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泉の女神  作者: 徒然花
本編
1/79

はじまり

何の特殊能力もなく突然違う世界に行っちゃったらどうするかなーって考えてたらこうなりました。

何分私の妄想の世界ですので、かるーく読んでいただくと幸いです。


昨日の雨のせいもあり、湿った生ぬるい風が、半袖のワンピースから出た腕を撫でていく。

陽が落ちて、夜になっても気温はまだ下がらない。

夜空を見上げれば、今夜は満月。

昨日の雨が嘘のように、煌々と輝いている。

季節は夏、7月。




私、江藤美華≪えとうみか≫27歳独身は、仕事帰りだった。

仕事っていうか、バイトだけど。


昨日の雨の名残の水たまりを避けつつ、手には夕飯にすべく買ってきたコンビニのお惣菜。

・・・むなしい。ひっじょーに虚しい・・・誰かディナーに誘ってくれるような人はいないのか?!

いないからこうしてコンビニ食材持ってんだろ。

そんな不毛なことを考えながらも家路を急いでいた。

また足元に現れた水たまりを避けるべく横に退いたのだけど、不幸にも退いた先にも水がたまっていた。

暗くて気付くのが遅れた。

態勢を整える時間もなく(そんな大袈裟か?)、私はその水たまりに足を突っ込んでしまった。


べちょ。


「あっちゃ~!お気に入りのサンダル~!!」

がーん。まだ買ったばっかだったのに!

お気に入りのサンダルと共に、自分の素足も濡れたぁっって思った瞬間に、足元の水たまりの中に吸い込まれてしまった。っていうか、落ちた?


「ぎ、ぎゃーーーー!!!」


20代も後半になってくると叫び声も可愛げなくなるものなのかしら?

ちーっともかわいらしくないわめき声を上げながら、私は暗闇に落ちて行った。


水たまりで気付かなかったけど、実はマンホールのふたが開いてたとか?

うっそー!そんなの落ちたら大怪我になっちゃうじゃない!

誰だ、閉め忘れたのは!

こんなの救急車沙汰よ!これ以上救急現場を煩わすなよー!

いや、待て。だれも落ちたのに気付いてくれなかったらもっとヤバくない?!

怪我したまま放置で三途の川渡っちゃうよ?


ずれた考えが頭をよぎる。

けれど、マンホールならものの10秒ほどで底に到着するだろう。けれど、まだ、一向に底につく気配がない。

私の叫び声も響いてはいない。

まだ落ちていく感覚がある。真っ暗闇だからよくわからないけど。

どんだけ深いマンホールだ。



ピシッ・・・


真っ暗闇のどこかで、何か、ガラスのようなものにひびが入ったような音がした。


音がした途端。


ごぼごぼごぼごぼ…!!!


水の中に出た。

というか、突然水の中にいたといった方が正しいのかも。


お ぼ れ る っ!


落ち着け、私!!

あわてず、上かな?と思われる方向に顔を向ける。

黒い水面の向こうに月が揺れているのがわかる。

よし、あっちだ!

渾身の力を込めて手をかく。

何度かいただろう。

水面に手が届いた。ギリ、セーフっ!息もったよ!


ザッパァッ!!

「ぶっはぁぁぁぁぁ!!!」


水面から顔を出した途端に、また色気のない声が出てしまう。

ぷはー!!空気うまー!酸素さいこー!!

などと、生きてることに感謝しつつ、顔をめぐらせ次は岸を探す。

これでごっつい湖のど真ん中とかだと、完全に死亡だけどねっ!

立ち泳ぎで周りを見回すと、すぐに岸は確認できた。

なぜなら、松明が燃されていたから。

幸いにも5mほどで岸に手が届きそうだ。

人がいる?たくさん?

松明の明かりが人々のシルエットを浮かび上がらせる。

ん?待てよ?なんだありゃ?

松明と暗闇と月明かりに目が慣れてきたころ、岸にいる人々の姿がようやく見えてきた。


岸にいる人々はギリシャの古代人のような服を着た男の人や女の人で、みなさんしっかりこっちを見ていた。


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