WELCOME王都
しばらく町はずれで休憩してから、いざ王都!!
あ、シェンロンは白ヘビ様に変化してもらって、麻袋の中にINです☆
正体はシェンロンとはいえ、ヘビはやっぱり苦手なので、ラルクが持ってます。
どうでもいいことでしたね。
中心街へ進むにつれて、人や店が増えていく。
市場だって、村のとは規模からして違う。
「ふわぁぁぁぁ! いろいろありますねぇ!」
あちこちを見てると目移りする。
雑貨もあるぞ! アンティークだ! って、ここでは普通に使用されてるものだけどねっ!
美味しそうな匂いは、何の屋台かしら? 立ち食いOK?
「きょろきょろするのもいいが、オレから離れるなよ。迷子になったら大変だからな」
ラルクがラピスの瞳を細めて苦笑する。
「は~い」
といってる傍から、いい匂いのする屋台につられてフラフラと吸い寄せられる私。
ぐいっと腕を掴まれて引き戻される。
「うぉっ?! あ、スミマセン」
「言った傍から」
呆れ顔のラルク。そして、
「つかまってろ」
といって、そのまま腕をすっと出してくる。
ん? 腕組んで歩けとな?
ラルクを見上げると、ほのかに顔が赤い。
お、照れてますな。
「はい。ありがとうございます」
まあここは素直に腕を借りておこう。迷子になんてなっちまったらえらいこっちゃ。
「でも、こんな風にして歩いてたら、まるでデートみたいですねぇ」
なんて、何気に言ったのに、
「……!!」
って、更に顔が赤くなるラルク。
ちょ、こっちまで恥ずかしくなっちゃったじゃないの!
「あ~!! 変なこと言っちゃってごめんなさい!!」
慌てて謝ったわ。
「いや、別に」
って、前髪をかき上げながらそっけなく言うラルクだけど、まだ顔が赤いよ?
ちょっとかわいいかも。いや、後で睨まれたら怖いからいじらないでおこう。そっとしておこう。触らぬ神に祟りなしだ!
しばらく中心街を行くと、目の前に王城が迫ってきた。
って言っても全貌なんか見えないよ? こんもりとした森の上から尖塔が見えてるってだけ。
まずは正門に到着。
門の向こうには青々とした森。これ何? 敷地?
門から真っ直ぐに整備された道がお城まで続いてるんだけど、めっちゃ向こうにお城が見えるって感じ。遠近感おかしくなりそう。
「ふおおおお!! ノイシュヴァンシュタイン城!! モン・サン・ミッシェル!!」
訳の分からん感嘆詞が出てくる。
「ほら、ミカ。入るぞ」
そんな私をまるっと無視して、門の両脇に立つ門番のところへ引っ張っていかれる。
ラルクが国王陛下から頂いた招待状を見せながら、
「近衛兵のドリイに取り次いでもらいたい」
と告げる。
「ラルク様、お久しぶりでございます。今使いを出しました。こちらへどうぞ」
門番の一人がラルクに敬礼する。よく見たら、もうひとりの方もこっち向いて敬礼してる。
つか、ラルク、『様』ってついてたよ?
何気に偉いさんだったのか!?
はてなマークをふんだんに飛ばしながら、先導する衛兵さんについて行く。
しかし。
……門から玄関まで、遠いんですけど?
たっぷり10分は歩いたかも。
やっと次の門が現れた。
もうここはお城の玄関口。
そこの両脇にも衛兵が立っていて、その玄関の真ん前でドリイが待っていてくれた。
「これはこれは女神様。ようこそおいでくださいました」
爽やか笑顔で挨拶してくれる。
眼福ですなぁ☆ って、見惚れてたらラルクが怖い顔になる。いかんいかん。
「お招きに預かり光栄です」
ギコギコギコと、頭を下げる。ぎこちな~!! いい大人が恥ずかしいが、こんなとこ来たことないし、経験値ゼロだもん!! 仕方ないよ!!
緊張がじわじわと蝕んでいく。
どうすることもできないから、唯一頼れるラルクにぎゅっとしがみつく。
神様仏様ラルク様~!
「大丈夫だ。心配するな。さ、行こうかドリイ」
ラルクはしがみつく私の手を優しく撫でてから、ドリイに向き直る。
「陛下は謁見の間でお待ちです」
そう言って、ドリイはなっがい回廊を先導してくれる。
長い。城に入ってから、またどんだけ歩くんだ。
無駄に広くね?
まあ、そんなことはどうでもいい。
もっと大事な問題発覚!!
私は所詮庶民。挨拶とか行儀とか、全然わからないよ~!
世間一般的なことは一応できるけど、セレブな所だと通用しないでしょ。
組んだラルクの腕をくいくいっとひっぱり、
「ラルクさんラルクさん。あのですねぇ、私、作法とか行儀とか、全然わからないんですけどぉ」
前を行くドリイに聞こえないように小声でラルクに囁く。
ヤバい、半泣きになってきた。
「普通にしておけばいい。オレのまねをしておけば大丈夫だ」
ラルクも小声で耳打ちしてくる。
「わかりました」
コクコクと肯く。
しばらく歩いて、大きな扉の前でようやく止まった。
コンコンコン。
軽やかにドリイがノックする。
すると中から「どうぞ」という声とともに扉が開いた。
うわぁぁぁ! とうとうご対面だ!! どうか牢屋にINだけは勘弁してくださいねっ!!
ままよ、と、ラルクと共に謁見の間に入る。
そこはだだっ広い空間。
シャンデリアがいくつも天井からぶら下がっていて、とってもゴージャス!
廊下と反対側の壁は一面ガラス窓で、外の庭園が良く見える。
今日はいい天気だからまぶしいくらいの陽光が入ってきている。
部屋の一番奥が、3段ほど高くなっていて、そこに重そうな金色の椅子が置いてあり、重厚な衣装を身に纏ったご立派な男の人が鎮座していた。
おおっ!! ルートヴィヒ2世さん? ルイ14世さん? ……て、違うな。
「国王陛下だ」
ラルクが耳打ちしてくれる。
思わずごくり、と生唾を飲み込む。
ともすると俯きそうになる自分を叱咤しながら王様を見る。
思ったより若い人だ。30ちょいくらいかな?
超美形とかいうのではないけど、整った上品な顔立ち。
プラチナの髪を後ろで結わえている。綺麗な色だ。
きりりとした素敵な方だ。国王捕まえて素敵っつー表現もなんだけど。
ラルクにエスコートされて部屋の奥、より王様に近い場所まで移動する。
こんなセレブに近寄ったことないから、ビビるんですけど……
ノイシュヴァンシュタイン城。写真でしか見たことないです(笑)
モン・サン・ミッシェルは面白かったです。屋上(?)からの眺めのよろしいこと!
謁見の間のイメージは、ヴェルサイユの鏡の間って感じでしょうか?
今日もありがとうございました!




