別で面倒
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「 ―― で? もう一度きくが、その、いっけんガキにみえるそれを、なんでおれんとこに持ち込もうとしてる?」
「だからあ・・・・ジョーとレイの間でもうはなしはついてるんだって。だいたい、なんでバートがここにいるわけ?ジョーからは、いないって聞いてたけど」
「これからでる。 ―― つもりだったが・・・」
「行ってきなよ。父親の護衛なんて親孝行、めったにできないよ」
「護衛じゃねえ。行き先が、レイが行ってみたいって言ってる場所なんで、無料で、下見に行くだけだ」
「 わかった、理由はどうでもいいから、行ってきなって」
抱えたこどもは、ウィルのシャツをつかんで固まったままで、肩におしつけたおでこをちょっとだけあげて、バートを盗み見した。
「 おい、 てめえ、ふつうのガキじゃねえのはわかってんだ。 ―― なんだかしらねえが、おれがいない間に、おれの家にはいって、レイといっしょにいるってことは、それなりの覚悟で来てんだろうな?」
ジョー・ジュニアはあわてて顔をふせ、ウィルの首にしがみついた。
「・・・まあ、バート、ほら、いちおうみためはこどもだし、そのへんにしとかないと、泣き真似なんかされたら、通報されるかも」
「そうか、 ―― いま家にはケンもいるだろうから、あとは任せる」
「え?あんたとは別で、あの面倒なのが?・・・いるのか・・・」
うんざりしたこちらの肩をたたき、こどもの頭もたたくと、さっさと道路をつっきって、バートはむこうの通りへきえた。