首都に着いた!――1話
数日かかったけどついに首都だ!
「見えてきたわねー。この丘を下ればすぐよ」
「男爵領地の割にはそこそこ大きいんやな」
「開拓領地って聞いたかなあ。辺境伯が入るところではないけど地位の高い爵位餅が優雅に暮らすところでもないとか」
丘から見える城下町は広大な面積を保有していて、飛行船が飛び、なんだろ、被竜種に乗っている兵士が巡廻していたのであった。
「っかー、街並みが整っていて綺麗だぜ」
「計画都市らしいで」
「なぜスバル様がそれを知っているのですか?」
「なんでもええやろ、知らんけど」
門をくぐろうとしてはたと止まる。
門が閉まっており、人々は脇に付けられた非常門から出入りしている。
そこにも門兵がいて手厳しい取り締まりが行われているようだ。
よく見りゃ商隊も止まっていて渋滞起こしてら。
本当に見てなかったぜあっはっは。
「なんや検問が厳しいのう。商人も少数ずつしか入られんみたいや。出てくるもんはおらんで」
「そうだねえ、なんかあったのかな。暴動が起きたとか」
「お前の五感でどうにかならんのか」
うーん。耳も鼻も目も、都市の賑やかさで潰れちゃってるなあ。
「さすがに都市の真ん前じゃわからんね。人だかりへ行って聞いてみますか」
そんなこんなで非常門を中心とするガヤへ入っていったのでした。
整列? する文化なんて高度文明を誇る基本世界くらいなもんでしょ。
門兵は対応に追われていて話すことが出来なかったので、ガヤの一人に話を聞いてみた。
「へい旦那、これは一体何があったんでい?」
「ああ、お前亜人間か。亜人間に教えてやる義理はねえよ」
「旦那は差別主義者ってやつかい。じゃあこの娘ならどうだ」
そういってスバルを目の前に差し出す。
まあね、ぼいんぼいんだし、服装は私より少し背が小さいから、ちょっとダボダボのボディスーツ、ライダースーツみたいな代物である。私の見せ服着用してるからね。私ライダースーツはいていたのか。
まあ、胸が大変強調されるのである。
「お兄さん、私には教えてくれるわよねぇ。教えてくれるなら――」
甘く囁くようにスバルが問いかける。こういうのうっまー。
「教えてくれるなら……」
「何をするかは教えてく・れ・た・ら・よ」
軽く身体を前屈みにして胸がチラ見ギリギリになるまで露出し、人差し指を軽く舐める。
「そ、それはだな……」
「おい、こんな馬鹿野郎に教えるすべはねえ! 俺が教えてやる!」
となりのオッサンが怒鳴り立てる。
ガヤにいたので、ガヤに板人間全員が魅了されてしまった。
男女関係なく。
これが魔法ってやつっすか?
皆が競い合うように理由を話してくれる。
どうやら男爵様の暗殺未遂が起こって門を閉めているようだ。
入れるが出られないらしい。
「みんなありがと、ちゅっ」
お礼とばかりに投げキッスをして男性の股間をもっこりさせるスバル。女性は濡れているであろう。
門兵も簡単に通してくれた。
検問所控え室でスバルと楽しいことをするかわりに、だが。
検問所で待ってみる。さすがに酷いことはせんと思うが……。
「スバルが連れ去られて小一時間経ったけど、なんか叩く音がするよ」
「なななな、嬲られているのでは!?」
「ちと聞き耳を立ててみるか。静かにしておれよ」
すると、パァンパァン!! という音が聞こえてくる。
そして男性が嬌声を上げるのと、お嬢様になったような口ぶりのスバルの声が。
あ、これ大丈夫ですね。
「心配はいらんと思う。ライダースーツはお嬢といえばお嬢に見えるもんな」
「なんのことですか?」
「若造には知らなくても良いことなので教えませーん」
ジンきゅんがヤリチンになったら私は世界を滅ぼすと思う。
なのでシャットアウトなのだ!
割とお楽しみの時間は長く、二時間ほどで控え室から出てきた。
その際のスバルの笑顔ったらないね。天使の笑顔だね。
きっと私からのストレスを発散できて良かったのだろう。いじめていたわけじゃないけど、亜人間の行動力は真人間には辛かろうて。
「都市の内部に入ったぞー! でもあまり人気がないね」
「兵士は多いけどな。暗殺未遂事件があったから外出制限でもお触れが出ているんやろな」
「物騒ですねえ。わたくしたちが行く冒険者ギルドが開いていると良いのですが」
どうなんですかね。行ってみましょうか。
町の中央広場に面している剛健な建物が冒険者ギルド。でかでかとギルドのドラゴンを形取った紋章が描かれている。
一年ぶりだ。どうなってるんだろ。
高評価いただけると踊り回ります!