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別れ

今は辛い話ですが、もう少ししたら明るい話に戻します。

クワガタシティの警察署で、僕は事故の詳細を聞かされました。

猛スピードで突っ込んできた車が、カフェに衝突したのです。

店員さん、運転手、そして通りがかりの客の一人。計三人が死亡しました。

刑事によれば、運転手はどうやらアクセルとブレーキを踏み間違えたようでした。


あまりにも突然の出来事に、僕の心は騒然としました。


そのとき、署の奥からドアが開き、レモンちゃんが出てきました。


「タロウ君、ごめんね……ママと、最後に話してくれたんだよね。

ママ、喫茶店で毎日頑張ってたの。私のこと、すっごく大事にしてくれてたの。

……でも、どうして……どうしてママだったの?

なんでママが死ななきゃいけなかったのよ……っ!

私……私、事故を起こした奴を殺してやりたいくらい……うわああああああっ!!!!!」


レモンちゃんは堪えきれず、床に崩れ落ちて泣き出しました。


遺体の損傷は激しく、目を覆いたくなるような状態だったと聞きました。

遺体安置所に置かれたバレンシアさんの顔には白い布が掛けられていて、

それを静かに外したとき、レモンちゃんのお父さんは一言も言葉を発せず、ただ、黙って涙を流していました。


しばらくして、僕はレモンちゃんのお父さんとすれ違いました。

そのとき、お父さんは僕に深く頭を下げて言いました。


「最後に、私の妻に会ってくれてありがとう。

君が来てくれたから、妻は最後に、君という優しいお客さんと出会えたんだ。

……それだけでも、あの人にとっては幸せだったと思う。」


「そんな……僕だって、一歩間違えれば、あの事故に巻き込まれていたかもしれません。

でも、バレンシアさんは本当に、心の温かい店員さんでした。

僕、絶対に忘れません。」


出会いがあれば、別れもある。

そう頭ではわかっていても、今回の別れはあまりにも突然で、悲しすぎました――。

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