表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

 賊がウチらの目の前に勢いよく飛び出してきたように、街道はあるけどその周辺までは整備されているわけではない。

 下草の生えた雑木林に進入していく。


 雑木林を少し入ったところで大きく鼻で臭いを嗅ぐ。

 後方から凄い血の臭い――賊が大放出した血液だろうね――がしてくるがそれ以外に危険な香りはしてこない。


 亜人間は五感のどれかが鋭いと言われているが、私は300万年生きているきつね娘。五感の鋭さは言葉に出来ないレベルであーる。

 うん、へんな音もしないしモンスターはいなさそうだ。


 陰陽術占術道具『六壬(りくじん)

 それから放たれる光を参考にどんどん進んでいく。


「お、細い川だ」


 途中細い川を見つける。これが賊の水源だろう。


「あいつ亜人間じゃなかったから生水は飲めないけどなあ。まあ、煮沸してたのかな」


 どこの世界でも純人間の解毒力は群を抜いている。

 上流からフンがいっぱい流れてくるような川の水でも、煮るだけで飲めるって凄いよね。

 亜人間は煮るくらいじゃ駄目なときがある。

 犬や狐系亜人間は葱スープを飲めないし、薄めるにしても数百倍に薄めないと影響が出る。

 私は化け妖狐だからそこそこ何でもクリアできるけど……。


 そんなことを考えながら光の差す方向へ進んでいくと、光が途絶える地点まで来た。


「ここから半径500メートルの中に目標があるって事ね」


 この異世界に来てから材料を集めて作った簡易具だから精度が足りないんだけど、光が見えないから隠密には有利という点があるんだわ。


 さて、半径500メートルということは直径1キロメートルの円。この雑木林で探すのは大変そうだ。


「式神よ、式神よ。たすけてもうれ、たすけてもうれ。おーん・ふぁりょん・ざっきゅ・もあか。探査兵即是(たんさへいそくぜ)!」


 毛を一本吹き流し、真言を唱えて三字を切る。横縦横。

 すると毛が変身して、しっぽをまわして空中に浮かぶ、きつねのお人形みたいなものが現れた。


「探査兵ちゃん、偵察よろしくね。ものを探すのは一人より二人よ」


 探査きつねはくるりと身体を一回転させると、ぶーんと勢いよく飛んで行った。


「ジンきゅんにも式神を付けてるし、使える力は残り1つ。どうしようかな」


 しっぽ一本に付き3つの力――大体は式神を行使する――が使える。


 以前の世界なら十二本くらい生えていたんだけど、この世界じゃ一本しか生えてない。およよ。


「集落レベルで住処があるなら空から見える……、そこまで大きくなったら私が住んでいた村にも情報が集まると思うけども……」


 鴉天狗を現出させるか。


「神将どもに命令する。鴉天狗『デング』よ。この世に現れよ。現存急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう


 横一線に字を切って召喚術を唱える。

 安倍晴明は神仏悪魔十二神将を従えていたというが、私は上位下位合わせて神仏、天使悪魔、怨霊守護霊、合計四十八神将以上従えていた。百体以上いた気もするが正確には覚えていない。

 この世界に転移した際に上位の配下は手放しちゃったけど……。


「デング、ここに参りました」


 スッと私の後ろに現れる気配。


 こいつを使うのも久しぶりだ。


「久しぶり。早速だけど私を乗せてこの近辺を飛んでおくれ」


「御意に」


 デングは鴉天狗だけあり、ワシとカラスを合わせたような羽を持っている。

 ここに魔術を乗せて飛行が出来るって寸法だ。


「500メートルほど上昇しました」


 私を足の爪で掴んで飛んでいるのでなかなか快適とは言えないけど、まあ下位だからね……。


「大きな《《穴》》は見えないね、集落レベルの賊はいなさそうだ。ただ、個人で賊をやっているとは思えないよね」


「鼠を放ちましょうか」


「お願いするわ。私のしっぽは温存したい」


 というわけで地面に降りて天狗の召喚術で探査鼠を召喚してもらう。


 天狗系統の術はなにをやっているかさっぱりわからん。

 私はおきつね陰陽道系統なので理解の範囲外なのだ。

 ちなみにデングはしっぽの力を使わない。神将の一人だからね。

 神将は私が屈服させた奴らなので、私に絶対の忠誠を誓いそして力を捧げている。

 だから私の力は召喚するときだけ。

 召喚は腐っても妖狐だから余裕。

 全身の力だけで出来る。しっぽは要らない。


 さて、鼠を二十体ほど召喚して野に放ってもらう。


 鼠のレーダーに引っかかったらデングに情報が伝わるって寸法よ。


 時計を持っていないから正確な時間はわからないけど、日の傾きからして一時間ほど。

 おきつねちゃんが帰還してきた。


「はーいおかえりーだきしめー。はーかわいいねぇかわいいねぇ」


 もふもふのお人形さんはニコニコしながら念波で情報を伝える。


「なるほど、ポイント238の64で数人が住める掘っ立て小屋を確認と。中は? 見てないか。デング、鼠で偵察して」


「御意に」


 少ししたら全容が明らかになった。


「男二人に女が一人。女は足を鎖でつながれていて奴隷の状況。現在は性暴力をされる寸前に見える、と」


「先行して突撃いたしましょうか」


「よろしく。女性は殺さないでね。こっちは三体くらい金比羅兵士を降ろして後を追うね」


 そして凄いスピードでかけていくデング。

 鴉天狗だから林の中をかけていくのはお手の物だよね。


「じゃあ兵士を借りてくるか。神将どもに命令する。金比羅よ金比羅よ、兵士を三体貸しなさい。朱雀・玄武・白虎・招来急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう


 真言を唱えて二字を切る。

 九字を切らずに召喚できるのはさすが私といったところかな、えっへん。


「金比羅の配下3名、馳せ参じました」


 私の目の前にフル武装した人間が3名、膝を突いて出現する。

 賊ならこれで十分でしょう。


「デングの後を付いていけ、遅れるなよ。女性は殺すな」


「はっ!」


 これまたもの凄い勢いで遠ざかる3名の兵士。

 さすがは仏教十二神将である金比羅さんの兵士だけあるなあ。


 私は式神で一人乗りドローンを作り出し、悠々と後を追っていく。

 デングのように細かいことが出来ないのがドローンの悩みである。

 最新型戦闘機を撃ち落とし、世界最強の空母を沈めるミサイルを放ち、地雷一掃爆弾や超爆爆弾を落とすくらいしか出来ない。

 超解析レーダーは別のドローンに乗らないと無理だ。

 本当小回りがきかない。


 ま、このドローンでも女の子が挿入される前にたどり着けるとは思う。


 ではでは、れっつご~


高評価いただけると踊り回ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ