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持ち去られた頭部と右手  作者: ASP
25/31

問.


 たこ焼きを賭けた勝負の夜、アキラは去り際にヒカリへヒントを残した。


『ヒカリ。俺は思うんだ』

 ヒカリは不可思議な錯覚に陥る。アキラの声が残響して聞こえる。まるで彼は既に居ないかのように。


『物事を考えるとき、人は考えなくてもいいことまで考える。ときには、それが故に迷い果ててしまうんだ』

 アキラの後ろ姿がだんだんとぼやけていく。


『そういったノイズをいかに早く、正しく取り除けるか』

 そこで初めて、自分が現実と夢の境目に立っていることを自覚した。強いまどろみが、ヒカリを強引に境界線の向こう側へと引っ張っていく。


『着目する事実の取捨選択で、最適解により早く、より高い精度で辿り着くことができる』

 アキラはドアに手をかけた。ガチャガチャと荒っぽい音を立て、ドアノブを捻っている。


『達は常に想像しなければならない。物事に対処するために、どれだけのコストがかかるのかを』

 そこでアキラの後ろ姿に黒い霞がかかる。


『そうして決めていくんだ。何を考え、何を棄却するべ』

 靄が晴れていく。アキラの後ろ姿は夕輝のそれへと変わっていた。夕輝はドアの補助錠を巨大なニッパーで切断しようとしていた。


『性の問題だ。知りたいことと知るべきことは、常にイコールとは限ら』

 やがてさじを投げたのか、夕輝はニッパーを捨てた。ポケットから鍵を取り出し、補助錠を解除する。


『うして、死体に防御創が無かっ』

 声が歪み、くぐもっていく。


『題のポイントは、『アリア』が何処に誰』

 夕輝はドアを開けた。その向こう側には夜空が広がっている。


『ームで死亡推定時』

 ドアの外側の空間へ、夕輝は身体を傾ける。落ちていくのはあっという間だった。


『断のときは新品が使われ、夕輝さんの時は藤堂家にあるも』

 いつの間にか、ドアの手前に靴が綺麗に揃えてあった。


『屋が異常に綺』

 ドアの向こうの夜空に、花火が一つ打ちあがった。破裂の衝撃が僅かに響いたが、ヒカリには何も聞こえない。


『が使われたんじゃないか。お前が言い出し』

 ヒカリの意識は、その世界から完全に乖離した。




以下の問に答えよ。

一:藤堂朝陽(とうどうあさひ)の頭部は切断されていた。その理由を述べよ。

二:藤堂朝陽(とうどうあさひ)の右手は切断されていた。その理由を述べよ。

三:藤堂夕輝(とうどうゆうき)の頭部は切断されていた。その理由を述べよ。

四:藤堂夕輝(とうどうゆうき)の右手は切断されていた。その理由を述べよ。

五:藤堂朝陽(とうどうあさひ)を殺害した人物は誰か。以下の選択肢から選べ。

六:藤堂夕輝(とうどうゆうき)を殺害した人物は誰か。以下の選択肢から選べ。

<選択肢>

日向ヒカリ(ひゅうがひかり)

藤堂朝陽(とうどうあさひ)

藤堂夕輝(とうどうゆうき)

藤堂美雪(とうどうみゆき)

藤堂雨音(とうどうあまね)

藤堂蓮(とうどうれん)

桐生晶子(きりゅうしょうこ)

新部万里子(にいべまりこ)


以上で出題篇は終了です。

問一から四を自由問題とし、五と六は必須問題とします。


ここまでお読み下さった読者様方に、ささやかながらヒントを提示させて頂きます。


一つ目。あり得ない可能性や、考えても不毛な可能性は、思い切って棄却してしまいましょう。ただし、劇中でアキラ達が考察し、棄却してしまった可能性を捨てるかは、貴方次第です。

二つ目。現時点で推理は完璧でなくとも構いません。大筋さえ掴めていれば、瑣末なことは棄却して頂いて結構です。


それでは、ご健闘をお祈りいたします。

解決篇でお会いいたしましょう。

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