真っ暗だから
夜の道は
真っ暗で
なにも見えないぶん
音や香りが
強く迫ってくる
例えば
風に揺れる木々の葉音だったり
熟れた果実の香りだったり
家々から漏れる
笑い合う声だったり
夕食の香りだったり
そしてなにより
頭上に輝く
星空だったり
そうだった
これ
好きだったんだ
なぜか
このタイミングで
思い出す
ただそれだけの話
風の冷たい手で
頬を撫でて去っていく
忘れていた
季節を知らせていくように
思わず歩みから
自陣の運動不足を痛感したり
これ
忘れたままでも
良かったような
あまりに暗い道に入ると
情けなくも
不安になったり
夜の道は
真っ暗で
何も見えないぶん
音や香りが
強く迫ってくる
色々
思い出す
思い出させる
良くも悪くも
忘れていたことを