装備させて
やっとこ彼、登場です。
が、めちゃサラッとです(笑)
簡易宿泊場所で、布団に入った途端に私は爆睡した。
こんな得体の知れない場所で爆睡できる私ってすごいかも!って思う。
実は騙されていて、生贄にされててもおかしくないんだからね~。
ああ、疑うことをしない、単純な私・・・。生きててよかったよ!!
「おはよーございます。」
囲いを出たら、もうすでにアンとシエルは起きていて、いつの間にか持ち込まれていたテーブルに食事の準備なんかをしている。
神様にも食事って出してくれるのかしら?私、神様じゃないからお腹すくんだよー?燃料いるんだよー?
そんなことを思いながら眺めていたら、
「おはようございます。今お供え物を持ってまいりますね!」
って、アンに笑顔で言われた。
心の中を読まれた?!いや、ふつーに物欲しげな顔してたんだろう。恥ずかしい。
しかし『お供え物』ですか・・・。確かにカミサマになった気分です・・・。
地味にブルーになっていたら、果物やパンや飲み物などが運ばれてきた。
「わっ!美味しそう!」
私のいたリアルワールド(勝手に命名)と、そんなに変わりのない物がでてきた。
昨日の夜ごはんから食べそびれてるから、今の私はペッコペコのペーだ。
ありがたく頂戴することにした。お腹壊してもいいや。壊してから考えよう!
とりあえず、食うべし食うべし!
朝食をたっぷり食べても、無事(?)お腹を壊すことはなかった。
よかった。これでこっちの食べ物も大丈夫ってのがわかった。
一息ついていると、村長さんが3人の男の人と、一人のおばあちゃんを連れてやってきた。
「おはようございます、女神様。」
「女神様じゃありませんから。」
またこのやりとりから。
恭しくお辞儀をされるけど、いつになったらわかってくれるんだろう?
「さっそく薬草を見に参りましょう。このおばばは村の薬師でございます。案内役にと思い連れてまいりました。後は護衛です。基本的に昼の森は夜ほど危険ではございませんが。」
それは心強い!ありがとう!村長さん!
「ありがとうございます。あ、そうだ。出発の前に、アンさんとシエルさんにお願いがあるのです。」
双子ちゃんに向かって、私は言った。
「えーとですね、布を何枚か重ねてこういうモノを作っておいてほしいんです。できるだけたくさん。」
地面に図を描いて説明する。そう、マスクを作ってもらうのだ。
「ここをこうして縫って、ここにゴム・・・伸びる素材のモノを通して・・・」
図を指しながら、更に詳しく説明する。
双子ちゃんは理解力があるのか「はい、・・・はい」と熱心に聞いていたかと思うと「「わかりました!お任せください!」」と、輝く笑顔でハモってくれた。
裁縫隊の巫女ツインズを残し、私たちは泉の裏の森に入っていった。
昨日は夜で気付かなかったけど、泉の周りにも薬草がたくさん生えていた。薬草尽くしといっても過言ではない。
「おばあさんは、どの様な薬草を処方したのですか?」
一応、おばあさんに聞いてみる。
「はい。これこれこいう薬草を・・・」
昔からこの村に伝わる伝統の風邪薬を処方したらしい。けど、まったく効き目がなかったと。
確かに、今から私が探しに行く薬草とは方向性がずれていた。
言うなれば、熱なのに咳の薬を処方してるみたいな?
それじゃ効かないわな。
「わかりました。では今からこれとこれとこれと・・・」
最近、インフルエンザにも有効だと言われている漢方薬の材料を伝える。
きっと、リアルワールドで通用している名前などこちらには通用しないだろうから、特徴を説明する。
「・・・この辺りにありますか?」
「はい、それらならそう遠くないところですべて揃いますよ。」
と言って、おばあさんは案内してくれた。
たっぷり午前中いっぱいはかかっただろう、目的の薬草を手に入れて、私たちは森から出てきた。
どれだけ要るかわからないから、気持ち多めに摘んできた。
もちろん荷物は護衛兼荷物持ちの男の人にお願いして。
そういえば、護衛の一人が、村長さんの息子さんだと紹介された。
ふわ~~~!!美形!!眼福!!って思った男の人だったんだけど、いかんせん、めっちゃ愛想が悪い。嫌々護衛してます~みたいな感じのオーラ出まくり。
あーあ、あたら美形がもったいない。
神殿に帰ると、巫女ツインズがいい仕事をしてくれていて、マスクがたくさん出来上がっていた。
「ありがとうございます!アンさん!シエルさん!助かります。」
アンとシエルにぺこりと頭を下げる。
すると二人は慌てて、
「そんな!!女神様のお役にたてるだけでも光栄なのですから!!」
と、うるうる感激している様子。きゃー、かわゆいです!二人とも!!
薬草をすり潰すのをどうしようかと考えていたら、とりあえずおばあさんが道具を貸してくれるというので、村の様子見を兼ねてそちらに移動することにした。
今日一日で回れる数は限られるので、問診に耐えられそうな村人から話を聞いてみた。
やっぱり、インフルエンザに似た流行り病。
さっそくおばあさんの家へ行き、道具をいろいろと借りて薬を調合した。
そもそも私はナースであって、医者ではない。
一般人よりは医学知識があるだけだからね!
あとは趣味の領域。薬草ヲタクの世界で。
だから、自分の調合した薬が効くことだけを祈りつつ。
あ~、リアルワールドだったら薬事法違反とか、医師法違反とかで捕まるのかしら。
ま、そんなことここでは関係なさそうだけどね~。
効かなかったら即処刑とかはシャレならんな。
しかし、マスクをした女神様なんて聞いたことないよ・・・。えらく人間臭い女神様だなぁ・・・。
名づけ、めちゃあんちょこです(笑)
思いついたら、もうそれしか考えられなくなってしまって・・・あはっ☆