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泉の女神  作者: 徒然花
本編
18/79

女神様のディナー

ドラゴンに懐かれた。

ドラゴンに懐かれた。

ドラゴンに懐かれた……。


しかも、神様レベルの金色のドラゴンに。

あれから森に入ると、金のドラゴン(神様レベルだというので、神龍からシェンロンと勝手に名付けた)が、私たちを見守ってくれている。他の野ドラゴンや魔獣と遭遇しないように。

ありがたいです。ありがたいですよ?でも、恐れ多いっちゅーか、なんちゅーか。

ラルクは平気みたい。

騎士団にはドラゴン騎乗部隊とかもあって、ラルクもドラゴンに乗れるらしい。

(だから『野』ドラゴンて言うんだねー)

こちとらドラゴンどころか馬にも乗ったことねーよ!




ふう。

一日分の診察と、今日は漢方講座を終えて、アンの作る夕食を待つばかり。

あ、その前にラルクのお茶もいただいてますよー☆

「お待たせいたしました~」

アンがにこやかに微笑みながら、出来た夕飯をテーブルに並べていく。

ご飯はアンとシエルが交代で作ってくれる。私も作れるんだけど、

「「女神様はお疲れになってはいけませんから!!(兄様怖いんで)」」

と、作らせてくれない。

二人とも料理は上手。

こちらの料理は基本素朴なものだ。

野菜を茹でたり焼いたり、塩と胡椒で味付けて。肉や魚にしてもそう。

塩と胡椒で味付け完了。

素材の良さを活かせているか否か。そこがこちらの料理のポイントみたいだ。


でも、いつも作ってもらってばかりでは申し訳ないと思っちゃうのよね。


よし、たまには私が作ってみるか!


一応、料理教室にも通ってみたしね☆(いつでも結婚できるように♪)


仕事を終えてからだと、ラルクが何もさせてくれないから、休診日に豪華ディナーを作ってみようか。(『豪華』っていうのはあくまでも主観です☆)




そして、休診日。

今日はラルクとアンと私の3人で、村の市場まで買い物に出かけた。

いつもならばアンかシエルが買い物を済ませてくれるんだけど、今日は私もどんなものがあるのか見てみたかったしね。

私が行くとなると、ラルクは当然。

シエルはお留守番している。

『漢方の勉強して待ってますわ~』

と、キラキラ笑顔でひらひら手を振ってお見送りしてくれた。

なかなか優秀な弟子だよ、シエル君は。

かなり貪欲に私の知識を吸収しようと頑張っている。

このまま行けば、診療所を任せるのも夢じゃなかろう。


ま、それはさておき。

市場に到着。


「ふおおおお! いろんな食材があるのですね~!」

初めて見る野菜や果物もあれば、リアルワールドと似たような野菜もある。

肉や魚も、たーんとある。

さて。今日は何を作ろうか?

こちらの食材を代用して出汁とか、高度な和食はまだ私には無理そうなので、とりあえずできそうな洋食にしてみよう。

洋食と言えば……ステーキ?

……肉、焼いただけじゃん。ま、焼き加減に上手い下手がでるけどさ。

じゃあ、ハンバーグ?

おっ、ハンバーグは大人から子供まで大人気メニューだぞ!

これならいけるかも知れん。

トマトソースを上からかけて。よし、その方向で行こう。

付け合せはもちろんポテトサラダでしょ。外せない。江藤家の定番カップルだからね!


メニューが決まったら、目的の食材を物色。

「こういう野菜が欲しいんです。あと、お肉と、味付けするもの……」

よくわからないから、詳しいアンに説明して相談にのってもらう。

「そうですねぇ……それは、こういうものでしょうか?」

アンも、色々と見繕ってくれる。


あちこちきょろきょろと覗いて回っていたら、

「まあ! 女神様ではありませんか。この間は本当にお世話になりました!」

野菜を山積みにしたお店(八百屋?)のマダムが声をかけてくれた。

この奥さん、風邪ひいてうちの診療所にきたんだよね~。

「もう元気になられたようですね」

治った姿を見ると、こちらも元気になる。

にこっと挨拶を返せば、

「女神様のおかげですよぉ! あ、入用の物があったらどれでも持ってって下さいよ!」

と、太っ腹なことを言ってくれる。

「ええっ?! そんな、売り物なんですからいいですよぉ!」

と、私が謙虚なニホンジン丸出しになってる横で、

「じゃあ、えーと……」

と、アンが真剣な顔をして野菜を選び始める。って、ちょ、アン! あなた意外とちゃっかり者ですね!!

真剣な顔で野菜を選ぶアンを見てあわあわしてると、

「みんなミカに感謝してるんだ。ありがたく受け取っとけ」

と、横からラルクに言われる。

「そんなもんですかね?」

ラルクを見上げながら言う。

「そんなもんだ」

と、微笑みながらラルクがくしゃっと私の頭を撫でた。おい、お子ちゃま扱いしないでくれたまえ。これには萌えません。微笑みにはやられましたが。


どの店を覗いても同じようで、

「これ、持って行ってください!」

「おいしいですよ~! おひとつどうぞ!」

ってな具合で、あっという間に荷物がいっぱいになってしまった。




「このお肉を叩きのめすっ!!」

ずだだだだだだだだだ!!!


家に帰ってきて。

いざ進めやキッチン!!ということで、早速調達してきた材料で調理開始。

ミンチなんてこちらにはないので、包丁チョッパー!!

自力でミンチを作り出す。

「お肉をこのような使い方をするなんて、斬新ですわ。」

アンが感心したように、私の手元に見入っている。

「向こうでは元からこのように加工されている肉も売っているんですよ~。さ、いい感じにミンチになりましたね。よし。ここにみじん切りにした玉ねぎ(みたいなの)、調味料、パン粉、牛乳、卵、投入!!」

出来たミンチに用意した具材を投入し、もみくちゃにする。

「よーく揉むと美味しくなるんですよ~」

といいながら、私はせっせと捏ねる。捏ねる。捏ねる……。


ポテトサラダ(みたいなの)も、作り、いざ食卓へ。

マヨネーズもどきも手作りしました! 頑張りました。私!

その間ずっと、アンは私に張り付いていた。

料理に興味があるようだ。


「「「「いただきまーす!!」」」」

お初リアルワールド料理です。

3人は初めて見る料理に、おずおずと口をつける。

「……ど、どうでしょう?」

そんな3人の反応が気になり、まじまじと見つめる。

多分、大丈夫だとは思うんだけど……?


最初に反応したのはアン。

ずっと張り付いて観察していたから、どんな味になっているのか気になっていたのだろう。

「おっ、美味しいです!!」

眼を見開いている。少し頬が上気してる?

「こんなお料理、初めて食べました!」

こちらはシエル。とっても感激している様子。

「ふん。初めての味だけど、なかなかイケるな」

しっかりと咀嚼して、味わっている様子のラルク。

おお!ラルクにも褒めてもらえました~~~!

あっという間に完食した3人。

そして、

「「まるで魔法のようなお料理ですわ!!」」



魔法じゃなくて、一から作ってたの、見てたでしょ?


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