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泉の女神  作者: 徒然花
番外編
44/79

回想

シエルちゃんの回想です。短いです。

ゴーリゴーリゴーリゴーリ……


部屋の中に薬草をすり潰す音が響きます。ただ今絶賛薬草すり潰し中なのであります!


シエル18歳。村の巫女 兼 見習い薬師。王都の魔女様の元、立派な薬師(ここ大事!)になるべく修行に励んでいます!




今調合しているのは傷薬です。

こけたり、切ったり、擦り傷をこしらえた時に使うものです。

これ、村にいた時には常備薬でした。

何故って? ふふ、それは女神様がよく森でこけて帰ってきたからですわ!




最初はいつだったかしら? 薬草を摘みに、私の兄のラルクと森へ行ったのですが、帰ってきたと思ったらお姫様抱っこですよ。びっくりしました。目、ごしごしこすっちゃいましたよ!


「森で転倒した。治療しなくては」


兄様はそう言っていそいそと部屋に入り、女神様を椅子に降ろしました。

心配そうな兄様とは対照的に私と双子の姉のアンは、


((あの兄様が、女の人をお姫様抱っこ??))


思わず目を見合わせましたよ。ホント、あり得ない構図でしたから。

ごめんなさい、怪我よりもそっちの方に気がとられてました。

女の人なんてとんと興味のなかった兄様ですから、どんなに告白されようとも冷たくあしらうばかりで、浮いた噂ひとつなかったのですよ。顔はとっても整っているから、村では一番のモテっぷりだったし、王都でもモテていたと聞いてます。それでも女の人の影はなく、一時期本気で「まさか……?!」と疑ったことはナイショです☆

兄様に抱きかかえられている女神様は真っ赤で、とってもキュートでしたけど。

椅子に座らされ、兄様から解放されてから傷口を見せてもらうと、打撲少々と擦り傷。まあ、血は出ていましたけれど、歩けないってほどじゃあなかったです。

それをわざわざ抱き上げて帰ってくるなんて!


「「兄様って、過保護だったのね……」」


生暖かい目で兄様を見てしまう私たちツインズでした。




おおっと、回想してたら手が止まってしまいました。

「ほら、妄想してないで仕事する!!」

魔女様、私が回想に耽ってたのを見てましたね。

「はーい、すみません」

素直に謝って、作業再開。


ああ、でも、女神様の傷薬は液体でしたわよね?




「ええと、ドラゴンとお友達なんですか……?」


女神様に連れられて森に入った日。

兄様は王都の勘違い娘にかかりきりになってた時ですわね。思い出してもむかつくわ……っと、こほん、失礼。

女神様は森の奥に向かって、

「シェンロン、シェンロン~!」

と声をかけていました。

私が『シェンロンて何?』とクエスチョンマークをふんだんに飛ばしていると、

「あ、シエルさん、すっごい風が吹いてくるから気を付けてくださ……ぶはっ!!」

私に向かって女神様が話しかけている途中で、森の奥から突然突風が吹いてきました。

思わず自分の顔を手で庇い「きゃっ!」と悲鳴を上げてしまいました。

ぎゅっと目をつぶっていたので、何が起こったかよくわからなかったのですが、不意に、

『その娘は?』

頭に声が響いてきました。

え? と思い手を除け目を開けると、

「ああ、ラルクさんの妹さんでシエルさんっていいます。これから先、私の代わりにここへ薬草摘みに来ることも多いと思うので、シェンロン、シエルさんも守ってあげてくださいね?」

女神様が普通にドラゴンに私のことを紹介しています。って、いつの間に現れたんですか?! そのドラゴンっ!!

このドラゴンてば、白色。ていうか淡い金色? ……って、神様じゃない??

「女神様……ドラゴンともお知り合いだったのですか!! しかもこんな神レベルのドラゴン!!」

思わず叫んでしまいましたとも!!

「まあ、いろいろありましてお友達になりました。あはっ☆ でもすごくいいドラゴンなんで、頼りになりますよ?」

なんて軽くおっしゃる女神様だったけど、どうしてもその「いろいろ」が気になって質問してみましたわ。ああ、もちろん純粋な好奇心からですよ?


「怪我をした白ヘビに出会ったから、いつも持ち歩いてる傷薬をぶっかけたんですよ~」

あはっ☆ と笑いながら答えてくれた女神様ですが、

「ヘビ、怖くなかったんですか?」

「ん~。ビビりましたよ。でも、私の居た世界では「白ヘビ様は神様の使い」って言われてたんでね、放置しとけなかったんですよ」

祟られても困るしね……と、小さい声で付け足していましたが、よくわかりません。

しかし、神様の使いか何か知りませんが、怪我した白ヘビにもちゃんと治療を施す女神様の優しさにきゅんとしましたわ!

私も見習わなければ!




おっと。また手が止まってしまいました。

どんだけ女神様のことを回想してるんでしょうねぇ、私は。

魔女様がじと目でこちらを見ています。あ、ヤバいですわ。

気づかないふりして作業に戻りましょう。


ああ、女神様と言えば、もう『女神様』ではなく『おねえさま』なんですよ!

先月兄様とめでたく結婚してくださいましたので☆

あ~、会いたいです。優しくてかわいらしい、私のおねえさま~!!

よし、今度のお休みは村に帰りましょう! おねえさまに会って充電しないと!


そう思うと作業に熱がこもるのは気のせいです~




またシエルちゃんには回想してもらいます☆

でも、何の内容もなかったですね( ̄□ ̄lll)ごめんなさい~!!


ありがとうございました!

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