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泉の女神  作者: 徒然花
本編
11/79

リアルワールド!!

ぱちっ。


目を開けたら。


・・・ここは、自分の一人暮らしマンション?

おお!!ベッドの上だぁ!!

ひと月ぶりってことよね?

ああ、快適だ・・・。

もう一眠りしよう。


・・・。

・・・。

・・・って、いかーーーーん!!


私に許されてるのは日没までなのだよ!!

走れメロスな気分だ。

惰眠をむさぼってるような時間はない。

急いでベッドサイドの時計で時間を確認すると、ちょうど朝の7時だった。

カレンダーで確認する。今日は例の奈々子のところでアロマサービスをする日だ。

急いで出かける支度をする。




「おはよう!奈々子!」

なんとか約束の時間に、奈々子の旦那様の産院に到着した私。

「おはよう、美華。今日もよろしくね。」

ああ、『美華』って名前、久しぶりに呼んでもらえたぁ!!!

すっごいしょーもないことでプチ感動。

そう、私は女神様なんかじゃない!さ、働こう!!


今日もどんどん患者さんを癒していく。

けど、時間は刻々と過ぎていく。

いつもと違う私には、いつもと同じように過ごしてしまうことなんてできないわけで。

とりあえず、ここでのアルバイトを一旦休止させてもらわなくちゃならない。

せっかく施術の日数を増やしてもらえるはずだったのになぁ。

残念だけど、仕方ない。




昼休憩。

私は奈々子と院内の応接室でお弁当を食べていた。


スタッフルームと違い、院長の応接室とあって、ソファーはふかふか、上質だねぇ。

・・・て、そんなことはどうでもいい。

「あのね、奈々子。・・・実はとっても言いにくいんだけど、しばらく施術をお休みさせてもらえるかな?」

一大決心をして、私は口を開いた。

「へ?どういうこと?」

ぽかんとして、奈々子が問い返す。

「うん、知り合いに誘われてね、海外の医療ボランティアに行くことになっちゃったの。」

ま、ある意味海外と言っても間違いないところだ。

「え?そうなの?う~ん、えらく急だね。」

ぽかんとした表情は脱したものの、まだ不思議顔の奈々子。

「うん、急に欠員が出たらしくてね、私くらいしか頼めなかったんだって。」

ああ、嘘です。ごめんなさい。

「そっかぁ。んで、どれくらいの期間行くの?」

「ん~、未定だけど1年くらい?わかんない。」

「そっかぁ。」

そっかぁ、を繰り返す奈々子。

頬に手をやり、考えポーズをした後、

「わかったよ。旦那には私から言っとくわ。帰ってきたらまたバイトしてよ。」

にっこり笑って言ってくれる。

なんだかものすごく物分りのいい、かつ私に都合のいい展開にびっくりするけど、いつも奈々子はそうだった。

学生の頃から一緒にいる。激務のナース時代も一緒に過ごした。

愚痴を言いあったり、楽しいことを分かち合ったり。

いつも一番の理解者だったと思う。

今回だって私の勝手な申し出に、にっこりと笑って許してくれる。

社会人として、こんな仕事の切り方は絶対によくないのにね。

「ありがとう。勝手言ってごめんね?」

丁寧にお辞儀する私。

「いいよいいよ。せっかくアロマサービスが軌道に乗り始めたとこだったから残念だけどね。美華が自分で決めたことじゃないの。体に気を付けて頑張ってね!」

私の決めたことを受け入れ、応援してくれる奈々子。

その代わり、中途半端なことをしてると途端に怒られたりもする。

「うう・・・奈々子。泣けてくるわ。ホント、ありがとう。」

ほんとは行きたくなんかないんだよ~!でも帰る約束しちゃったんだよ~。

向こうでベストを尽くして、絶対こっちに帰ってくるからね!!

改めて決意する私だった。




午後の施術も終えて帰途に就く私。

マンション、引き払う時間なかったなぁ。

どうしよう。

「あ、そっか。来月の手配してからむこうに行けばいいんだ。」

ポン、と手を打つ私。

来月、何としてでもまたこっちに帰してもらおう!


その足で、マンションの管理会社に連絡を入れた。




マンションに帰り、ざっと部屋を見回す。

働いてる間はほとんど寝に帰ってきてるようなものだったから、殺風景この上ない。

ベッドとサイドテーブル。小さな本棚、テレビ、小さなテーブル。

引越しするにはすぐに荷造りできそうだ。


「あ、そだ。ちょっと道具があれば便利よね。」

むこうに持っていけるものを考える。

前のように丸腰で行きたくはない。

「よし、ドラッグストア行ってこよう。」

お財布片手に、近所のドラッグストアに向かった。




「血圧計、よし!体温計、よし!ソーラー充電器よし!」

血圧計と体温計は、昔ながらのものをゲット。ほら、空気入れみたいなのでしゅこしゅこするやつ。体温計はもちろん水銀の。

ソーラー充電器は、ケータイを殺さないために。電気がなくてもこれなら充電できる!

これらと貴重品を、水にぬれても大丈夫なようにパッキングして持つ。


色々準備していたら、すっかり時刻は8時を回っていた。

覚悟を決めてトイレに行き、手を洗った瞬間。


足元に穴が開いた・・・気がした。

要するに、落ちて行ったのだ。


今回はちょっと短めでしたね(--;)


とってもたくさんの方に読んでもらって、とっても喜んでいます!

(喜びすぎて震えてますが(笑))


また読みに来てくださいね♪


2012/2/22 11:40 アップしたばかりですが加筆修正しました。すみません。m(_ _)m マイナーチェンジですので、話の流れに影響はありません。

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