高校生だけど民間軍事会社でアルバイトをしている
どうも、今回が初投稿となります。こうして長文を一人で完成させ投稿するということが初めてなので、色々と不慣れなところがあります。また、今回構想には時間をかけましたが、プロットはあまり作りこんでいません。なのでおかしな点が多々出てくると思いますがご愛嬌ということで。誤字脱字など見かけたら御指摘ください。文章も物語も目が当てられないほど下手ですが書いていくうちに少しづつ向上させたいと思っています。本文は一応ラノベ風。難しくなくできるだけ読みやすくを心掛けて書いていきます。
【駄文、厨二、素人、にわか】←このことに注意
更新スピードは不定期なうえに遅いと思います。ゆっくり楽しくやっていきたいと思いますので温かい目で見守っていてくださるとありがたいです。
暴力は、常に恐ろしいものだ。たとえそれが正義のためであっても――。(シラー)
一章【高校生だけど民間軍事会社でアルバイトをしている】
高校生だけど民間軍事会社でアルバイトをしている。それが今の現状だ。
アフガニスタン、ヘルマンド州にある前線基地の低い空には薄墨色の暮色が垂れ込み、すでに一日の終わりを迎えようとしていた。岩で覆われた山々や大地は影で漆黒に染まっている。
アフガンの荒野を3台の車両が砂埃を巻き上げながら疾走している。装甲車両に改造された2台のSUVに続き、最後尾を走るピックアップトラックの荷台にはM240D汎用機関銃が搭載され、鉄パイプを溶接した安普請の銃座で俺は後方警戒に目を光らせていた。
雇用主のライジングウォーリア社から与えられる仕事はこの頃、哨戒任務や要人警護任務ばかりだった。
3台の車両は検問所でチェックを受けた後、ゲートを潜り施設内へ入った。
宿舎はゲートから入ってそう遠くないメイン通路沿いにある。コンクリートで作られた細長い3階屋は少々狭いが居心地は良く寝泊りする分には苦労しない。
宿舎前に停車した車列から、メンバーが降りる。
「やぁ綽津、おかえり」
宿舎へ入ろうとしていた俺を一人の女の子が呼び止めた。その声に振り返る。
「アリス?あれ、なんか久しぶりだね」
そこにはやはり声の主である女の子、俺がアリスと呼ぶ人物が立っていた。
紹介しよう。彼女は俺の上司であり、雇用主でありそして……命の恩人だ。年齢は俺より二つ歳下の15歳で見た目も普通の女の子だが俺よりも経歴が深く現場をよく知っている。
こんな辺境の地に不釣合いな光景だが、紛争地帯で子供や彼女くらいかそれ以下の歳の女の子が銃を持って戦っているなんて今の時代そう珍しくもない。
「ちょっとね、事情があって三日間外していた。そのことも含めて話があるから僕のオフィスに来てくれ」
俺は露骨に嫌そうな顔をする。こっちは仕事終えてくたくたで帰ってきんだ。早くシャワーを浴びさせてくれ。
「後でじゃダメなのか」
「大事なことなの、いいから来る」
と早くシャワーを浴びたいと言うそんな思いも虚しく、彼女は方向転換し黒くて腰上くらいまで長いツインテールをなびかせ、置いていくぞと言わんばかりにすたすたと行ってしま
う。
また何かの仕事の依頼だろうか?
「おい、おいってば。銃を置いてきてからでもいいだろ……」
上司の指示には従わなければならない。軍隊でも上官の命令は絶対だ。この場合も同じことが言えるだろう。どれだけ顔が土で汚れてようが、服の中が汗でベタベタに濡れていようが、彼女のいうことが最優先事項であり俺はそれを期待通りにこなすのだ。
「一体何だろう」と訝りながら、俺は銃のスリングを肩にかけると、むさ苦しい装備をつけたままアリスの後に続いて宿舎から出て、すぐ隣にあるオフィスに向かった。
ドアを開けると、接客用ソファーに座っていた少女が立ち上がった。
癖のない銀色の髪。少し幼さが残る端整な顔立ち。そしてその肌は雪のように白かった。
そのことから北国出身なのだろうかとも思った。
少女は白いワイシャツに丈が膝上までの深緑色をした短パン姿で膝にはニーパッドをしている。
アリスが紹介した。「こちらはアーシャ。新入りだ。彼女はこれから君のパートナーとして行動を共にすることになる」
少女は何を考えているかさっぱりわからないような無表情な顔つきをしており、身長に差があるので見上げるかたちで深い瑠璃色の瞳が俺を見つめる。
「……ちょっと待ってくれ。その子が俺のパートナー?」
俺は再度アリスに確認するが「そうだ」とすました顔でそう答える。
「何者なんだ」
「彼女も君と同じさ。とある経緯でここに来ることになった」
俺と同じ――。あの赤い記憶が一瞬よみがえる。
「彼女は我が社の最重要機密だ。あまり深く詮索しないほうが身のためだと思うよ?」
「最重要機密?」
これがか……?一体どういうことだ。普通の女の子にしか見えないけど。
「それと、言っておくけど彼女を甘く見ないほうがいい。期待はできると思うよ?彼女は何があろうと君の命を守る。君の指示に忠実に従う。時期にわかるさ」
アリスは口元をニヤリとさせ自信に満ちた顔でアーシャに太鼓判を押す。その横でアーシャは特に表情を変えず無言のまま立っている。
確かにアリスは自分の上司として信頼に値する人物だ。仕事では彼女の言葉をいつだって信じてきた。今回もそうするつもりだ。
「綽津」とアリスは俺に向き直る。そして続けた。
「彼女はまだ〝ここ〟に来たばかりの新入りだからね、慣れないことが多い。君の仕事はバディとしてアーシャの教育係、そして管理役」
まさか、子供のおもりを押し付けられてるんじゃないかと思ったが彼女の真剣な言い方にそれを口に出すことはせず「了解」と返事をした。
そしてアリスが俺のすぐそばまで歩み寄り耳元でささやく。
「いいかい?彼女は最重要機密だ……じゃぁなんで自分に?って顔だね。これでも僕は君のことをかなり信頼しているのさ」
アリスが俺からアーシャに視点を変える。
「さて、アーシャ。紹介が遅れたけど話の通りこの彼が君の全てを管理する。わからないこ
と等があったら彼に聞くといい」
少女は俺を見たままコクンと小さく頷く。そしてその小さな声でつぶやく。
「あなたをマスターと認識……」
お、おう……。瑠璃色の瞳が俺を見上げていた。