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泉の女神  作者: 徒然花
番外編
45/79

異世界語

新婚さんのはずなんですがねぇ(笑)

こちらに定住すると決めてすぐさま『嫁』認定されてしまった。

つーか、村人総出で告白シーンを見物してたしね!! コノヤロウ。

あれよあれよという間に結婚式の準備がされてしまい、ひと月後には気が付けば高砂だったよ。

まあ、いっか。……って、我ながらまた凄まじい流されっぷりだわ。いやまあ、今回は納得済だからいいです。はい。こっちの結婚式のお約束とか知らないもんね。

ちなみに西洋風だったけど。

まあ、そんなこたーどうでもいい。

それからまた時間は流れてひと月。


今私はお勉強机にへばりついているのであります。




定住すると決めてすぐのこと。

朝の食卓についたラルクとアンに、

「そろそろ『月の雫』を外して、こちらの言葉を覚えていこうと思うのですが……」

そう切り出した私。

『月の雫』はこちらに来た途端に装着されていた。はからずもあの世の花畑を覗いている間にねっ☆

「まあ、そのほうがいいな。いつまでもそれを付けているのも……な」

なんでしょうか? そのビミョーなタメは? 

「そうですわね。言葉もそうですし、文字なども覚えておかれる方がよろしいかと思いますわ」

みんなにお茶をサーブしながら、いつものかわいらしい笑顔で答えるアン。朝から気分が上がるわぁ(はーと)

「ですよね~。試しに外してもらえます?」

私はアンの方に向いて言ったんだけどなぁ。

「ああ」

って、ラルクかい! 私はアンにお願いしたつもりだったんだけど。まあ、素直に外されときます。最近ますますラルクは過保護爆発兄さんだから。


そうして外してもらったんだけど。


「‘{}*+P‘」?@#’&‘%&@*?(@^^@)」

「……」

「(‘&’)@:▲;+&!%=~▽=’&%$%#“$%▼&%?(--;)」

「……」

「*+●/*&$“$%〇~=&#!”‘@……( ̄▽ ̄;)」

「……まったくわかりません」


『月の雫』を外した途端にコミュニケーション不能に陥ってしまった。




もう一度つけてもらい、一安心。

……って、いや、これで安心してちゃいかんのだよ!! これに頼ってちゃ進歩は来ないの!


「だめなようだな」


一言ズバリ、ラルク。うう、おっしゃるとおりです。がっくり項垂れる私。

一応気の毒に思ったのかラルクが頭をよしよししてくれるけど、お子ちゃま扱い断固はんたーい!!

「日常の動作から覚えていくようになさっては? おねえさまの無理のない範囲で」

可愛い笑顔付きで『おねえさま』キタ~~~!!! キュンキュンしちゃう!!

思わず関係ないところで身悶えしている私を、哀れなものを見るまなざしで見るラルクはこの際無視しておくぜ☆


ちなみに私のつけている『月の雫』。これってこっちの人が外さないと取れない代物なのよね。

自分でつけ外しできないってところが難点だわ。

「これ、まだ自分で外せないのですか?」

いちいちつけ外しに付き合ってもらうのも申し訳ないしさぁ? そう思ってラルクに聞いたんだけど、

「完全にこちらの人間になりきれてないから、まだ無理だろうな」

あっさり否定。って、こっちの人認定ってどうやったらされるの? 住民票移す~とかいう感じじゃないよねぇ。さすがに。


「どうやったらこちらの人間になりきれるんですか?」

「子どもが出来たら、だな」

「……」


ニヤリと笑うでない、ラルクよ!!


「じゃあ、着けたり外したりしながら学んでいくことにします。診療に差支えがあったらいけないでしょう? 日常生活で外していきます」

「それがいいですわね!」




確かに学んでいくとは言った。言ったよ?

でもさ、

「では文字の習得と同時にこの国の歴史などを学ばれるのもよろしいかと思います!」

って、張り切ってレクチャーを始める村長さん。いや、お義父様。


神官は学校の先生も兼ねているらしく、博学でもあります。

で、村長さんは歴史とか国語とかそういったものを教えているそうだ。

ちなみにラルクも村に帰ってきてからは学校(っつーか、村の子供を集めた寺子屋的な何か)で剣術や武術を教えてマス。あ、もちろん診療所の合間を見てね。

で、診療所が休みになるとラルクの実家に行ってカテキョしてもらってるってわけで。

んでもって、この年で勉強机に張り付いてるってわけですわ。


でもですねー。基本的にワタクシ理系ですのよ。暗記系よりも実践とか計算とかの方が得意なんですよー。

世界史とか日本史って、睡眠不足解消の時間でしたわよ。おほほほ。先生、今頃ごめんなさい。

しかもさ、今勉強してんのはよくわからない文字。

なんつーの? 形容するとアラビア文字とかそんな感じ? どこに切れ目があんの? どうやって読むの? ナニソレオイシイノ? の世界なのよね。

いや、大の大人がそんな不真面目ではいけませんね。

こっちに定住するって決めたんだから、不肖理系の美華さん、頑張らせていただきます!!




ほら、ホームステイでも3ヶ月もすればなんとなくコミュニケーション取れてくるし、言葉も判り始めるっていうじゃない?

今の私はそんな感じ。

『月の雫』がなくてもなんとか日常会話はできるようになったよ。

がんばったわ~私の脳細胞!! かーなーり死滅を危ぶんでたんだけど、どうやら全滅は免れてたみたい。

文字もだいぶ覚えた。

まだ怪しいとこ満載だけど。

歴史は……ごめんなさい、お義父様。美華はやはり暗記モノダメでした。

ぼちぼちがんばります。

でも容赦なくレクチャーは続くんだよね~。無理とは言えないチキンな私、こんなところでも遺憾なく発揮してますわ。


ストレスがたまってきたら、おもむろに森に入って、、

「日本語万歳! 日本語万歳! 日本語万歳っ!!」

とシャウトしてすっきり☆

ラルクとシェンロンが生暖かい目で見守ってくれてます!


あ、ラルクと言えば、あまりに過保護だから、

『もう!! ラルクの唐変木!!』

って日本語で文句を言ったら、

「ミカ、今ニホンゴで文句を言っただろう」

じと目でこっちを睨んでくる。ぎくり。

「んんん~? なんのことでしょうかぁ?」

「しらばっくれても無駄だぞ。こういうのは波長でわかるんだからな」

「うきゃー!!」

「こら!」

「ごめんなさーい!!」

あっれー? おっかしーなー? ニホンゴなのにばれてしまう。

でも異世界語こっちのことばで夫婦喧嘩なんてチキンな私には到底無理すー!!

仕方ない。素直な可愛い嫁でも目指すか?


……それこそ、無理すー。


「どうですか、解りそうですか?(@^^@)」

「……」

「この反応じゃ、全然わかってないみたいだな(--;)」

「……」

「そうみたいですわね……( ̄▽ ̄;)」

「……まったくわかりません」


やっぱりラブラブはしてませんでした(笑)ごめんなさい m( _ _ )m


またよろしくです☆

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