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泉の女神  作者: 徒然花
月の石を求めて
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発掘

『月の石』が産出したという坑道は、古いものだからか、案外近いところに位置していた。


「新しい坑道ほど、どんどん向こうにあるんだよ」


そりゃそうだ。


「かなり古い坑道だからな。崩落の危険はないとは思うが、用心しろよ?」


親方さんはそう一言添えた。って、崩落う?? 生き埋め? やだぁ!!

にわかにガクブルしだした私をそっと抱き寄せてくれたラルクにしがみついたとも!


「わかりました。文献では『新月の夜に見つけた』とあったので、我々も新月の夜に探しに行きたいと思います」


そう言って、二人で親方の元を辞去した。




「古い坑道って、何百年も放置してあったんですよねぇ? 崩落?! 生き埋め?! やだぁ!!」


帰り道、さっきの思いを吐露した私。生き埋め! 考えただけでも苦しそう!!

さっきから宥めるように肩を抱いてくれているラルクが、


「探索の時にはシェンロンにもついてきてもらうのがいいな。いろいろな面で助けになると思う」


おおう! シェンロンとな! うん! 強力な味方だよ!


「そうですね! 神様レベルだから、『月の石』も感知しちゃうかもしれないですしね!」

「だろ?」

「ええ! 帰ったらお願いしてみます!」




親方さんちから直行して、いつもの森の入り口でおもむろにシェンロンに声をかける。


「シェンローン! シェ……ぶふっ!」


ごおおおお。


いつもの突風に窒息したわよ。

何度言っても止めてくれないんだから。あ、自衛しない私が学習してないだけか☆

そして目の前にはいつの間にか、淡い金色のドラゴン。


『どうした?』


シェンロンの渋い声が、意識に響いてきたよ。


「あのですねぇ、新たに『月の石』を探しに行こうと思ってるんですが、シェンロンのお力も借りたいなぁって思いましてぇ」

『わが力とな?』

「はい。ひょっとしたら『月の石』の在り処を察知したり、危険を回避したりできるんじゃないかと思いましてぇ」

『ああ、そういうことか。ミカの願いならばお安い御用だ』

「うわぁぁぁ! ありがとうございます!! じゃあ、新月の夜に探索に行くので、スケジュール空けといてくださいね~!」

『?』

「あ、予定入れないでくださいね☆デス」

『わかった』


傷薬、ぶかっけといてよかったよ☆(つーか、傷薬をぶっかけたくらいでこんなにこき使っていいのかしら??)




それから2週間。

待ってましたよ新月の夜!

私とラルクとシェンロンは、例の坑道へと来ていた。シェンロンはそのままの姿だと大きすぎるので、いつもの白ヘビ省エネスタイルです。

私とラルクの手には、ソーラーランプとシャベル。人力発掘用です☆


ソーラーランプを頼りに、坑道の奥を目指すんだけど……

新月の夜って闇夜じゃん!! 真っ暗で怖いんですけど~!

さっきまではぽつぽつと家とかがあったんだけど、鉱山てばそもそも村外れだから、ここまで来たら家すらもない。真っ暗。

私、オバケとか苦手なんだよね。イマドキ、オバケなんていないだろうけどさ、ここ、異世界だし? いてもおかしくないっつーか? いやいやいやいや、自分で追い詰めるのはよそう。うん、ラルクにしがみついとこう。


「ミカ?」

挙動不審な私に片眉を上げるラルク。

「あ、くっつきすぎて歩きにくかったですか?」

腕を組んでるというよりも、もはや腕にぶら下がってる状態の私。だからって離れてやんないけど。

「いや、そうじゃないが」

「あ、私、暗いのとかオバケとかダメなんですよ~。だからラルクにくっついておこっかなぁってね☆」

「大丈夫だ。離れるなよ」

「離れるわけありませんて!」


そう言って、坑道の中に足を踏み入れた。




坑道の中は案外広くて、ラルクでも余裕で立って進めた。

シェンロンは白ヘビ姿で私たちの前を先導してくれている。

『奥の方で、石の気配がするんだが』

そう言って、するする(にょろにょろ?)進んでいく。それに後れを取らないように、私たちも歩を進めた。


しばらく行くと、何だか周りが仄明るくなってきた。

って、ここ、地下だよね? ランプは持ってるから光源はあるけど、どうもランプのせいではなさそうなんだな。


「ねえ、ラルク? なんだか明るくないです?」

「そうだよな。オレも思った。……ちょっとランプを消してみるか」


ぐるりと周囲を見渡していたラルクが、手に持っているランプのスイッチを切った。


すると。


「ふわぁ!」

「なんだ……?」


足元、天井、周り総てから発光している。

否、無数の小さな光が点在してるのだ。

どんな仕組みで光ってるのか知らないけど、すっごく幻想的な光景に、口があんぐり……いや、こほん、うっとりしてしまう。


「何の光でしょうか?」

「……さあ?」


いつも無表情のラルクも、さすがに圧倒されたようだ。目を見開いて、また周囲を見回してる。


『おそらくは、『月の石』と同じ石が光っているのだろう。あれほどの塊ではない、ごく小さいものが』


シェンロンが説明してくれた。


「ほぅ……。綺麗ですね……。でもこの大きさじゃあ、『月の石』とは言えないね」


なんでしょう、装飾品サイズっていうか? 研磨したらなくなっちゃいそうだけど。


「これだけ同じ組成の石があるんだ。割れた石と同じくらいのものがあってもおかしくはないだろう。問題はどうやって探すか、だ。シェンロン、何か感じるものはあるか?」


ラルクは、足元にとぐろを巻いて目を閉じていたシェンロンに向かって聞いた。


『この突き当りに、ひときわ大きな光を感じる』


単に休憩してたんじゃなかったんだね。シェンロン、ごめん。ちゃんと意識を集中させて、石の気配を探っていてくれたようだ。


「とりあえずそこへ行ってみよう」

ラルクがそう言うと、するするととぐろを解き、またシェンロンが先導してくれる。

「シェンロン、レーダーみたい~!」

その後をまた、二人で追った。


さすが神様レベルです☆




そう奥に進まないところで、突き当りになった。

この坑道自体、そんなに長いわけでもなかったようだ。『月の石』が出てからは掘り進めてないって言ってたしね。

突き当りは、さらに明るかった。

もはやランプの光さえも要らないくらいに。


「でもさ、明るいのって、どう見てもこの突き当りの奥よね? 若干ナナメ下気味の」

「そうだな。掘ってみるか。届くかどうかはわからないけど」

「地道に作業しますか」


各々持参したシャベルを手にした。

う~ん、この歳で土方作業するたー思わなかったわ。何か捨ててる気がするけど、もう結婚もしたし、今更いっか☆


二人で作業しようとしたところで、


『下がっておれ』


シェンロンの声が届いた。


「へ? 下がったら掘れないですよ~」

「いや、ミカ。何か考えがあるんだろ。ちょっと下がるぞ」


ラルクが私の動きを止め、シェンロンよりも後ろに引っ張っていく。

さっきまで私たちの行動を静観してたくせに、何すんだろ?

声をかけてきてから微動だにしてなかったけど、静かに目を閉じたかと思ったら次の瞬間には『カッ』と見開いて……消えた。


「へっ? シェ、シェンロン? 消えちゃった?!」

「消えた……けど、もう少し様子を見て見よう」


慌ててシェンロンの居たところに駆け寄ろうとした私を、ラルクは静止して、その場でシェンロンの居た場所を見守ることにした。

固唾を飲んで、その場所をガン見してたら。

そう時間をおかずにシェンロンが再び姿を現した。


口にはでっかい、発光した石をくわえて。


ふおっ?! それって『月の石』?!


シェンロン! ナニソレ神業?!


今日もありがとうございました(^^)


ああ、今回はすっかりラピ〇タの世界(笑)ああもう、借景としておきます!←言い切った(笑)

ポムじいさんやーい!

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