどうなるかと思ったが案外良いかもしれないな異世界ライフ。
そんな調子のいい事を考えていた俺だった。
しかしそんな事を思えていたのはその時くらいだった。
「あー、腹減ったな。てか俺無一文じゃん!」
やばいなとりあえず金稼げそうな事探すか。
異世界で金を稼ぐ方法か。
そういえば俺ってゲームで最初何して稼いでたんだったっけ?
ーーあった!あるぞボロ儲け方法。
そう。どんなRPGでも共通する事がある。
ギルドだ!ギルドに行かなきゃ何も始まらない。
そうだ、ギルドに行こう。
「こんにちは!なんのご用件ですか?」
俺はようやくギルドを見つけだした。
受付のお姉さん可愛いな。
おっといけない、仕事を探そう。
「あの......仕事を探しているのですが。」
「そうですか。冒険者などはどうでしょうか。今なら荷物持ちを募集しているPTをいくつか紹介できますが。」
「おお!マジすか。是非よろしくお願いします。」
「それではまず職業を決めますのでこの魔道具に手をかざして下さい。」
受付のお姉さんの言う通りに魔道具に手をかざすと魔道具に文字が浮かびあがった。
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【Lv.1】職業:剣士
<名前>
マサキ・イシカワ
<技能>
なし
<能力>
なし
<魔法>
なし
<加護>
なし
<ステータス>
力:53
知能:2
幸運:1
素早さ:20
魔力:0
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ステータス低いな!!まあレベル1だしこんなもんか。
それにしても剣士っていうのかっこいいな。
よっしゃ!やる気出てきた。
早速荷物持ちやるか。
「お前が俺のPTの新入りか。よろしくな。」
「よろしく!」
リーダーは男らしく気さくですぐに打ち解ける事が出来た。
メンバーはリーダーを含めて3人で1人目はリーダーのダンデさん。2人目は魔法使いのクラネットちゃん。3人目は盗賊のケネットちゃん。
という構成になっていた。
果たして装備無しの俺がどんなクエストに同行するのだろうか。
そんな不安を持ちながら俺は近くの平原に仲間と共に向かった。
「あそこに山があるでしょ!あの頂上にいるモンスターを討伐するの。分かったマサキ?」
可愛い声で説明してくれたのは盗賊のケネットちゃんである。
「分かったぜケネたん。」
「ケネたん!?」
ケネたんは少しびっくりした顔をした。
あだ名という概念を知らなかったのだろうか。
しばらく山を登ると何体かのゴブリンを見つけた。
「あれゴブリンじゃないすか?」
「ん?ああそうだな。全員構えろ!」
どうせゴブリンなんて雑魚キャラだしそこまで警戒する必要ないだろ……
「グガァァァ」
ゴブリン達がこちらに気づいたようで剣を持ってこちらに走ってきた。
「みんな、ここは俺に任せとけ。あんな雑魚モンスター達なんて蹴散らしてやる!」
「「「......」」」
俺は短剣を握りゴブリンに振り下ろした。
「パキンッ」
そんな音を立てて俺の短剣は折れた。
ゴブリンが俺の攻撃を防ぐ為に木の棍棒で短剣を殴ったのだ。
「ちょっと何だよこの規格外の強さは!」
思わず悲鳴に近い声をあげてしまった。
やばいな......雑魚とか言った以上このゴブリン達倒さないと男として示しがつかねぇ。
しかもゴブリンの強さが半端じゃねぇんだけど。
「ウィンドストーム!!」
その声と共に放たれた突風はチートゴブリンの群れを蹂躙した。
クラネットさんありがとう。
俺は心の底から感謝したのであった。
「ゴブリンなんかに手間をかけ過ぎですよマサキさん。」
「い、いやすぐ倒したら面白くないというかなんというか......」
「まあ良いのです。早く進みましょう。」
クラネットさんは呆れた様子でまた山を登り始めた。
しょうがない、戦闘は仲間に丸投げしよう。
「ケネたん右前方にマウンテントードが2体です!」
「リーダー!岩陰にヒトクイグサがいます!」
「クラネットさん!脱いで脱いで!」
クラネットの鉄拳が俺の顔面に直撃し、俺の鼻から赤き鼻水が噴き出した。
そう、俺は敵発見に専念したのだ。
これは安全で実力も要らずしかも役に立つという素晴らしき役割なのだ。
我ながら素晴らしい考えだ。
しかし敵がいないとかなり暇だ。
「ほらみんな早く倒せよ!暇なんだけど!」
「「「てめぇ調子乗んな!」」」
またもや俺の顔面に3人の拳が炸裂した。
せっかく止まりかけた鼻血がまた噴き出てしまった。
そんな茶番を繰り返しているうちに山頂に近づいてきた。
するとリーダーのダンデが険しい顔になり。
「いよいよ山頂だ。気を引き締めろ!」
「「「はーい」」」
よしここにお目当てのモンスターがいるのか。
まあどうせこの3人に任せとけば大丈夫っしょ。
さあどんなモンスターが待っているんだ?
「ギャオーン」
雄叫びをあげるのは角を生やし全身を紅の鱗で覆ったモンスターである。
「あ、あのこれって......」
「「「レッド・ドラゴンに決まってるじゃん。」」」
「倒せるわけねーだろ!」
ドラゴンなんてRPGでは魔王と並ぶ最強の存在。
それを倒すなんて無理ゲーだ。
「「「うおーーーー」」」
3人は武器を手にしてレッド・ドラゴンに向かって走っていった。
しかしレッド・ドラゴンは口を大きく開いて灼熱の炎を吐き出した。
これによって人の丸焼き×3が完成した。
戦闘開始から30秒の出来事であった。
「我の領域から立ち去れ人間。」
「な......殺す必要は無かったじゃないか!!」
「ほう、我と戦うというのか非力で愚かな人間。」
何としてもあいつらの仇をとってやりたい。
無謀なのは分かってる。
短い間だったが楽しかったな異世界生活。
俺はゴブリンに既に折られているダガーを鞘から引き抜いた。
その時だった。
《技能<覚悟の剣撃:Ver.1.0>を獲得しました。効果:覚悟を決めた時にだけ発動、全てのステータスを一時的に引き上げ不可視片手剣を使用可能になる。ただしこのスキルを獲得できるのは勇者因子を持つ者のみである。》
《技能<ランダムエンチャント:Ver.1.0>を獲得しました。効果:自分の持つ武器にランダムの術式付与を施す。術式は一撃ごとに変化する。》
脳内に声が響いた。
なんだよ俺勇者だったのか。
まあ今は好都合だ。
ーーこいつを殺すには。
レッド・ドラゴンの炎を剣を振る衝撃波で吹き飛ばし今までの俺ではあり得ないスピードでレッド・ドラゴンに向かって駆け、剣を突き刺しながらレッド・ドラゴンの体を駆け上っていく。
《ランダム・エンチャント:<刀身鋭化>がステルス・ソードに施されました。剣の鋭さが増します。》
2つのスキルによって硬く、どんな剣撃も跳ね返すドラゴンの鱗があっさりと切れる。
「ぐはぁ!人間の力がここまでとは!」
レッド・ドラゴンは必死に自分の体を切りながら登っている俺を振り落とそうと暴れるが抵抗は虚しくついに俺はドラゴンの頭部まで到達した。
「ダンデ、クラネット、ケネット、今お前らの仇を取るぜ!」
俺はステルス・ソードをレッド・ドラゴンから引き抜き、レッド・ドラゴンの頭に振り下ろした。
《ランダム・エンチャント:<ホーミング>がステルス・ソードに施されました。ターゲットを捕捉し、武器が追尾します。》
「くっ!人化!」
レッド・ドラゴンの体が人間の形になり小さくなったことで俺は空中に放り出された。
「やべ!そんなのありかよ!?」
死を覚悟したがステルス・ソードが淡く光り、人化したレッド・ドラゴンの頭に向かって飛んでいった。
勿論剣に掴まっていた俺もレッド・ドラゴンに向かってぶっ飛んだ。
「な!?なんでお前は落下しないのだ!?」
「知らねぇよ!そんなの俺の剣に聞け!」
そしてステルス・ソードは伝説の竜、レッド・ドラゴンを貫いた。
レッド・ドラゴンは倒した。
でもあいつらは帰ってこない。
と思っていた時期もありました。
レッド・ドラゴンのドロップアイテム『紅の魂石』の効果:『炎によって死んだ生物を3回まで生き返らせる事が出来る』によって見事あいつらは復活したのだ。
これがいわゆるチートアイテムですね。
「あれ?私確かこんがり死んだ気がするんだけど......」
「奇遇ですね私もです。」
「俺もレッド・ドラゴンにやられたはず......」
3人は少し考えて。
「「「うん。マサキがドラゴンに勝てるわけないし夢だったのか。」」」
あの......夢オチにするのは勘弁して下さい。
俺頑張ったんだけど。
「あれ?でもレッド・ドラゴンはどこに行ったんだろ?」
そうだケネたんいいとこに気が付いた。
「俺達が寝てる間に勇者にでも倒されたんじゃないか?」
おいダンデ!ちょっと来い話がある。
まあ一応俺は勇者だったから間違いではないが......
結局ドラゴンは通りすがりの勇者が倒していったという結論になってしまった。
そして何故か俺は役に立たないという理不尽な理由でリストラされてしまった。
あの3人がギルドの冒険者達に俺が雑魚という噂を流した事で俺はどのPTにも入れてもらえなくなってしまった。
「はぁー......腹減って死にそう。どこでも良いから入れてくれるPTないかな。」
あれから何も食べていない。
本当にあいつら殴ってやりたい。
そんな中天使達と出会ったんだ。
「誰か私達のPTに入ってくれる方はいますか?お願いします。」
勧誘をしているのはさらっとした綺麗な女性とメイド服を着た爆乳女性だった。
ここだ!!
ここしかない、俺の居場所!
俺は彼女達の前に走っていって土下座をし。
「俺をPTに入れて下さいお願いします。なんでもしますから!」
すると少女達は驚いた顔をした。
くそ!またダメか......
「ようこそ私達のPTへ。私はラム、よろしくね。」
「私はエノですぅ。よろしくですぅ。」
め、女神だ!
俺はこんな可愛い子達と冒険できるのか!
「とりあえずなんか食わしてくれませんか?何も食ってないんです。」
レッド・ドラゴンとの戦いの疲労が溜まっていたのか俺は何日も彼女達の小屋で寝込んでいた。
そのせいで引き篭もりの称号を貰ったのだが。
そして出会った。
黒髮をたなびかせ白い美しい肌の少女アリス・スペスに。
彼はアリスに出会った瞬間に誓った。
俺は何があってもこいつを守ると。
応援イラスト待ってます!