トンボシティと遊園地
タロウとレモンはトンボシティの前の15番道路を歩いていました。レモンの表情が少し曇っています。レモンは不安を口にします。
「マロンの奴が犯人だとしたらあいつはどこでどうやって私達を監視しているんだろう?」
「どこかで見てるって可能性もあるかもしれないね。トンボランドに行けば動物達もいっぱいいるし何かあっても人も呼べるよ。取り敢えず今は不安な事を忘れて行こう。」
15番道路の向こう側にゲートが見えて来ます。そのゲートを越えると見えてきたのはトンボシティです。高層マンションが立ち並びすっかり地方都市という気がします。目の前に空港から飛び立った飛行機が音を立てて飛んでいく様子が見えます。目の前を通行人達が歩いています。辺りはビジネス帰りのサラリーマンが多いのです。
「いやートンボシティに到着ねー。いやー、見て見て、トンボシティ限定のオレンジジュース、飲みたかったのよねー。」
「うわー、安いね。破格なくらい、しかもトンボリゾートの限定デザインなんだ。」
レモンはコインを入れてオレンジジュースを買うと、タロウのほっぺに冷えたオレンジジュースを付けました。するとタロウはレモンに言いました。
「なんだよ、もしかして甘えているのかい?それともイチャイチャしたいのかい?」
「まあね、タロウ君はいつも私の事を助けてくれるから。
今くらい甘えさせて。」
そう言うとレモンはタロウのほっぺにキスをしました。その瞬間にタロウの顔が赤くなりました。
「レモンちゃん、それってやっぱり。」
「良いでしょう。2人なんだし。ねえ、トンボランドに行きましょうか?こっから暫く歩くとモノレールが出てくるから。」
2人はモノレールの前に来ました。モノレールは飛行機のような形をしており独特なデザインです。シャープで尖り切った戦闘部分。モノレールに乗ると子供達がいっぱい乗っています。レモンが座ると隣の席にリスの女の子が座っていました。リスの女の子は目の前に見えるトンボランドをワクワクな表情で見ていました。
「お姉ちゃんとお兄ちゃんは2人でトンボランドに遊びに行くの?もしかしてデート?」
「デートって言えばデートって感じになるのかな?うん、でもタロウ君とは付き合ってはいないんだよ。ただの友達って感じ。でも一緒にして心地良いよ。君の名前は?」
「私、レイス!今日はお友達と一緒にいっぱいいっぱい楽しく遊園地で遊ぶの!沢山の思い出を作るんだ。」
トンボランドに到着しました。早速ゲートでチケットを購入します。チケットを購入して早速パーク内のパンフレットを見ます、見ると絶叫系があるエリアはウォーターフロントというエリアです。
「ねえねえ、レモンちゃん、ウォーターフロントにあるジェットコースターに乗ろうよ。このジェットコースターなら思いっきり叫べるかもよ。」
「うん、良いね。」
2人はジェットコースターに並ぶと長蛇の列が出来ています。レモンとタロウの2人はジェットコースターに乗ると一気にジェットコースターは動き出します。そして一気に上まで上昇して行きてっぺんから下降して行く瞬間にレモンは絶叫をあげるのです。楽しそうなタロウとレモンを塔の上から撮っていたのはマロンでした。
「見つけた。寄生虫。」
「はー、怖かったけど楽しかった。私トイレ行ってくるねー。」
遊園地内の女子トイレにレモンは入りました。レモンが用を済ませようとしてトイレの扉を開けるとそこにはマロンの姿があったのです。
「マロン、なんであんたがここにいるのよ。」
「ふふふ、あの人参の妖精達、黒焦げの焼けにんじんになっちゃったね。調理したら美味しそう。レモンさ、調子乗ってんじゃねえよ。アル中のお父さんから離れたくて旅に出たんだっけ?それに今あんたのお母さんはいない。あんたを守ってくれる保護者は誰もいない。あははは。その時点であんたは天涯孤独の寄生虫のカス野郎。」
次の瞬間レモンはマロンの胸倉を掴んでトイレの壁に叩きつけるのでした。激しい怒りと憎しみが湧いて出てきます。キャロピイを殺された恨みを一気に爆発させます。
「よくも、キャロピイちゃん達を!!
どうして何故?私をいじめるだけでなく、妖精達を殺したのよ。あの子達は必死に野菜を作っていたのよ。そんなに私を虐めたいの。私を苦しめたいの?」
「うるせえんだよ!黙れよ。喋んな!寄生虫がよ。お前あんな妖精なんかに幻想抱いてんのかよ。きめえんだよ。
お前の母親、黒焦げで死んだんだってな。動物の形もしてねえただの炭じゃねえか。さっきの人参も炭になっちまったよ。ははは。ほら!アル中の娘!!!
お前の旅なんかに希望なんかいらねえんだよ!!!」
するとマロンはレモンを蹴り飛ばしました。そしてトイレの汚水をレモンの頭に垂れ流したのです。レモンは汚れてしまいました。
「やめて」
「ほら辞めてとかそれくらいの事しか言えねんだろう。お前は?弱気で薄っぺらいだけの寄生虫のクズだろうがよ。タロウ君だっけ。可哀想。お前なんかと旅して。あたしはね、弱い奴が嫌いなの。お前なんか強くもなんともねえだろう。じゃああんたの大切なもの消してあげるから。」
「大切なものは絶対にあんたなんかに消させないんだから。
待ちなさいよ。」
床に転がるレモンの前にマロンは現れると足を踏みつけてその場から消えていきました。レモンは気絶をしてしまい、意識が消えて行きました。辺りは真っ暗な闇です。
「お母さん、ここどこなの?タロウ君。」
「誰か私を助けて。」
「レモン、お母さんはいるよ。いつでもあなたの味方よ。だからあなたも、いつまでも、苦しんじゃダメよ。」
「待って、お母さん、助けて!私を置いていかないで。」
「ねえ、レモン、いやカリン。」
「カリン、カリンって誰?何を言っているの。私の名前はレモンよ。カリンって誰なの?お母さんの名前はバレンシア、そうでしょう。お母さん。」
その時レモンの目の前に見知らぬ光景が写っていくのです。それは動物の姿をしたものではありませんでした。肌色に髪の毛を生やした人間に近い男2人が写っていたのです。
レモンはその人物2人が誰だかわかりませんでした。だが突然名前が蘇って来たのです。
「リュウタロウ、ナカヤマリュウタロウ、ミネギシリョウ、
私の名前は、、、、、」
次の瞬間レモンは目を覚ましました。トンボシティのトイレの前で倒れていたのです。そしてレモンの事をじっと見つめる幼稚園児くらいの女の子がいました。リスの女の子です。可愛いらしい女の子で目がくりっとしていました。
「お姉ちゃん、怪我しているの?大丈夫」
「君は?もしかして私の事を助けてくれたの?」
「うん、お姉ちゃん、トイレの中で倒れていたから。私はレイス。係の人呼んできたよ。」
「君大丈夫か?酷く怪我をしているみたいだけど。」
係のアザラシのお兄さんはレモンを心配します。係の人に連れられてタロウもやって来ました。
「レモンちゃん!大丈夫?トイレから帰って来なかったから心配になって探したけど、レモンちゃん、その傷。
誰にやられたの?まさか。」
レモンはタロウに抱きつきました。
「タロウ君、怖かった。トイレの中でいきなりマロンが現れて私に言ったの。キャロピイを焼いたのは私だって。
やっぱりあいつが犯人だった。あいつは私を散々罵って虐めて、私と仲良くなった妖精まで奪っていった。あいつは許せない。」




