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首都へ行こう――1



「で、2年ほどこの異世界で暮らしてる、って訳なのよ」


「だれにむかって話してるんですか、桧原様」


「おじいさんに」


「そうですかー」


 おじいさんの名前は知らんけど、私の名前は桧原美香(ひのはらみか)、だった。

 というのも、ここ(異世界先)の価値観と合わないからこの名前は捨てちゃったのだ。

 今はリューと名乗ってる。


「それで、あなたは一体誰なのかしら?」


 ざっと見、身長は私の7割程度で110センチメートルくらいかな。線が細くて端麗な顔をしている。

 頭に神龍系統の角が生えている男? かな? そんな子が目の前の椅子に座っている。

 私は今居酒屋で飲んでいるんだよ。


「はい、神龍琴子(ことこ)様に遣わされた白道仁乃介(びゃくどうじんのすけ)と申します! 桧原様(ごしゅじんさま)のところで学んできなさいと琴子様に申しつけられました!」


 とびっきりの笑顔でそう答える白道くん。


「神龍の琴子って、私を飛ばしたあの神龍の?」


「はい、そうです! わたくしまだ2000歳の若造ですが、どうぞお使いください」


 ほー、琴子っていうんだ、私を飛ばしたあの神龍は。


「お帰りください」


「えっ」


「まず私があなたを育てる必要はないわよね?」


「え、それは……琴子様がそうしろって……」


「神龍系統の龍族じゃあ、2000歳ってまだ子供じゃない。子供の子守りはしたくないわよ。そもそも琴子なんて知らないし。私は300万年生きているきつねの娘。自由に生きて元の異世界に戻るんだから」


「そ、そんなぁ」


 途端に顔が曇り、涙目になる仁乃介。


 きゅん


 こ、これ……



 ち ょ っ と か わ い い



 だ、だめよリュー、これくらいで情に流されちゃ。

 しっかりと断って自分の生活を優先させるのよ!


「ぐ、ぐぐ。さあ、私のことは忘れて元の世界へお戻りなさい」


「それが、帰りはご主人様のお力によって帰ってこいと言われていまして……。どうしよう、帰れなくなっちゃう。うっ、うっ」


 涙がポタポタ垂れる仁乃介。

 ぐぐぐ、かわいそうはかわいい……110センチメートルって子供だしこれはもうショタ。ショタ。ぐへへへへ。


「わ、わたくしは、ど、どうすればいいのでしょうか。かえれないよう。せいかつもできないよう」



 ご ふ っ



 大量に脳内吐血する私。やばいやばいやばい、かわいすぎる。

 この子を幸せにしてやれたら面白いんじゃないか……?

 いやいやいや、理性を保つんだ、ショタかわいいショタかわいいに流されるな。


「こ、こうなったら桧原様にこの身この精神を渡して少しでも異世界ジャンプさせてしまったことの償いを!」


「統合の術式か。まあ確かに龍族の血脈はかなりのレアだから欲しいと言えば欲しいけども、さ」


 ボワンと変化し、可愛い可愛いきつね耳をかっこよい龍の角にさせる。


「そ、それは!」


「うん。異世界ジャンプした際に琴子だっけ、そいつから血脈をもらって(盗んで)おいたのよね。神龍の血脈ってかなりレアよね」


「これじゃあもうだめだぁ!」


 わんわん大泣きする仁乃介。



 ぱりぃん



 私の理性は完全に崩壊した。もうむり。もうむり。ほごするしかない。


「きめた。わたしがあなたをほごしてあげるぐふふふふふ」


「え、ほんとうですか? きゅうにほうしんてんかんなんてあやしくないですか」


「ほんとう、じゅうしゃとなってわたしとたびにでよう。そしてショタをショタして。ぐふふふふ」


「なんかこわいよう」


 とても怪しい会話をしている私達を酔っ払いがドン引きの横目で見ながら酒場の一夜は過ぎていったのであった。


 あくる日。

 私は旅立つ準備をしていた。


「それじゃあ白道仁乃介、変わって『ハク()ジン()」かーらーのージンきゅん。出発するわよ」


「はい、リュー様のお供として付いてまいります!」


「目標は、男爵領地の首都。ダサイダサイ都市よ。ジンきゅんの冒険者申請をしないとね」


 一年前に訪れた事のあるダサイダサイ都市。

 いやー今住んでいるサイッショとの町とは違って文明がいくらか進んでいたなあ。

 宿を引き払い、歩いてダサイダサイ都市まで向かう。馬車代はみーんなジンちゃんくんちゃまむふむふの旅道具へと注ぎ込んでしまった。まあそれでよし、ぐふふふふ。もちろんまだ食べていない。いないったら!

 でも食べたいなー一口だけでも食べられないかなー。


「ヒトクチダケ……」


「顔が変ですよご主人様?」


「あ、いや、ちょっと考え事していただけデュフデュフ。衣装はどうだい?」


「えっと、ちょうどいいです。今まで着ていた服の上に着る見せ服ですけれども、阻害するとか寒い暑いとかはないです」


「そっかそか。ウチらのいた異世界って本当に技術が凄かったからねえ、なまじこっちの防具付けるよりインナーにしちゃった方がいいんだよね。男爵領ではちょっと上流風味な服装にしてあるからね」


 なので靴は履き替えずそのまんま。スニーカーである。

 私の靴もスニーカー。

 パンプスなら一応、おきつね陰陽術の術式のうちの1つ、アイテムボックスの一種である『|きつねの早着替えクローゼット《おきつねCCルーム》』にセットしてあるけれどもね。


 それでは久しぶりに動きますかー!


高評価いただけると踊り回ります!

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